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 ショーウインドウには白いくびれたボディに赤いレースのブラとショーツだ
けを身に着けた、顔と手足のないマネキン。
 ドアから見える左の壁には、まるで南国の蝶のように艶やかで妖しい色合
いの、キャミソール・スリップ・オールインワンを吊るしたハンガースタンドの列。
右のガラスケースにも色とりどりの下着が陳列されている。
 そして奥には何人かの女性客と店員……。

(ダメだ。やっぱりこんなとこ入れないよォ……)

 あと一歩踏み出せば自動ドアが開くという店先で、須藤まことは泣きそうな
顔で立ちすくんでいた。右手に提げた学生カバンが小刻みに震えていた。

 まことは十七歳。地元では中高一貫の進学校として名高い私立成宮学園の
高等部二年生だ。
 胸に校章を縫いつけたカッターシャツに緑のネクタイ、グレーのスラックスに
包まれた身体は、世間が抱く「いい学校(とこ)のお坊っちゃん」のイメージを
裏切らない、細く頼りげないもの。
 脱色もパーマも未経験の直毛をおとなしめにカットし、これまた「真面目な
秀才くん」強調アイテムの銀縁メガネを眉の薄い顔に乗せていた。
 教師の言う事はよく聞き、頼み事は友人でもそうでない者のでも断れないお
人よし。そんな印象を見る人に抱かせる。
 事実まことは半ば押し付けられる形で生徒会の副会長まで務めてしまっている。

(でも入らなきゃ……。だけど、もし学園の誰かに見られたら……)

 まことはもう五分はそうした逡巡の中にいた。震える足を前に出そうとしては
引っ込め、せわしなくあたりを見回すことを繰り返していた。
 幸い人通りは絶えている。
 このランジェリーショップは駅前商店街からやや離れた場所に位置しており、
向かいや並びもスナックや居酒屋など夜にならないと客が寄りつかない店ばか
りだ。
 だがいつまでもグズグズはしていられない。ここは少し遠回りだが学園の通学
コース上にある。色気づいた男子生徒たちが他人や自分にあれこれ理由をつけ
ては足早に通りすぎる場所であるのだ。
 しかも時間は午後四時すぎ。第一次下校ラッシュのまっただ中。
 次の瞬間には左向こうの角から学園の生徒が姿を見せるかもしれない。

(よ、よし。行くなら今のうちだ。行け!)

 まことは何度目かの決心をして足を踏み出そうとした。
 だが、頭の中に自分を遠巻きにしてささやきあっているクラスメイトや執行部の
生徒たちの姿が浮かぶ。生徒会長・本橋有希の釣りあがった大きな目と振り上げ
た右の拳がチラつく。

(ああ、ダメだ。ムリだ……)

 足はまたしても引っ込められた。まことはうなだれて、ため息をつく。

「ん、んンッ!」

 その時。左向こうからワザとらしい咳払いがおこった。まことはビクッと背中を縮め、
恐る恐るそちらを向いた。

(瑞穂……)

 視線の先、角口の所に、まことの六歳年下の妹、瑞穂がいた。
 小柄な身体を肩先までのツインテールに赤いランドセル、白のブラウスとデニムの
スカートで包んだ瑞穂は、腕組み仁王立ちの姿勢でこちらを睨み付けていた。

(ああッ……)

 まことは縮みあがった。妹はあきらかに苛立っていた。ハイソックスとスニーカーを
履いた右足をパシパシと地面に打ち付け、兄のものとは対象的な濃い眉を山なりに
怒らせていた。

『おにィ! なにグズグズしてるのッ。さっさと入りなさよォッ!』

 切れ長の目がそう語っていた。

『ダメ……ムリ……できない……』

 たじろきながら、まことは弱々しく首を振る。

『お願い……恥ずかしすぎるよォ、許してよォッ』 涙目で訴えた。

『ふぅ〜ん。おにィ、逆らうんだァ』

 瑞穂は口を尖らせ、首をゆっくりと上下させた。

『いいよ、それでも。けど帰ったら……』

 口元が大きく動いた。

『お・し・お・き・だ・よ』

 瑞穂はまことを見据えながら右腕をランドセルへと廻し、差してあった定規を引き
抜いた。そして胸の前で左の手の平をパシッと小気味よく叩いた。

(あうッ……!)

 まことはカバンで股間を抑えた。昨夜の激痛が甦った。
 射精してもなお容赦なく振り降ろされるプラスチックの平たい鞭。それが引き出す、
快楽と苦悶が入り混った恥ずかしい痛み。
 思わずその場にうずくまりそうになる。

『いいの? それで』

 瑞穂は小首を傾げた。ニッと開いた口元から小憎らしい八重歯が覗いた。

『イヤだ、イヤだッ、イヤだァッ!』まことは激しく首を振る。

『じゃあ入るんだね? やるんだね?』

『……はい』

 まことはうなずいた。うなずくしかなかった。首を垂らしたままドアへと
向き直った。

(ああ……)

 数秒後。まことは目を堅くつぶり、カバンの取っ手を握りしめると足を前へと踏み
出した。
 ドアは待ちくたびれたかのようにゆっくりと開いた。


まことが妹の奴隷となってしまったのは、一月前の五月終わりのある出来事
からだった。

 その日。中間試験の最終日。突然の大雨に祟られたまことはズブ濡れになっ
て帰宅した。
 熱いシャワーを浴びようと、脱衣所で制服を脱ぎ、洗濯機のフタを開けた。
 暖めたミルクのような匂いが鼻をくすぐった。中には瑞穂の服が脱ぎ積まれ
ていた。妹も雨の中を駆けてきたらしく、それらは洗う前から湿り気を帯びていた。
 キュロット、シャツ、ベスト、ノースリーブのインナー。身体と髪を拭いたであろう
バスタオル。
 そしてそのバスタオルが作る皺の白い谷間に、淡いピンクのショーツが隠れ
るように丸まっていた。

(あ……)

 それを見た時、まことの心臓と股間をなにかが貫いた。次の瞬間それはむず
痒い熱となって全身に広がった。ブリーフの前面が盛り上がった
 まことはそれまで妹を「オンナ」として意識したことはない。
 小学五年生という成長期にあり、細い身体も日に日に女の子らしい丸みを帯
びつつはあったが、胸はまだまだブラジャーを必要としなさそうなものだったし、
お尻だってセクシーと呼ぶには程遠い小ささだった。
 下着だって飽きるほど見慣れている。欲情など起きようはずがなかった。
 だが、その時は若干事情がちがっていた。
 連休明けから約三週間、まことはほとんど禁欲の状態にあった。
 前半は春の生徒総会の準備とその開催、後半は試験勉強にと追われ、それこ
そオナニーをする暇もないほどの忙しさだったのだ。
 そしてその試験もようやくこの日に終わり、まことは解放感の中にいた。
それとともに今まで抑えつけていた十代の少年のたぎるような性欲も外へ出よ
うと機会をうかがっていたのだった。
 幼い妹のものとはいえ、メスの匂いが漂う脱ぎ捨てられたばかりのショーツは
そのはけ口になるには充分だった。

(ダメだ……いけない……やめろ……)

 そう叫ぶ心の声を裏切って右手はショーツへと伸びた。生暖かさの残る布地
の感触に、まことは薄暗い興奮に包まれる。鼓動が耳の中で響く。
 気づいた時には鼻が裏返された股布の中に埋まっていた。

(ああ……)

 嗅ぎ慣れた匂いとアンモニア臭に混じって、初めて知る妹の隠された香りが
そこにあった。
 甘酸っぱい、嗅いでいると全身がうずいてくるような蠱惑の香り。下着の中に
閉じ込めれ、染み込んで、何倍にも濃縮されたそのフェロモンは少年の鼻腔と
興奮中枢を強烈に刺激した。

(ああッ、ダメッ。ガマンできないッ)

 まことはショーツを左手に持ち替え、右手でブリーフをずり下げた。怒張しきっ
てすっかり包皮が翻転したペニスが飛び出し、天を突く。まことはその灼熱の
棒をつかんで激しく擦りあげた。

「あッ、あッ、ああッ……」

 狭い脱衣所の中にくぐもった荒い息とクチュクチュという粘っこい擦過音が
響く。
 溜まりに溜まった劣情はたちまち沸点に達した。あと一往復右手を上下させ
れば頂点を迎えるというその時──

「やだッ、おにィ! あたしのパンツで何してるのよッ」

 脱衣所のドアがいつのまにか開いており、そこに瑞穂が立っていた。顔を真
っ赤にして目を見開いている。改めて湯に入ろうとしたのか、小脇に着替えを
抱えていたが、それが床へと滑り落ちた。

「み、瑞穂ッ!」

 まことは慌てて股間をショーツで覆い、その上をさらに手で隠そうとした。
だが時はすでに遅く、また少年に昇りつめた欲情を押し止どめるなどできよう
はずもなく──

「あああああッ」

「イヤぁぁッッ」

 妹の目の前で兄は激しく噴き上げた。指と布地のすき間をぶち破るように
飛び出したそれは床のあちこちに飛び散り、残った滴は幼い少女の下着を重く
汚した。



「もう信じらんないッ。変態ッ! おにィのド変態ッ。死んじゃえッ」

「許して瑞穂。許してッ」

 まことは土下座して謝った。床には自分のぶちまけた精液があり、それに鼻
をこすりつけることになったが、そんなことを気にする余裕はなかった。ひたす
ら頭を下げ続ける。
 だが、妹のかんしゃくは収まらず、ついにはまことの一番恐れていた事を口
にした。

「ダメッ許さないッ。パパとママに言いつけてやるッ」

「やめて瑞穂ッ。それだけはやめてッ」

 まことは学校でも家でも「真面目ないい子」で通っていた。小さい頃から気が
弱く、自分に自信を持てないまことは、両親や教師からそう誉められることだけ
がアイデンティティとなっていた。
 有名校である成宮を受験したのだってそんな両親の期待に応えるためだった。
 二人を失望させたくない。見捨てられたくない。特に高い学費をまかなうため、
この時間もパートで家を空けている母親には。
 それは死ぬほど恐ろしいことだった。

「お願い。それだけはッ。なんでもする。瑞穂のいうことはなんでもきくからあッ!」
 
 頭を擦りつけた。

「……ふぅーん、なんでも?」

 いきりたっていた瑞穂の声のトーンがダウンした。

「うん、なんでもする。するよォ。だからッ、だからァッ」

 まことは顔を上げ、妹の顔色をうかがった。瑞穂はやや惚けた目でまことを見つめ
下ろしていた。萎えた下半身を露出し、顔に自分の吐液を塗りつけた惨めな兄に何
を見たのか。
 ふとその瞳が光り、妖しく細まった。一端引いた赤みが再び頬を染めた。
 まことの背筋に冷たいものが走った。妹にはじめて色気を感じた。
 瑞穂は言った。 

「じゃあ、さっきしてたこともう一度してみて。瑞穂の前で」


 それ以来。
 兄と妹の立場は完全に逆転した。両親へのつげ口をネタに瑞穂はまことの身体
を弄ぶようになった。
 元々内気な兄に活発な妹と瑞穂の尻にしかれているところはあった。
 だが、須藤家においてまことは「成績優秀の自慢のお兄ちゃん」であり、運動は
得意だが勉強は今一つの瑞穂はいつも叱られ役だった。
 その鬱屈があったのだろう。性への好奇心とないまぜになって、瑞穂の責めは
容赦のないものになった。

 まことは毎日のように目の前での自慰を強要された。互いの部屋でだけでなく、
両親が入っているトイレや風呂場の前でもさせられた。
 時には瑞穂の指や足で射精させられた。初めの内はおっかなびっくりの瑞穂だ
ったがすぐに慣れ、出しても出してもまことを激しく擦り立てるようになった。

「ふふ。高校生のクセに小学生の妹にイカされるなんて恥ずかしいね、おにィ。
もっともっと搾り出してあげる……」

 やめてと泣き叫ぶ兄を嘲笑した。
 最近は道具を使うことを覚え、特にペニスを打ちすえることを好んだ。

 そして昨夜。
 定規でさんざん弄ばれ、打ち付けられて、グッタリ横たわっていたまことに、瑞穂
は言った。

「おにィ、このパンツなんだけど」

 目の前に淡いピンクのショーツがぶら下げられた。

「おにィがオナニーに使ったパンツなんてもうキモくて穿けないよ。お気に入りのだ
ったのに」

「ご、ごめん……」

 立て続けに二度出させられたまことは息も絶え絶えに応える。

「弁償して」

「わかったよ……いくら?」

「お金じゃなくてセイイを見せて欲しいなあ」

 瑞穂はニッと唇を吊り上げた。なにかをたくらんでいる時の妹の笑いだった。

「……どうすればいいの?」 いやな予感にとらわれながらまことは言った。
 瑞穂は言った。

「おにィがお店に行って買ってきて」

「そんなッ。できないよ」

「そんな、じゃないよ。逆らうの? おにィ」

「い、いや。でも……」

「でも、じゃない。そうだ、あそこがいいなあ。おにィの学校の近くにあるあのお店……」

「イ、イヤだッ」

 そう叫んだまことの股間に定規が勢いよく振り下ろされた。
 まことは絶叫した。

あんな痛い思いはもうしたくないと、妹の命令どおり店に入ったまことだっ
たが、すぐにまた立ちすくんだ。

(うわあ……)

 視野一杯に飛び込んできた女性下着の群れは、純情な少年にとって目の
毒過ぎた。心拍数が一気に上がり、まことは赤くなってうつむいてしまう。

「いらっしゃいませ」

 その視界に黒のストッキングとハイヒールを履いた、締まりのいい脚が入っ
てきた。慌てて顔を上げる。

(あう……)

 目の前に豊かな胸と腰周りを白いシックなブラウスと黒のタイトスカートで
堅めた三十少し手前ぐらいの女性が立っていて、まことを見下ろしていた。
知的な顔つきにひっつめ髪、フレームレスのメガネと、どことなく「愛人兼社
長秘書」といった趣がある。
 店主とおぼしきその長身の女性は、営業スマイルこそ浮かべていたが、メガ
ネの奥の瞳は冷ややかだった。
 男性客がまるでないわけではないだろうし、場所がら酔客もお得意さまのは
ずだが、あきらかに場違いな高校生男子の入店には寛容でないようだった。
店前での挙動不審な行動もしっかり見られていたに違いない。


「どのような品をご入用でしょうか?」

 普段なら自分からは言い出さないであろう言葉を口にした。

「あの、その、えっと、あの……」

 まことは視線をさまよわせる。汗が吹き出してくる。
 第一の関門だった。瑞穂からも「お店の人に何を買いに来たか言うように」
と命じられていた。
 喉から声を絞り出す。

「い、妹の……」

「はい……?」

「小学五年生の妹の、その……あの……」

 言いながらまことはうなだれていく。ボリュームが絞られていく。

(ダメだ。言えないよぉ……) 目をつぶってしまう。

 『おにィッ!』 そのまぶたの裏に定規を振り上げた瑞穂の姿が現れる。首の
落下が止まる。

「い、妹の、その、パ、パ、パ、パ……」

 再チャレンジ。だがまたしてもフェードアウトしてしまう。
 脳裏に再び目を釣り上げた妹の顔がカットインしてくる。
 今度は定規が勢いよく振り下ろされた。
 その見えない鞭に叩かれて、まことは頭を跳ね上げた。

「その、パンツをッ! 妹のパンツをぉッッ!」

 裏返った叫びが店内に響いた。

(しまった……!)

 店主がたじろいだ。客たちが一斉にまことの方を振り返った。

(ああッ……)

 まことの全身を羞恥の炎が包んだ。同時に、うつむくこともできないくらい
硬直してしまう。
 さして広くない店内には四人の客がいた。
 ブルドッグを思わせる顔と身体を、派手に染めた髪とワンピースでさらに醜
悪にしている中年夫人。
 平均的な体型を地味目のカーディガンとロングスカート、一本に結わえた黒
髪で堅めた、いかにも「若奥様」風で清楚な感じの二十歳代の女性。
 そして、類が友を呼んでいるのか、どちらも同じような小柄な身体に同じよ
うに小生意気そうな顔を乗せた、ショートカットの女子中学生ふたり連れ。
幸いなことにセーラー服で、成宮のブレザーではない。
 四人ともハンガーを手に、顔だけはこちらを向けたままの姿勢で、まこと同
様固まってしまっていた。
 そんな中

「女児用のショーツですね? こちらです」

 いち早く自分を取り戻した店主が店の左隅を指し示し、まことを促した。

「は、はい……」

 まことは案内する店主の後ろをうつむきながらついて行く。客たちの時間も
動き出す。
 だが。視線は相変わらずまことに絡みついてくる。疑惑と軽蔑のまなざし。
遠慮など微塵も無い中学生たちが、聞こえよがしに言う。

「あれ、成宮の……」

「妹のパンツを買いに、だって」

「ウソくさぁ〜い。絶対ロリコンの変態だよ」

「うん、そうだよね。だってほら、あそこ……」

「キャッ、イヤだぁ」

 見えてはいないが、彼女たちが自分の股間を指差しているのはわかった。
 スラックスの前は恥知らずなほど盛り上がっていた。内側ではペニスが痛い
くらい腫れあがり、熱い脈を打っている。
 元から素養があったのか、瑞穂によって無理やり開発されてしまったのか、
度重なる責めの結果、まことは羞恥と同時に性的な興奮を感じる身体になって
しまっていた。

(ああ、こんなのイヤだよォ。恥ずかしいよォ)

 そう思っても少女たちの視線を感じ、淫らな分身はますますいきり立ってし
まう。
 まことは前屈みになり、腰を引いて歩いた。だがそれがまた少女たちの冷笑を
誘い、股間はさらに膨れ上がる。それを隠すために腰をさらに引き──。恥辱と
興奮の悪循環。

「こちらです」

 そんなブザマな姿を店中に晒しながら、女児用コーナーへと着いた。
 あどけない下着たちを見て、まことの体温がまた上がる。これから本番だと
思うと、心音が外まで聞こえそうなほどに大きくなる。
 
「では」

 店主は事務的に頭を下げ、フロアへ戻っていった。まことは独り残された。
 店の左隅を利用して作られたそこはこじんまりとしていて、あくまでオマケ
でおいてあるといったようだった。
 他とは一段低いハンガーにインナーやショーツが吊られ、壁際の棚にもパッ
ケージされた下着が並んでいた。中央にワゴンがあって、セール品のショーツ
が小山に積まれている。

(あ……)
 
 まことの眼は、そのワゴンの中の布たちに惹きつけられた。
 素材はコットンが主で、色は白かパステル調。デザインも布地の多いおとな
し目のものばかりで、模様も果物や動物といったほのぼのとしたもの。マンガ
やアニメのキャラクタープリントも多く、下着というよりはファンシーグッズ
が置いてあるよう。煽情的な布地や作りの品ばかりのこの店にあって、ここだ
け健全で微笑ましいムードを漂わせていた。
 だが。そんないたいけな下着で牡の濁液を吐き出してしまったことのあるま
ことには、これらの山は店中のどんなランジェリーよりもエロティックなもの
に映った。息が荒くなってしまうのを抑えることができない。

(変態だ……。ボクはあの子たちの言う通りロリコンの変態だ……)

 自己嫌悪に捕らわれる。だがそう思うことでさらに疼くような興奮を感じて
しまう。ゆらりとワゴンへ一歩近づく。

(これで、ボクは……) 今からやらねばならないことを考えて身体が震えだ
す。瑞穂の言葉が耳の中で甦る。

『おにィのお小遣いで高級下着なんて期待しないよ。三枚千円ので許してあげ
る。そのかわり……』

(イヤだッ。イヤだッッ。イヤだぁぁぁッッ)

 まことの中の「良い子」が叫ぶ。とっとと三枚引っつかんでレジに行けと喚
く。
 だが頭のいい「良い子」にはそれがムリだともわかっている。瑞穂が外から
様子を伺っていないとは言い切れないし、客として店に入ってこないとも限ら
ない。
 また、店には十五分はいるようにとも言われている。いずれにせよ命令の
不履行がバレたら、悶絶するような痛みが待っている。
 それになにより。
 まこと自身がその命令に従いたがっていた。
 まことの中の「悪い子」、妹の下着を汚すことで目覚めた「悪い子」が、恥ず
かしいことをしてしまえ、恥ずかしいことは気持ちいいはずだと囁いていた。
 ウソだ、そんなことないと「良い子」が叫んでも、股間がそれを裏切ってい
た。屹立は女性たちの視線を感じて、暴発しそうなほどに高まってしまっている。
 チラと店内を伺う。
 店主は中年夫人と談笑しながらも、警戒した目つきをこちらに寄越している。
 中年夫人も眉をひそめながら、その実歓迎しているような瞳を見せる。
 若奥様は手にした下着とこちらを見比べるようにせわしなく視線を動かしな
がら、赤らめた顔を見せている。
 女子中学生たちも頬を染めつつも「興味しんしん」といった顔で真っ直ぐこちら
を見つめていた。

(ああ……)ズゥゥゥンと応えるような衝動が下腹部と脳髄を貫く。

(ダメだ……ボク、ボクぅ……)

 カバンが床へと落ちた。汗ばんだ右手がショーツの山へと伸びる。
 手前にあったイチゴ模様のショーツをつかむ。引き上げて両手で包み持つ。
 それでも躊躇して胸の前で止める。
 店内に張り詰めた空気が流れる。

(ああ、見てる。みんな見てる……) 

 軽い陶酔を覚える。

(やれ……やっちゃえ……)
 
 「悪い子」が囁いた。まことは憑かれたようにショーツを顔の前へと持ち上げた。
 そしてゴムで縮んだ両端に震える指をかけると、ビローンと大きく広げた。

「イヤあァァッッ!」 女子中学生の悲鳴が上がった。

「お客さまッ!」 店主が足早に近づいてきた。

「ち、ちがうんですッ!」 我に返ったまことは叫んだ。

「その、あの、これは決してそういうことじゃなくて……信じてくださいッ」

 腕組みをしてにらみ下す店主に、まことは汗だくになって弁明する。

「前に買った時にすぐ破れたことが、いや、あのッ、この店じゃなくて別の店
のなんですけど、だから、その、念のためにあの……ああ、本当ですぅッッ」

 苦し紛れの言い訳ではあるが、丸っきりのウソというわけでもない。瑞穂に
はこう命令されていたのだった。

『そのかわり、よーく調べてね。ああいう安物ってちょっと引っ張ったり穿い
たりしただけで、ほつれたり穴が空いたりするんだから。ソアクヒンなんか買
ってきたらこんなお仕置きじゃすまないよ。うふふ……』

「本当ですッ。本当なんですッッ」 

 まことは必死に訴えた。
 店主はけげんな面持ちでいたが、まことの言葉に一分の理を認めたのか、
まことの行為を真面目な少年の出来心と受け取って酌量の余地ありとしたのか、
やがて眉を引きつらせながらも笑みを作ると

「失礼しました。どうぞお気の済むまでお調べになってください」

と頭を下げた。まことは胸を撫で下ろす。
 だが、店主は踵を返すことまではしなかった。礼が済むと、その長身を一歩
後ろに退かせただけで、あとは手を前で重ねた姿勢のまま、まこととワゴンを
じっと見据えている。口とは裏腹にどう見ても牽制の構え。

(どうしよう……)

 背中に冷たい汗が流れる。さすがにこう近くにいられるといくら「お気の済
むまで」と言われても続きができるものではない。

(やっちゃえよ。せっかく向こうから「どうぞ」と言っているんだせ。心ゆくまで
やっちゃえよ……)

「悪い子」が囁くが、それでもやはり興奮よりも羞恥と恐怖が先に立つ。
 しかし、壁にかかった時計を盗み見てもまだ五分を少し過ぎたばかり。この
まま店を出るわけにはいかない。

(うう……)

 やむなく新たな下着に手を伸ばす。白地に青い水玉模様。柔らかな布地の
感触が右の掌から脳へと伝わる。

(あう……)

 情けないことにショーツに手が触れただけで身体が反応した。股間がピクン
と脈を打ち、引き始めていた熱い血液が再び流入される。理性に傾きかけて
いた心の針がじんわりと歪んだ欲情の方へ引き戻されていく。

(やだッ。ボク……)

 自分の心と身体にとまどい震えながら、まことはショーツを引き上げ、顔の前
で広げ伸ばした。
「キャッ!」 再び悲鳴が上がる。だがやめる訳にはいかない。
 恐る恐る店主を見る。笑顔が頬で引きつっていた。自分で「どうぞ」と言った
手前止めるわけにもいかず、その悔しさを奥歯で堪えているようだった。

(ああ、ごめんなさい、ごめんなさい……)

 まことも全身を震わせる。だが、心臓は縮こまっても股間はさらにみなぎって
しまう。美しい女店主の刺すような視線に、怯えと同時に背中を羽毛で撫でら
れたようなざわめきを感じてしまう。

(あうッ!)

 思わず射精してしまいそうになる。目を逸らし、ショーツに顔を戻す。水玉模
様が小刻みに揺らいでいる。頭がクラっとしてくる。

『ふふ、おにィ、その調子だよ。それで終わりじゃないよね? 昨夜言ったこと
覚えているよね?』

 混乱したまことの耳元に瑞穂が現れて、続きを促す。
 妖しい感覚に浮かされたまことは抵抗なくそれを実行する。
 震える指をショーツに引っ掛けて裏返しにする。股布を両手の人差し指と親
指でつまみ、グイッと横へ広げる。そしてそこに顔を近づける。
 またも上がる悲鳴。ざわめく店内。

『そうそう。お股のところは特に念入りに調べてね。大事なところが当たるん
だから』

 顔をずらし、鼻を股布へと埋める……。

『匂いもちゃんと確かめてね。大勢の人が触ってるんだから』

 その通りにする。いたいけな少女の秘部を包む予定の部分に鼻を密着させ、
せわしなく呼吸を繰り返す。
 もちろん何の匂いも付着していない。新品特有の爽やかな香りと横から漂っ
てくる自分の手の汗の臭気がするだけだ。
 だが、こうしていると否応なしに、あの脱衣所での記憶が蘇り、そこに本当
に少女の恥ずかしい匂いが隠されているような気分になってくる。それを嗅ぎ
当てようと、真似事でなく本気で鼻を鳴らしてしまう。

 もはや悲鳴すら起きなかった。店主や客たちはただ絶句してしまい、店内は
張りつめた空気に覆われた。その中でまことの荒い息づかいだけが淫らに響い
ていた。

(ああッ。あああッ……)

 羞恥と変質的行動が引き出す快楽に翻弄され、まことは手当たり次第に下着
と戯れる。
 裏返し、匂いを嗅ぎ、持ち上げて透かし、引っ張り、顔を埋め……

(イヤだ、イヤだッ。ボク、こんなことしたくないのにッ。恥ずかしいのにィッ)

 心の隅で「良い子」が必死の悲鳴を上げて抵抗するが、それを裏切るように
股間は高ぶりの度合いを上げていき、手は新たなるショーツへと伸びる。

(瑞穂が、瑞穂が悪いんだ。ボクをこんなエッチな身体にした瑞穂が……)

 せめて妹に責任転嫁をしようとする。しかし

『ちがうよ。おにィは元からエッチなんだよ。変態なんだよ』

と瑞穂が脳内で囁き、逃げ場を封じようとする。

(ち、ちがうッ!)

『ちがわないよ。おにィは変態なんだよ。妹の下着でオナニーしちゃう変態。
小さい子のパンツ見ただけでオチンチン大きくしちゃう変態。みんなに恥ずか
しいところを見られてハアハア興奮しちゃうド変態・・・・・』

(ヤだッ。言わないでッ。言わないでェッッッ!)

 だが声は囁くのをやめない。瑞穂の姿を借りた「悪い子」は「良い子」のま
ことを完全に堕としてしまおうと、いやらしい言葉を紡ぎ続ける。

『ふふ、おにィもうイキたいんじゃない? 出したいんじゃない? みんなに
見られながら出したいんじゃない? みんなに恥ずかしいとこ見られながら
オチンチンから白いオシッコをピュッピュッピュッって出したいんじゃない?』

(ああッ。やめてぇッ。もうやめてぇッッ)

(アウッ!)声に導かれたのか、背筋に前触れの微電流が走った。睾丸が発射
の引き金とともにジリジリと絞られていく。

(ダ、ダメッ……) まことの手からショーツが滑り落ちる。

 その時。
 ガシャンという響きが店内に鳴り渡った。続いて乱暴に床を駆け去っていく
パンプスの音。自動ドアの開閉音。
 まことはハッとなり陶酔から醒める。顔を上げる。
 若奥様がいなかった。床には投げ捨てられて放置されたままのハンガー。ど
うやら耐え切れずに逃げ出してしまったようだった。
 慌てて店主を見る。作り笑いは最早なく、怒りに眉を釣り上げていた。赤面
を通りこし、蒼白の顔でまことをにらみ付けている。今にも追い出しにかかり
そうだ。コツッとハイヒールが前に踏み出された。

(まずい……)

 このまま何も買わずに帰ったら、それこそ瑞穂に何をされるかわからない。
 壁の時計を見る。店に入ってもうすぐ十五分になろうとしていた。

(よ、よし)

 まことは手前にあった三枚のショーツを引っつかむと

「お客さ……」

「き、決まりました! 買います。これ買います!」

 店主の前に差し出した。


 出鼻をくじかれた店主は複雑な顔を見せたが、それでも「買ってくれるのな
ら変態高校生でも客は客」と割り切ったようで、黙ってショーツを受け取ると、
まことをレジへと促した。

(よかった……)

 まことは胸を撫で下ろす。とにかく後はお金を払って外へ出るだけだ。自分
のしていたことを思い出すと羞恥の熱に襲われて死んでしまいたくなるが、
みなに見られながらの射精という愚だけは犯さずに済んだ。

「千円になります」

 ショーケースの上に小さい紙袋が置かれた。まことは財布を取り出し代金を
小皿の上に乗せ、店主はそれを引っ込め、代わりにレシートを乗せてまことに
返す。紙袋が差し出される。まことはそれを受け取り外へ出ようとした。
 だが。

(え……?)

 合図がない。十五分という取り決めであったが、最終的な合図はケータイで
されることになっていた。しかし、とっくに十五分は過ぎているのに未だケータ
イは鳴らずにいる。

(ヤダッ……瑞穂ッ……そんな……)

 まことは紙袋を手に立ちつくす。目の前が暗くなっていく。

「お客様?」

 ようやく厄介払いができると営業スマイルを被りなおした店主の顔がみるみ
る雲っていく。店内がざわめき出す。

(頼むよ瑞穂ッ。もう一分だってここにはいられない。早くッ。早くッッ)

 だがケータイは沈黙を保ったまま。心拍数が急激に上がっていく。

(そんなッ……お願い瑞穂ッ。これ以上イジワルしないでッ。お願いッ……)

「お客様ッッ!」

 店主がショーケースを回り込み、まことの前へと立った。厳しい目つきでま
ことをにらみ下す。

「どういうおつもりですかッ。これ以上この店と他のお客様に恥をかかせよう
というんですかッ」

「あ、あの……その……」

「そうよ、そうよッ」

 店主の剣幕に誘われたか、女子中学生たちも怒りを上げた。ツカツカとまこ
とに近づいてくる。

「なに考えてるのよ、この変態ッ」

「ロリコン!」

「まだ何かしようっていうのッ」

「あたしたちの試着でも覗こうっていうワケ?」

「やだぁッ。スケベ。変態ッ。異常ッ」

「その下着だって帰ってからイヤラシイことに使うつもりなんでしょう?」

「そうよ。絶対そうよ。信じらんないッ」
 
 少女たちは機関銃のように言葉を吐き出してまことを責め立てる。

「まったく近頃の若い男の子はどうなってるんだか」

 中年夫人もいつのまにか側にきていてため息をついた。

「とにかくお客様。ご用がないのでしたらもうお帰りいただけますか? 迷惑
ですッ」

 できるならそうしたい。だがまだ合図が……合図が。まことはうつむき黙る
しかない。

「やだッ。なに下向いてるのよッ」

「あたしたちの生足見てるんでしょッ。ヤーラシイ」

「ち、ちがうッ」

「あ、顔真っ赤にさせて。やっぱりそうなんだッ」

「ちがうって、さっきからずっとアソコを大きくしっ放しじゃない。このスケベッ。
えっちッ。変態ッ」

 女性四人に囲まれて、非難の目で見られ、言葉で責め立てられ……

(あ、ヤダッ……またッ……)

 羞恥で熱くなった身体と心の奥から、ジワリと被虐の快感が沁みだしてくる。
魂を内側から侵食するような快美感が下腹部を中心に全身に広がっていく。

「ほらッなんとかいいなさいよッ」

「震えたってゴマカサれないんだからッ」

「お客様。これ以上おられるというのなら警察を呼びますよ」

「ねえボク。成宮の子でしょ? 学校の方にも連絡いっちゃうわよ?」

 帰れといいながら、四人はドンドンとまこととの距離を狭めて詰問してくる。
 少女たちの体臭や刺激的な香水の匂い、声、息遣い、物理的な肉体の圧迫感
がまことを襲う。そしてなによりどこを向こうと追ってくる怒りと侮蔑のまなざし。

(ああッダメッ。それ以上近づかないでッ。言わないでッ。見ないでぇぇッ。
ボク、ボク、変になっちゃうううううッッ)

 外側からも内側からも責められ、体温も脈拍もこれ以上ないくらい高まって
いた。股間の怒張は今にもスラックスを突き破りそうだった。

(瑞穂ッ。助けて瑞穂ッ!)

 少女と店主の隙間の空間ごしにドアの方を探した。
 瑞穂はいた。ツインテールの少女は入り口のところでランドセルの左腹を見
せて立っていた。こちら同様隙間ごしにまことの方を見ている。
 目があった。瑞穂は二ッと笑うと、垂らしていた右腕を肘から曲げた。
 手にはケータイが握られていた。

(ダ、ダメッ瑞穂ッ。今は、今はダメェェェェッッ)

 まことは目を見開く。少女の右手が軽く揺れた。
 ケータイの着信バイブが鳴った。カバンからでも制服のポケットからでもなく、
恥知らずなほどに盛り上がった股間の前面から。

(ダメッ……ダメッ……あっ、ああああァァッッ)

 振動そのものは小さかったが、火照りに火照った身体と限界まで張りつめた
怒張にはそれで充分だった。背筋にぞくぞくとした快美感が走り、まことは耐
えきれずに発射した。

(ああ見てる、みんな見てる……ああッ、ンあッ、ンああああッッ)

 目も眩むような快感にまことは立っていられず、思わずその場にしゃがみこ
んだ。

「キャッ」

「やだッ えっちッ」

「お客さまッ」

 スキンごしに直接ペニスに巻きついていた細身のケータイは、射精がやんで
もなおまことから羞恥と快感を引き出そうと断続的な震えを繰り返した。まこと
は腰を引き、両手を床についた。それでも堪えられずに、ついには床に屈伏した。

「えっ?」

「なに? なんなの?」

「ボク? 大丈夫、ボクッ」

「お客さま? お客さまッッ」

 店内が騒然とするなか、ヴーッヴーッヴーッという振動音がささやかに響いていた。

「ふふ、じゃあおにぃが買って来たパンツ、見せてもらおうかな?」

 ベッドに腰をかけると瑞穂は言った。白いハイソックスに包まれた細やかな
脚を組み上げ、その上に右肘で頬杖を作り、まことを見下ろす。

「は、はい……」

 カーペットの上に正座させられたまことは、膝の上においた紙袋を包み持ち、
彼の小さな女王様におずおずと差し出した。

「ふふふ……」

 瑞穂はそれを受け取らず、妖しく瞳を光らせる。

「おにぃ、また大きくなってきてるよ。お店でのこと思い出して興奮しちゃった?」
「!」

 瑞穂の視線が紙袋ではなく、それが取り払われた場所に注がれていることに
気づき、まことは顔を赤くした。

「こ、これは……」

「それとも電車の中のお姉ちゃんたちのことかな? あれ、やっぱり気づいてい
たんじゃない? おにぃが側でイヤラしいくらいオチンチンを大きくしていたの。
イっちゃいそうなくらいおにぃが興奮していたの」

「や、やめて……」

「うふふふふ」

 うつむいてしまったまことに、瑞穂はからかいの笑いを投げ続ける。屈辱で
全身が火照った。羞恥の熱が部屋中に放散されていくのがわかる。
 まことは全裸だった。
 瑞穂の部屋にいる時は服を全部脱ぐこと。それが決まりだった。前を手で隠
すことも禁止。
 このルールが施行されてから1ト月近く経つのだが、未だに慣れることがで
きずにいる。相手が妹とはいえ、性への好奇心に満ちた少女に生まれたまま
の姿を晒すのはたまらなく恥ずかしい。見られていると思うだけで体温が上がり、
股間も体積を増してしまう。
 それでも瑞穂も裸なら少しは恥ずかしさも相殺されるだろうが、妹は靴下一
枚脱ぐことはない。まことは自分が奴隷の立場であることを否応なしに気づか
され、一方的に視姦され続けるのだ。羞恥の炎がやむはずはなかった。瑞穂も
それを承知の上で嘲弄しているのだ。

 もっとも、店での記憶が身体を疼かせているのも確かである。あれからまだ
一時間も経っていないし、瑞穂も焚きつけた熾火が消えぬよう、帰りの道行き
もまことを嬲り続けたからである。

 あの後。逃げるように店を飛び出して、瑞穂の元に帰ったまことは、股間の
ケータイを外させてくれるよう頼んだ。だが、妹の答えはノーだった。

「そんな……」と嘆くまことに瑞穂は

「逆らうならもう一度買いに行かせるよ? 今度は最初っから鳴らしっ放しで」

とストラップを回した。まことはうなだれるしかなかった。

 そして駅に着くと、今度は成宮の生徒、とりわけ女子生徒が多く乗り込む車
両が指差され、それに同乗するよう命じられた。車中でも彼女たちの近くに立
つよう指示され、まことは震えながらも従った。
 少し離れた席に座った瑞穂は、メールを打ち込む素振りをしながら、時々ま
ことの方を見てこれみよがしに送信ボタンを押す真似を繰り返した。まことは
その度に身体をぴくんと縮こませた。
 今度は見知らぬ客たちではなく、同じ学園の女生徒ばかり。しかも生徒会副
会長であるまことはそれなりに顔が売れている。ここで店と同じ醜態を晒した
ら次の日にはもう学園中に「変態副会長」の悪名が広まってしまうだろう。
 まことは生きた心地がしなかった。
 だがその一方で、身体はあの時の目の眩むような快感を期待して、股間に熱
い血液を送り続けてしまうのだった。
 まことはカバンで前を隠しながら、淫らな誘惑に耐えた。「悪い子」を必死
で心の隅に追いやり、ひたすら時間が過ぎ去るのを待った。フェイントばかり
と思っていると時折ワンギリの振動があり、まことを心底震わせた。釣られて
脈動しそうになる屹立を肛門を引き締めることで堪えた。
 
 幸い降車駅まで暴発することはなかったが、絶え間ない緊張のため、わずか
二十分あまりの乗車でまことは長時間ラッシュで揉まれたようにヘトヘトにな
ってしまった。それでも煽られ続けた怒張だけは元気だった。

「なあにこれぇ。子供っぽくてダサいのばっか。おにぃ、ちゃんと選んだの?」

 ベッドの上に並べた三枚のショーツを眺めながら、瑞穂は頬を膨らませた。
 白地にグリーンの横ストライプ、同じく白地に子猫の顔のバックプリント、
そして水色地に星やら熊やらウサギやらとにかく子供好きのしそうな模様をた
くさん散りばめた微笑まし気なショーツ。
 瑞穂の問いにまことは

「う、うん……」

と答えたが、もちろん真実ではない。あの時は店を早く出たい一心で手近にあ
った三枚を引っつかんだに過ぎない。だが正直にそれを明かしたらどんな折檻
をされるかわからないので黙っている。

「ふぅ〜ん。ま、おにぃのセンスなんてこんなもんでしょ」

 瑞穂もさして追求する事なく兄を小馬鹿にすると

「まあこのストライプのは多少はましかな?」

 ショーツを指でつまみあげ、立ち上がった。そして

「ちょっと穿いてみるから、おにぃ、これ脱がして」

 膝小僧の少し上を覆っていたデニムスカートの裾を両手で掴み、するりと捲
くり上げた。
 無駄な肉がまるでついていないすべやかな太腿と真っ白いショーツがあらわ
になった。
 ゴクリ。まことは喉を鳴らした。

 前に赤いリボンが付いているだけで、フリルもレースもないシンプルなデザ
イン。布地も多めで、少し上に引っ張ったらおヘソが隠れてしまいそう。まこ
との買ってきたのを「子供っぽい」と評したくせに本人が一番コドモこどもし
た下着を穿いている。
 だが、その子供っぽいショーツの下に自分を狂わせたオンナの匂いの源が
息づいているかと思うと、まことの劣情は否が応にも掻きたてられる。熱い血
液が股間に急速に集まり出す。
 幼稚園の時以来見ていない妹の割れ目。今はどんなにイヤらしく育っている
のか。
 震える右手を恐る恐る伸ばす。

「ダメだよ、おにぃ」

 しかし、指先がショーツの縁に触れるかどうかという時に瑞穂は言った。

「えっ!?」

 驚いて顔を上げるまことに、瑞穂はニッと八重歯を見せる。

「ふふ、誰が手で脱がしていいなんて言ったの? 奴隷があたしに触っていい
わけないじゃない。お口を使って脱がすんだよ、おにぃ」

「そんな……」

「そんな、じゃないよ。ほら、早く手を後ろに回してッ。早くッ」

「ぐっ……」

 まことは唇を噛み締める。気弱なマゾ少年ではあるが、彼だって心の中にケ
ダモノを棲まわす立派な男の子である。こうまでされるとこの生意気な妹を押
し倒して、乱暴に下着を剥ぎ取ってしまいたくなる。
 だが逆らうわけにはいかない。今の自分は瑞穂の言う通り奴隷なのだ。まこ
とは沸き上がる激情を抑え、両腕を腰の後ろに回す。右の手首を左の手で掴む。

「ふふ、良い子だねおにぃ。さあ早く脱がして」

 瑞穂はからかうように腰をくねらせる。眼前で白い布が卑猥によじられる。

「くうっ……」

 まことは屈辱に顔を熱くしながら身を屈めた。震える口元を妹の股間に近づ
ける。

「うふふふふ……」

 チラと見上げると、瑞穂は薄笑いを浮かべてまことを見下ろしている。兄を
屈服させる悦びに浸っているのか、頬をピンクに染めている。

(くっ……!)

 目を伏せ、さらに身体を延ばす。前歯をショーツの縁、リボンの真上あたり
にひっかける。下に向けて引っ張る。
 ムワッ。布の中に篭もっていた幼い雌臭が立ち昇り、まことの鼻腔を刺激した。

(あう……)

 クラッとなる。だか視線は斜め下に釘付けになる。
 毛一本生えていない真っ白な下腹とその真ん中に彫られた肉の縦筋。
 血が一気に沸騰する。咥えていた布の端が落ちそうになるほど息が荒くなる。

「ふふ、おにぃ。くすぐったいよ……」

 おヘソ周りを小刻みな風でそよがれた少女は身をよじらせる。心なしか声も
上ずっている。

「!」

 妹のささやかな痴態に兄の息はさらに激しくなる。秘密の部分を目の当たり
にすべく、顎を何度も上下させながら邪魔な布切れをずり降ろしていく。
 徐々にあらわになる少女の三角地帯。焦点が近すぎるのでどうしてもボヤけ
てしまうのだが、それでも精一杯目を見開いて縦筋のさらにその奥を見極めよ
うとする。

(アソコ……瑞穂の、女の子のアソコ……くそッ)

 なかなか落ちないショーツと手を使えないもどかしさに少年の焦燥は高まっ
ていく。同時にその熱は股間で激しい劣情へと変換されて屹立を膨張させてい
く。

(あとちょっと……うちょっとで……)

 下からのアングルで見れる。無修正画像でしか見た事のないホンモノの少女
のアソコを目にできる……。だが、鼻先が三角形の頂にたどり着いた辺りで

「はい、そこでおしまい。今度はこっちから」

 瑞穂は軽くジャンプして身体の向きを替えた。眼前にまだ半分以上布で覆わ
れている小さなお尻が現れた。

「?!」

 突然の事で一瞬まことは面食らってしまったが、瑞穂のクックックという忍
び笑い、それに釣られてふるふると揺れるお尻を見て全てを理解した。

(からかったんだ、ボクを……)

 身体が熱くなる。「お預け」を食らわすことで自分の屈辱と興奮をさらに煽
ろうというのだ。そして悔しいことにそれは目論見どおりになった。

(くそッ。絶対見てやるッ)

 まことはよじれた布の端にかぶりつき、勢いよく身を倒した。

(あ……)

 その瞬間、わずかに開いていた瑞穂の脚がぎゅっと閉じられた。抵抗の少な
くなった布地はするりとお尻・太腿を抜けた。そして加速のついたまことの身
体は一気にふくらはぎの所まで落下した。背中に鋭い痛みが走った。

「あうッ」

「うふふふふ……」

 さらに追い討ちをかけるように、瑞穂は足を片足ずつ上げてショーツを脱いだ。
兄の両頬は妹の踵で蹴り上げられた。

「ぐふッ」

 まことは床にくっ伏した。両手をつき、脱ぎたてショーツに顔を埋めた土下
座の状態。

「はい、ご苦労様」 頭の上から声がした。

「じゃあ今から穿くからおにぃはそのままね。顔を上げちゃダメだよ」

 鼻歌が聞こえてきた。中に衣擦れの音が混じっている。

(チクショウ、チクショウ、チクショウ……)

 まことは屈辱に震えた。生意気な妹に、情けない自分に、そしてこんな状態
にありながらも興奮しているふしだらな身体に。
 まことの怒張は下腹と腿の間に挟まれて痛いくらい腫れ上がっていた。羞恥
と鼻腔からの性臭を吸い上げ、びくびくと震えながら体積を増していっている。
悔しさにショーツを噛み締めている口も、いつの間にかそこから染み出る妹の
味をすすり上げる事に必死になってしまっている。

(ああ……ああ……)

「ふふ、おにぃ。もう顔を上げていいよ」

 自己嫌悪に捕らわれたまことは、妹の言葉に力無く身体を起こした。

(あッ……)

 まことは硬直した。瑞穂の姿はそこになく、代わりに正面にあったドレッサ
ーがいつの間にか開いており、その扉の姿身に自分の姿が映っていた。
 全裸に正座、ショーツを咥えて天を突くほど股間を勃起させているあまりに
も情けない自分の姿が。
 カーッ。全身が羞恥の炎に包まれた。怒張が一際大きく跳ねた。前触れのヨ
ダレがツーっと幹を降りていく。

「ああッ」

「ふふ、いい格好だよ、おにぃ……」

 鏡の奥で瑞穂はほくそ笑んだ。

「ヤだッ」

 たまらず目を背けた。咥えられていたショーツがカーペットの上に落ちる。

「ふふふ」

 瑞穂はスカートを持ち上げたままその場でくるりと一回転する。白地に緑の
横縞が不軌道な円を描く。

「ん、まぁまぁかな。さて次はと・・・・・・・」

 スカートを降ろすと、瑞穂は身を屈め、ベッドの上のショーツをつまみ上げた。
子猫の顔のバックプリント。それを持ったまままことの方に向き直る。

「おにぃ。おにぃも自分で買ってきたパンツがどんな穿き心地か知りたいでしょう?
 これ穿いて!」

「ええっ?! イヤだよォッ」

 慌てて瑞穂の方に振り向いた。

「イヤ、じゃないよ。ほらッ」 

 顔の前にショーツを突き付ける瑞穂にまことは

「イヤだ。絶対イヤだッ。ボク女の子のパンツなんて穿きたくないよッ」

 ブンブンと顔を振る。これ以上辱められるのはごめんだった。

「あれ? 逆らうの、おにぃ?」 瑞穂の表情が曇り出す。

「だって……」

「だって、じゃないよ。おにぃはパンツ好きじゃない。あたしのパンツでオナニー
するぐらい好きじゃない。お店でもハアハア言いながらいじくり回して、今だって
顔を埋めてオチンチン大きくしちゃうくらい好きじゃない」

「そ、それは……」

「だからそんなに好きなら捌かしてあげようって親切に言っているのに、それ
を断るの? 逆らうのッ? おにいッ!」

「でも……」

「でもじゃない。穿きなさいッ。穿くのッ!」

「あう……」

 妹の釣り上がった眉に怯えたまことはやむなくショーツを受け取った。立ち
上がり、しばし手の中のショーツを見つめる。無邪気にこちらを見返す子猫の
顔がまことの羞恥をさらに煽る。

「ほら、どうしたの? おにぃ」

 機嫌を取り戻しニヤニヤ笑う瑞穂と子猫の視線から逃れるようにまことは目
をつぶった。息を飲み身を屈め、ショーツに足を入れる。両端を掴み、グイッ
と持ち上げる。

(あうッ……)

 ゾワゾワッとした感触が脚からお尻、そして背中へと駆け抜けた。全身が粟立った。

(な、なんで……こんな……ボク……ボク)

 不思議な感覚だった。
 素材はコットン。いつも履いているブリーフと同じ。新品で誰が足を通した
というものでもない。なのに……。
 なのにこの気持ち良さはなんなのだろう。すねに、膝に、内股に触れた時に
感じたあの痺れはなんなのだろう。お尻がぴっちり覆われる感触が甘美なのは
なんでなんだろう。薄い布に股間を締め付けられただけなのに震えあがるほど
興奮してしまうのはなんでなんだろう。

(ああッ、ダメッ……)

 本来収納すべき余地のない布地の中で怒張はさらに膨れ上がった。ショーツ
の縁から赤く腫れた仮性包茎の亀頭が這い出してくる。透明な液を吐き出しな
がらさらにその身を伸ばす。血管を浮かび上がらせた幹が下腹とゴムの間には
さまれて悲鳴をあげる。

「あううぅッ」

「ヤーダおにぃったら。イヤだイヤだって言いながらさっきよりオチンチン大
きくしちゃってるじゃない。ふふふ」

「ああ、見ないで。見ないでぇぇッッッ」

 前を隠すようにしゃがみ込む。

「ダメだよおにぃ。しっかり見なきゃ。ほらッ」

 瑞穂はまことの頭を両手で挟み、身体を起こす。顔を鏡の正面に無理やり向
けさせる。

「イヤッ、ヤダッ……イヤだァッ」

 鏡の中に可愛らしい少女の下着からイヤらしいオスの肉を突き出してヒクヒ
クいわせている自分がいる。瑞穂と自分に見られる悦びでふしだらな分身はさ
らに長さと堅さを増す。恥ずかしいのに情けないのに自分でもどうにもならない。
開発されてしまったマゾ心のせいなのか。それともこれが女の子の下着が持つ
魔力なのか。

「ああッ、イヤだッ。あああッ」

「ふふ、こんなに大きくなっちゃって。いけないオチンチン」

 瑞穂はまことの傍らに立つと、靴下の中で丸めた右の爪先で悶え立つ怒張を
ピッと弾いた。

「あうッ」

 脳天に鋭い痛みが走る。だがそれがおさまると肉棒はさらにそそり立った。

「あれ? いいんだ? 女の子のパンツ穿かされて足でオチンチンいじられる
のがそんなにいいんだ? 変態ッ。おにぃのド変態ッ」

「あッ」

 瑞穂の足がまことの肩を蹴り押した。少年は仰向けになって倒れ込んだ。

「ホントおにぃはどうしようもない変態だね。そんないけないオチンチンは……」

 ハイソックスに包まれた右足が持ち上がり、股間の真上に据えられた。ムワ
ッと生暖かい感触が屹立全体を覆った。

「や、やめ……」

「こうしてやるッ」

「んあああああッッツッ」

 右膝が勢いよく曲げられ、怒張は少女の足裏に押し潰された。
 まことは顔をのけ反らせ絶叫した。

「ふふふふふ……」

 絶叫を聞いても少女はひるまない。最初に載せたウエイトをキープしつつ、
膝を軽く曲げ伸ばしする。

「ああやめて瑞穂ッ。やめてぇぇッッ」

 まことは顔を歪ませ、頭を左右に床に打ちつけながら訴える。

「ふふ、やめてやめてって言いながら……」

 瑞穂はグッグッと屈伸運動を繰り返す。

「オチンチンさっきより元気になってるよ。ビクンビクンって瑞穂の足を押し
返しそうなくらい。これ、どういうこと?」

「ああッ」

 顔が熱くなる。
 自分でもわからない。こんな自分は否定したい。だが男のシンボルを踏み
にじられるというこれ以上のない屈辱を受けているのに、身体の奥に、心の
底に、それを悦びとして受け取り、悶え喘いでいる自分が確かにいるのだった。

「ああ……ボク、ボクぅッ……」

「うふふ……」

 ひとしきり踏みしめると、瑞穂はペニスを足裏で捉えたまま腰を引いた。
 屹立から黒く濁った血が流れ去り、肺に新たな酸素が供給された。
 まことは荒い呼吸に胸を上下させながらもホッとした気分になる。
 だがすぐに

「あふッ」

 再び膝が曲げられた。ただし今度は軽く。そして上下運動が前後運動へと
すり代わった。
 怒張は靴下の湿った、だがザラザラとした表面に撫でこすられた。

「ひゃぅぅぅぅッッ」

 痛みよりも心地よさが優る刺激。まことは総毛立った。屹立に新たな劣情が
充填され、その上を適度な重さと温かさを持った足が往復する。悶絶するほど
の苦通の後ということもあって、その快感は凄まじかった。

「あッ、あッ、ああんッ」

 女の子みたいな喘ぎ声が出てしまう。

「ふふ、ねえおにぃ……」

 瑞穂はそんな兄を見下ろしながら目を細める。そして言う。

「おにぃはホントは自分で穿きたくてパンツを買ってきたんでしょ?」

「あッ、あッ……えっ?!」

「自分で穿きたいからこんな可愛いパンツばっかり選んできたんでしょ? 
そうなんでしょ?」

「えっ、ええっ?」

 突然の言葉にまことは戸惑う。妹が何を言っているのかわからない。

「どうなの?」

「うンッ、あッ……ち、ちがうよ。そんなこと少しも思ってなかったよ、
あ、あふッ……」

 快楽の渦に巻かれながらも正直に答える。

「ホント?」

「ホ、ホントだよ……あッ、あうッ」

「ウソつきッ!」

「んああああああッッ」

 前触れなく勢いよく膝が曲げられた。綿菓子のようにほわほわとした甘い
快感が一気に激痛の塊に変換されて脳天を直撃した。目から火花が飛び出た。

「ぐううッッ」 

「ふふ……」

 膝はすぐに引かれ、再び緩やかな刺激が与えられた。まことはしばし激痛
の余韻の中にいたが、少し経つとまた快感の波の中に浸り出した。

「あッ、ああッ、あふッ……」

「で、どうなの?」

 頃合を見計らったのように、瑞穂が再び問う。

「あ、あ、あ、……」

 まことは返事にためらった。だがウソは言えない。言ったら却って怒りを
買うような気がする。震えながらも正直に答える。

「あッ、だ、だから、そんなこと全然思って……」

「ウソッ!」

「うあああああああッッ」

 何度もそんなやり取りが繰り返された。
 快楽と苦悶によるニセの自白の強要。
 瑞穂は「自分で穿くために女の子の下着を買ってきた、イケナイ兄を懲ら
しめるプレイ」でもしたいのか、執拗に責めたててくる。まことも怯えつつ
も認められないものは認められないとNOと言い続ける。妹の奴隷に身を落と
しているとはいえ、兄として、男としてのプライドはまだ残っている。自分は
そこまで変質的じゃない……。
 だが。

「どうなの? おにぃ」 さらに何度目かの問いに
「だ、だから……」 ちがう、と答えようとしてまことは言葉に詰まった。

『ホント?』 

 そう問う声が耳に聞こえてきたのだった。外側からでなく内側から。

『ホントに思わなかった? 少しも思わなかった? お店で下着を見てチラ
ともあれを身につけてみたいと思わなかった?』

(お、思わないよッ) 狼狽するまことに声はさらに

『じゃあさっきパンツを穿いただけでなんであんなに興奮したの? 穿きた
かったからじゃない? パンツを買ってきたのも瑞穂の命令といいながら
ホントは自分で穿いてみたかったからじゃないの?』

(ち、ちがうッ。ないッ。そんなことないッ)

「おにぃ、どうなの?」

 瑞穂の声。まことはハッと我に返る。

(なに、今の……)

 また『悪い子』が這い出てきたのか。
 それとも繰り返される責めに精神が変調したのか。

「ねえ、どうなの?」

「だ、だから……」 

 その先が言えなかった。答えられなかった。

「そうなんだね?」 

 瑞穂の瞳が妖しく光った。口元がニッと歪んだ。待ってましたと言わんば
かりに。

「やっぱりそうなんだね、おにぃ? 自分が穿きたくて買ってきたんだね?」

「ああッ……」

「認めなよ。認めちゃいなよ、おにぃ。最初っから女の子のパンツが穿きたく
て買いに行ったんだって」

「イヤあああッ ああああッッ」

 まことは激しく頭を振った。

「うふふふふふ」

 まことが崩れ落ちたとみるや、それに合わせて瑞穂は足のスピードを変えた。
単調で緩慢な撫でるような動きが激しく熱い摩擦運動にすり代わった。

「あうあッ! ああッ あああああああッッ!」

「ふふ、おにぃったら強情なんだから。ねえ、おにぃ。お店で何を考えていたの?
自分がパンツ穿いてうっとりしている姿? パンツだけじゃなくてブラジャーや
キャミソとかも身につけた姿? いやらしいッ」

「ヤダッ、ヤダッ、イヤああああっ」

「ふふ、それだけじゃないかな? ねえ、ひょっとしてお店の人やお客さんにも
見てもらいたかったとか? おにぃ、見られるの好きだもんね。あ、もしかして
瑞穂が見てない隙に試着室でもう穿いていたとか?」

「ああちがうッ。そんなこと、そんなことぉぉッッ」

 畳み掛けられる足戯と言葉。汗と先走りを吸い込んですっかり重く湿った
粗目の布は、ジュリュッジュリュッとまとまりつくように怒張を撫で責め、
淫靡な毒を含んだ言葉は少年の正常な精神を苛んでゆく。
 店の中で下着姿を晒している自分の姿が浮かんだ。入った事もない試着室
でうっとりと下着をとっかえひっかえしている自分。妄想。偽りの記憶。
だが、渦巻く興奮と快感の中でだんだんそれが本当にやった事のように思えて
くる。

「!」

 刺激的なビジョンに誘発されたか、まことの身体の奥の奥が震えた。火照る
背中に一筋の冷たい戦慄が駆け昇る。睾丸がぎゅうっと絞られる。

「み、瑞穂ッ、ダメッ……ダメッ」

「なによ、なにがダメなの?」

「で、出ちゃうッ。もうボク、イっちゃうぅッ」

「イっちゃう?」 瑞穂の目つきが険しくなる。

「イっちゃうってなによ。お仕置きの最中なのに瑞穂の許可なく勝手にイって
いいなんて思っているのッ」

「だ、だから許してッ。イかせてッ。出させてぇぇッッ」

 がくがくと身体を震わせる。アヌスを引き締め発射を堪える。

「ふーん、じゃあおにぃ、認めるんだね? おにぃは自分が穿きたいからパン
ツ買いに行ったんだって。おにぃは女の子のパンツを穿きたくてしょうがない
変態だって。パンツ穿くためなら恥ずかしいことでも何でもしちゃう大変態
だって」

「そんな……そんな……あッ、ああああッッ」

「ふーん、それならそれでいいけどォ」

 言いながら瑞穂はここぞとばかり責め立ててきた。足裏を前後に擦るだけで
なく左右に倒したりこねくり回したりする。靴下のなかの足指を駆使して亀頭
を挟んだりつかんだり撫でたりする。

「んあッ、ああッ、ダメッ、瑞穂ッ、ダメェェェェッッ」

「どうなのおにぃ? 認めるの、おにぃッ」

「み……」

 認めるな。認めちゃダメだ。心が叫ぶ。

(認めたら……犯されちゃう。身体や心だけでなく記憶まで犯されちゃう。
イヤだ、そんなのイヤだぁッ)

 しかし口から出てきた言葉はこうだった。

「認めるッ、認めるよォッ瑞穂ッ。だから、だからイかせてぇぇッッ」

 射精への誘惑だけならあるいは認めなかったかもしれない。だが自分の心に
裏切られては認めざるを得なかった。いや、裏切られたのか元からの本心なの
かそれすらももはやわからなくなっていた。とにかくラクになりたかった。

「ふーんどう認めるの? ハッキリいって」 瑞穂はニヤニヤ笑う。

「……ボ、ボクは女の子のパンツが欲しくてお店に行きました。女の子のパ
ンツが穿きたくて買いに行きました。お店の中でパンツを穿きました。穿い
た姿を他のお客さんに見せびらかしたりしました……それから、それから」

 どんどんと言葉が出てくる。どんどんと自分を貶める言葉が沸き出てくる。
それが本当にあったかのように。そう言葉を紡ぐことが悦びであるかのように。

「……だから、だから瑞穂ッ、もう……もうッ!」

「ふふ、やっと認めたね、おにぃ。ホントおにぃはどうしようもないエロで
変態なんだから。いいよ、そんな変態はさっさとイっちゃえ。瑞穂の足に踏
まれて出しちゃェェッッ」

 ぐにゅぅぅッッ。瑞穂は思いっきり右膝を踏み込んだ。体重と勢いの全てが
少女の足裏から悶え膨れた怒張にかけられた。足ごと下腹にめり込む。

「んぐああああああッッ、あああああッッ」

 痛みとともに凄まじい快感が股間から背中、そして脳髄へと駆け抜け、
快楽中枢を直撃した。堪えに堪えた水門が決壊し、踏み敷かれた亀頭の先
から白濁の液が勢いよく飛び出した。今日二度目とは思えぬほどの濃さと
量の吐液を腹から胸にかけてぶちまける。

「ああッ、あうあッ、あんああァぁッ」

 射精が起こっても瑞穂は足をどけなかった。むしろさらに踏み込んだ。ビク
ッビクッビクッと脈動する怒張に合わせ、ぐっぐっぐっと膝を曲げる。尿道
にこびりつく精液の全てを絞り出すように体重を載せてくる。反りあがろうと
してそれを抑えつけられたまことの腰が何度も床をバウンドする。

「んッ、グッ、あああああああッ」

 カーペットを握り締め、快感の波に打ち震える。頭の中が白く点滅し、
まことは最後の一滴を放出した。

「んあッ」

 床に崩れ落ちた。瑞穂もようやく足を離す。

「ふうッ」

「ああ……」

 快感の余韻と射精後のけだるさにぼんやりとなりながら、まことは自分
の記憶が書き変えられてしまったことへの憐憫に浸っていた。もう瑞穂のみ
ならず、誰に言われても、自分はあの店で下着姿を晒したのだということを
否定しきれないだろう。そんな気がしていた。

「あーあ、おにぃのセーエキでベットべト。ねえ、おにぃ。脱がして」

 顔の上に濁液まみれのハイソックスの足がかざされた。まことはのろのろと
身を起こし、妹の右すねに口を近づけた。そのままゆっくりと自分を犯した
白い布を下ろしていく。もう逆らう気力などなかった。

「ふふふ」

 瑞穂は薄ピンクに頬を染め、満足げに微笑みながらまことを見下ろす。

「その猫ちゃんパンツもグショグショだね。それ、おにぃにあげるよ。うれし
いでしょ?」

 一瞬ためらう。だかすぐにコクリとうなずいた。

「ふふ。それからね、おにぃ」

 パサッ。視界が急に暗くなった。目になにかの布が落とされた。ぼんやりと
だが布地の水色さと星やクマのマークが識別できた。

「おにぃは女の子のパンツを穿くのが大好きなんだよね? だったらもっと
穿かせてあげる。明日はそれを穿いて学校に行くんだよ。いいね?」

 クックックという忍び笑い。

「イヤなんて言わないよね?」

 言えるわけが……なかった。
「センセーイ、須藤くんが女の子のパンツ穿いてオチンチンをボッキさせて
まーす」

 まことの隣の席の女生徒が手を挙げる。授業中の静かな教室はたちまち
騒然の坩堝と化す。

「イヤだぁッ。ウッソぉ」

「マジかよ須藤ッ!」

「信じらんな〜い」

「変態ッ。須藤くんの変態ッ」

「ち、ちがうんだ、みんなッ。ちがうんだッ」

 慌てたまことは席を立ち上がって訴える。だが誰も聞く耳を持たない。みな
口々にまことを攻め立てながら、嘲りと軽蔑の視線を向けてくる。

「ホントなの? 須藤くん」

 教壇の上の女教師も眉根を寄せる。背の高いスタイル抜群の美人だが、掘
りの深い造詣に釣りあがった瞳のキツ目の顔立ち。性格も、かつて自分の尻
を触った同僚教師を気絶するまで張り倒したらしいと噂されるほどのアマゾネス。
まことは激しく首を振る。

「ちがいます、先生ッ。信じてくださいッ」

「ちがうの? ホント?」

 言いながら長身の英語教師は近づいてくる。ヒールが踏み出される度にブラ
ウスが内側から破けそうなほどの胸と野生味のあるウエーブかかった黒髪が
揺れる。その迫力と鋭い眼光にたじろぎながらもまことは声を絞り出す。

「は、はい」

「そう。でもだったら……」

 女教師はまことの前に立つ。右手をしなやかに振り上げる。

「これはなにッ!」

「あうッ!」

 手にされていた指示棒が空を裂き、股間の盛り上がりを直撃する。まこと
は体をくの字に屈め、身悶える。女教師はそれを冷ややかに見下ろしながら

「ふん。こんなにオチンチンを膨らませておいてちがうもなにもないものだわ。
イヤラしいッ」

「あうう……」

「でもどうしてもちがうと言い張るのなら、ここでズボンを脱いでみんなに
見せてごらんなさいッ」

 言い放つ。まことは前を抑えながら首を振る。

「そ、そんな。できません」

「そう。できないの……」

 女教師の目が妖しく細まる。

「それじゃあ仕方ないわね。そこのあなた、代りに脱がしてあげなさい」

「はーい」

 隣の女子生徒が立ち上がる。ニヤニヤ笑みを浮かべながらベルトに手を伸ば
してくる。

「イ、イヤだぁッ」

 まことは逃げようと後ずさる。だが別の女子生徒により羽交い締めにされ遮
ぎられる。両足首にもそれぞれ少女が飛びついてきて、まことを完全に拘束す
る。スラックスはあっという間にすねまでずり降ろされる。

「ああッ」

「キャーッ」

 女子生徒たちから悲鳴とも歓声ともとれる叫びがあがる。少年の細腰をまと
う女児用ショーツとそこからはみ出した血管浮き立つペニスがあらわになる。

「センセーイ、やっぱり穿いてまーす」

「オチンチンもビンビンでーす」

「まあ、なんてことかしら」

 言いながらも女教師は口元をほころばせ

「須藤くんがこんな変態だとは先生しらなかったわ。真面目な良い子だとばか
り思っていたのに」

「ああ、許して……許してください、先生ッ」

「ダメよ。こんないけない子にはお仕置きが必要だわ。須藤くん、そこに手
をついてッ」

 側の机を指し示す。まことがイヤッ、許してと首を振ると、再び女子生徒
たちが群がってきて無理やり掌をつかされる。足を抑えつけられる。

「イヤぁあッ。放してぇッ」

「ふふ。さあ須藤くん、もっとお尻を高く上げなさい。ほらッ、もっとよッ。
そう、そうよ。うふふ……」 

 女教師の手が臀部に伸び、ショーツが膝まで引き降ろされる。屈辱の姿勢
をとらされた少年は懲罰の予感に打ち震える。

「ああ、イヤだッ。やめてください、先生。お願いですッ」

「ふふ、覚悟なさい須藤くん。いくわよッ」

「ああッ!」

 小気味よい平手打ちの音が教室に響く。まことは背をのけ反らせる。さらに
一発。間をおいてまた一発。何度も何度も手が振り下ろされる。

「ああ、許してぇッ」

「まだよッ。まだまだッ」

 泣いて哀願する少年の尻を女教師は飽く事なく打擲する。生白い双丘が真っ
赤に染まり、悲鳴がすすり泣きに変わっていく。

「もう、もうイヤです……やめて……やめてください、せ、先生ッ……」

「ふふ、イヤだイヤだ言いながら須藤くん……」

 女教師は股間を覗きこみ

「オチンチンさっきより勃ってるわよ。あなたひょっとしてマゾ?」 

「ち、ちがいますッ」

「そうかしら?」

「ああーっッ」

 一際強く腫れた尻肉が打ち叩かれる。背中ののけ反りと共に怒張が大きく脈
打って下腹に張り付きそうになるほどそそり立つ。

「やっぱりマゾね。クラスのみんなが見ている前でこんな恥ずかしいお仕置き
を受けてるのに感じちゃうなんて。なんてエッチな子なのかしら」

 女教師はせせら笑う。

「え〜っ、須藤くんってマゾなんだぁ」

「秀才なのにぃ」

「副会長なのにぃ」

「ぶたれて喜ぶ変態なんだぁ。ゲンメツぅ。ケイベツぅ」

 女子生徒たちも囃し立てる。その恥辱を受けて肉根はさらに膨れ上がり、
溢れる先走りが床へと滴れ落ちる。

「ああッ……」

「ふふ、もう出ちゃいそうね、須藤くん。いいわ、イッちゃいなさい」

 女教師の手が股間の下から差し込まれ、ぬらつくペニスにまとわりつく。
前後に激しくシゴかれる。

「イ、イヤぁぁッ。ヤダぁああッ」

 淫猥な指から逃れようとまことは腰をくねらせる。女教師はふふ、と笑い
ながらもう片方の腕を少年の腹に回し、自分の方に引きつける。手筒のスピ
ードをさらに上げる。

「ああッ、ダメぇぇッッ」

「ほ〜ら、観念して出しちゃいなさい。みんなに見られながらエッチなお汁を
いっぱいブチまけなさいッ」

「イヤあぁぁッ、イヤあああああっっ」

 迫り来る恥辱の絶頂にまことは慄きの叫びを上げ──



「──くんッ。聞いてるの、須藤くんッ。須藤くんッ!」

(はっ……)

 頭上からの怒声にまことは我に返った。膨れ上がった妄想が弾け飛び、現実
の光景が浮かび上がる。
 机の上に載った教科書とノート。そしてその上に落ちている自分以外の人影
えもいわれぬ圧迫感。
 心臓が縮んだ。恐る恐る顔を上げた。

「あう……」

 予想どおり女教師が目の前に立っていた。腰に手を当て、まことを睨み下ろし
ている。その目つきの怖さは妄想のそれといい勝負。背中に冷や汗が流れた。

「須藤くんッ」

「は、はいッ」

「続きを読んで訳してちょうだい、って何度も言ったのだけど、聞いていたのか
しら?」

 瞳をまっすぐ見据えられる。まことはたまらず目を伏せる。

「いえ、その……聞いてませんでした。すみません……」

「そう? なんか『イヤッ』って聞こえた気もしたけど? そんなにあたしの授業が
イヤ?」

 訝しげに顔を近づけてきた。まことは身をすくませて首を振る。

「そ、そんなことありませんッ」

「ふん。まあとにかく……」アマゾネス教師は身体を起こすと

「困るわね、副会長ともあろうあなたがそんなんじゃ。みんなに示しがつかないで
しょうがッ」

 鋭く貫くような声でまことを叱りつけた。少年の身体はさらに縮こまる。

「はい……ごめんなさい……すみません」 ひたすら頭を下げ続ける。

「まあ今回は普段の真面目さに免じて許してあげてもいいけど」

 すっかり小さくなってしまったまことを見てやりすぎと思ったか、女教師はトーン
を和らげ

「でも今度そんな腑抜けた態度でいたら……お仕置きしちゃうゾ」

 笑みを浮かべた。張りつめた空気の教室にも笑いの波が起きる。だが、
まことは「お仕置き」の言葉に反応してビクンッと背中と股間を震わせた。

「は、はいッ……」

「あーいいなあ、お仕置き。オレも受けたーい」

 クラスのお調子ものがおどけた声を上げた。女教師もそれを受け

「あらそう。じゃあ続きはあなたにやってもらいましょうか」

「ゲッ」

 さらに笑いが起きて、なごやかな雰囲気の中、授業が再開された。お調子
ものがあたふたとリーディングを始め、女教師も教壇に戻っていく。生徒たち
もみな教科書へ目を向ける。
 まこともそれに習う。だが視線はすぐに英文から外れ、意識の内へと落ち
てしまう。

(ボクはまたあんなエッチな想像を……それも先生やクラスメイトをオカズに
……)

 頬が熱くなる。自己嫌悪と羞恥のあまり自分をこの世から消してしまいたく
なる。
 今朝から何度こんな淫らな妄想に耽ってしまっただろうか。
 路上、電車の中、学園内……。
 まことは行く先々で、そこに居合わせた女子学生やOL、女教師たち嬲ら
れ、犯されることを想像しては心と股間をたかぶらせることを繰り返してし
まっていた。
 妄念の源はスラックスの下のショーツ。昨夜瑞穂に穿いていくよう渡された
あの水色地の女児用ショーツだ。
「女の子の下着を穿いている」そう思うだけでも身体が熱くなってしまうの
に、妄想癖のあるマゾ少年はその上さらに「もしはいているのがバレたら
みんなどんな目でボクを見るだろう。どんな折檻を受けさせられるのだろう」
と被虐の方向に想像を巡らせ、我を忘れるほどそれに浸ってしまうのだった。

(いけない。こんなイヤラしいことばかり考えてちゃ……)

 我に返る度にそう自分を諌めるのだがどうにもならない。むしろ抑えつけれ
ばつけるほど妄想が膨れ上がってしまう。

(あっ、ダメッ……)

 そして今もまた、反省中だというのに新たな淫想が沸き上がってしまって
いた。
 女教師に「お仕置き」をされている場面。またもボーッとしていたまことは
今度こそ女教師の怒りを買って、罰としてみんなの前で服を脱ぐよう命じら
れる。
 そして発覚する女児ショーツの着用。クラスメイトからの罵倒と嘲笑の中、
まことはショーツをペニスに巻きつけ強制的にオナニーを……

(ああ〜っッ、ダメダメダメ〜ッ!)

 まことは激しく首を振り、その妄想を吹き飛ばす。

「いいこと? この文章の中で一番重要な構文は……」

 リーディングはいつのまにか終わっていて、文法説明になっていた。女教師
は板書をしており、みんなもそれを書き写すのに必死になっている。
 まことは周囲を見回して、誰も自分に注目していないのを確認すると、
そっと股間に手をやった。
 女教師の叱責で一時は体内に引っ込んだかと思うくらい縮こまっていた屹立
は、今やまたスラックスをぶち破りそうなほどに猛ってしまっていた。熱い
脈動が布地を通して手のひらに伝わってくる。

(ああ、出したい、出したいよォ。ヌキたいよォ……)

 まことは股間を撫でさすりつつ、歯を食いしばってその衝動に耐える。
 ヌキさえすれば少しはこの妄念も治まるだろう。だがそれはできない。授業
中だから、というわけではない。
 あの雨の日以来。まことは瑞穂の見ている前以外での射精を禁じられていた
のだった。
 黙っていればわかりっこない、ということはない。毎日のように兄の精液を
搾り取っている妹は、その濃さも量も把握しているのだ。
 事実一度あまりの不自由に耐えかねて、学園のトイレでしたことがあった。
だがそれはたちまちバレて手酷い折檻を受けた。
「そんなにオナニーがしたいなら思う存分させてあげる」と、それこそ精液
に血が混じるほどになるまで自慰を強要されたのだ。
 あの時の死をも感じさせた恐怖はまことの精神に深く刻まれている。家に
帰って瑞穂の許しを得るまでは射精するわけにはいかない。せめてできるの
はこうして机の下やトイレの中で猛り狂うペニスを撫でさすり、慰めることぐらい。
 しかし結果的にそれは疼きや妄想をいや増してしまうことになるのだった。
だがやらずにはいられない。触れずになどいたら恐らく所かまわず叫び出し
身悶えしていただろう。どちらを向いても地獄。

(ああ……早く、早く今日が終わって。お願い……)

 目を堅くつぶって祈る。だがまだ時間は午前中。まことは気が狂いそうだった。
 そして昼休み。
 クラスメートたちがみな育ち盛りの胃袋を満たしたり、お喋りや遊びに興じ
たりと短い休みを満喫している中、まこと一人自分の席でうなだれていた。

「はぁ〜っ……」

 重いため息を眼下の弁当箱へと落とす。中身はほとんど減っていない。
 まだ半日が終わったばかりだというのに、まことは気疲れですっかり消耗
してしまっていた。
 弁当箱を広げてみたものの、いっかな食欲が沸いてこない。一口二口食べ
ただけで箸をおいた。後はひたすらため息ばかり。

「あれ? どうした須藤。ちっとも食ってねーじゃねぇか。おまえどっか悪い
んか?」

 そんなまことにクラスメイトの関口良平が声をかけてきた。
 良平は中等部一年からの友人で、まこととは正反対の社交的で冗談好きの、
女の子ウケもいい性格。だが初対面の時から不思議とウマがあい、一応お互
いを親友とみなしている関係だ。

「う、うん。いや、その、なんでもないよ・・・・・・」

 心配そうに顔を覗き込んでくる良平に、まことは曖昧な返事を返した。
いくら親友とはいえ話せないこともある。視線を避けるように手つかずのオカ
ズに目を落とす。

「ふぅ〜ん? でも何かヘンだぞ、今日のおまえ」

 納得いかないのか、良平はさらに顔を近づけてきて

「授業中もやたらそわそわしてたし、トイレもでっかいのばっか行ってたし。
あ、そうか。おまえアレか」

 手をポンと打った。

「下痢ピーか?」

「ちょっとォッ。関口くんッ」

 まことの隣で昼食の席を囲んでいた女子グループから非難の声が上がった。

「おおっと、すまねえな」良平はそれを軽くそれをいなし

「でもホント大丈夫か、おまえ? なんなら一緒に保健室行ってやろーか?」

「い、いや。本当になんでもないからッ」

 まことは慌てて首を振った。もし保健室に連れて行かれて、そこで養護教
師に服を脱ぐように言われたら……。

(あっ、ダメッ……ダメだってッ)

 だがその不安はすぐに期待へと擦り変わってしまった。またぞろ淫らな妄想
がまことの頭と股間を膨れさせる。

(ああ……ボクは……ボクってやつは)

 側で友人が心配してくれているというのに。まことは自分のあまりのふがい
なさにうなだれた。羞恥で頬を熱くする。心の中で良平に詫びる。

「はは〜ん」

 しかしその良平は赤くなったまことを見て何を思ったか、声に笑いを含ませた。

「そうか。おまえアレか。病気は病気でも恋の病か」

「えっ?」

「またまたぁ、トボけやがって。愛しの『オレ会長』のことで胸が一杯でメシが喉
に通らないんだろ?」

「な、なに言ってるんだよォッ」

 出し抜けに有希の事を持ち出されて、まことは声を張り上げた。顔がさらに
火照った。

「おっ、やっぱりそうか」

「ち、ちがうったらぁッ」

 まことは拳を上下に振って抗議するが、良平はニヤニヤと笑うばかり。

「まったくおまえもしょうがないなあ。こんなところでウジウジしてるくらいなら
屋上でも中庭でも会長と仲良くラブラブ弁当すりゃーいいじゃねぇか」

「だからちがうって……」

「そーよ須藤くん。なんならあたしC組まで呼びに言ってあげようか?」

 女子生徒たちからも茶々が入る。

「ホントにねぇ。みんな知ってることなんだから隠さず堂々とやればいいのにねぇ」

「ねぇねぇ須藤くん。会長さんって二人きりの時もあんななの?」

「きっとそうだよ。こんな感じ? 『ほら、まことォ。あーんしろよッ。しろったらぁッ』」

「きゃははは。そーだ。絶対そーだ」

(くうううううッッ……)

 まことは茹でタコのように真っ赤になる。
 生徒会副会長であるまことと「オレ会長」こと本橋有希との仲は「そういう風なも
の」として周りには認知されてしまっている。実を言えばまことも「そういう風」に
なりたいなという願望があり、有希の方もそう思ってくれてるんじゃないかという
フシもある。
 だが告白は未だなされておらず、今のところ二人はただの友人であり、会長
副会長の間柄であるにすぎない。
 だからまことは事あるごとに「ちがう」と主張しているのだが、周りはそれを
まことのテレと受け取って信じてくれない。まあそう思われても仕方のない経緯
を二人は辿っているのだが。

「ほれ、みんなもああ言ってるんだ。行ったれよ、須藤」

「ホントにちがうんだったらあッ。もうッ」

 同じ羞恥に赤くなるのでも、そこに怒りが混じると不思議と腹が減るようで、
まことは猛然と弁当をかっこみ始めた。先ほどまでの食欲不振が嘘のように
胃袋に中身が納まっていく。それを見て良平と女の子たちはさらに笑う。

(くそォッッ)

 ますます弁当に八つ当たりするハメになる。まことは鬼気迫る勢いで箸を行き
来させた。
 そこに。

「す、須藤。メシ食ってる最中に悪いんだが……」

 後からクラスメートの一人が遠慮がちに声をかけてきた。

「客だぞ、おまえに。中等部の女の子」

「中等部?」

 思いがけない言葉にまことは箸を止めた。頭の熱が引く。声の方に振り返る。

「ほれ、あっち」

 クラスメートは後の入り口を指し示した。

「?」

 まことは首を傾げた。
「どの子」かはすぐにわかった。中等部と高等部は制服は一緒だが、タイの
色が違う。グリーンのタイを締めた生徒の中に一人だけエンジの紐タイをし
ている女の子がいた。
 だが「誰なのか」がわからなかった。見覚えがない。
 栗色の髪をポニーテールにした小柄な少女。まことは中等部時代にクラブ
活動をしていなかったし、かろうじて知っている中等部の生徒といえば交流
のある中等部生徒会の面子ぐらいだ。けれどその中にこの少女はいなかった
はず。
 しかし向こうはまことと目が会うとニッコリと笑い、親しげに肩のところで両手
を振った。

「おー可愛いじゃん あっちの生徒会のコか?」 良平が首を延ばしてきた。

「いや、それが、その……」まことが言いよどんでいると

「お? なんだ? まさか会長からあのコに乗り換えたのか? 食欲がなかった
のは三角関係のせいか? この犯罪者。ロリコン!」

「だからちがうって!」

 まことは弁当にフタをすると、少女の方へと向かった。なぜか良平も着いてきた。


 その少女は遠目から見ても小さかったが、目の前にしてみるとさらにそれ
が際立った。
 背はまことの胸にどうにか届くくらい。まこと自身たいして身長のある方で
はないのでかなりのおチビさんだ。小学五年生の瑞穂にすら負けている。
 顔も今時の中学生にしてはおさなげで、仔猫を思わせる真ん丸な瞳がそれ
をさらに強調していた。肩幅も狭く、夏用の制服から覗かせている手足のラ
インも、曲線美というよりはマスコット人形のような寸足らずの愛らしさだ。
 しかしただ一点、瑞穂はおろかまことのクラスの女子生徒の誰をも凌駕する
ほど大人びている箇所があった。

(すっごいオッパイ……)

 そのたわわな実りを眼下にして、まことははしたなくもツバを飲み込んだ。
良平も横でホォーッと声を上げた。
 何カップぐらいあるのだろう。女性全般にうといまことには正確にはわから
なかったが、それでもFは確実にいっていた。デ〇体型の偽りのバストサイズ
ではなく、細い骨格とウエストに支えられたまごうことなき巨乳。少女が深呼
吸をしたらブラウスのボタンを弾いて飛び出てきそうなほどの圧倒的張り出し
だ。まるで上や横に伸びるための栄養が、全て胸に集中してしまったよう。

(顔も身体もこんなに幼いのに胸だけ出てるなんて……。なんかえっちなマン
ガかゲームの女のコみたいだ)

 その手のものがけっして嫌いではないまことは、自分の妄想が具現化された
みたいでドギマギとしてしまう。いけない、失礼だと思いながらも、視線は顔より
も胸の方に行ってしまう。

「生徒会副会長のォ、須藤まことセンパイですよねェ?」

 少女の方はそんな視線には慣れっこなのか、屈託のない笑顔でまことを見上
げた。きらきらとあどけなく瞳を光らせている。まことは後ろめたくなって
目を逸らした。

「う、うん。そうだけど……」

 呟くように答えた。すると少女は顔をぱぁぁっと輝かせ

「やぁぁぁんやっぱりィィ。ほんものォォッ」

 黄色い悲鳴をまき散らしながら足をバタつかせた。両のこぶしを前にして、忙
しく身をくねらせる。
 まことは思わずのけ反った。

(なんなんだ、この子。いったい……)

 予想もつかないリアクション。だいたい名指しで呼び出しておいて、やっぱりも
本物もないものだ。頭に行くべき栄養も胸に廻ってしまっているのか。

(大丈夫だよなあ、まさか”ピー”じゃないよなあ……)

 そう慄きながら、キャーキャーと胸を揺らしている少女に声をかけた。

「あ、あの君の名前は?」

「あっ、いっけなぁ〜い。言い忘れちゃいましたァ」

 言われて童顔巨乳少女はテヘッと舌を出した。そして意外なほどマジメな顔
になると両手をきちんと前で揃えて

「中等部一年C組、横沢絵梨香ですゥ。よろしくお願いしまァ〜す」

 ぴょこんと頭を下げた。栗色のシッポが可愛く撥ねる。そして顔を上げると
飛び切りの笑顔でニコリ。
「おお〜っ」 舌足らずの甘ったるげなロリータボイスに、側に座っていた
男子生徒たちから歓声があがった。女子生徒たちからは「けっ」と吐き捨てる
ような声が聞こえた。

(うう……おかしいんだか可愛いんだか。それにしてもやっぱり知らない名前
だなぁ)

 まことは戸惑いながら、礼には礼をと頭を下げ

「どうも。で、その、横沢さん……」

「絵梨香でいいですゥ」

「じゃあ絵梨香ちゃん。あの、中等部執行部のコだっけ? 思い出せなくて
悪いんだけど」

「ちがいますゥ。あたしテニス部ですゥ」

 ますますわけがわからない。

「え? じゃあ何でボクのところに?」

 混乱するまことに絵梨香はにっこりと笑って言った。

「あー、あたしィ副会長さんのファンなんですよォ」

「ファン!?」

 余計に面食らった。生まれてこの方ファンなどついた試しはない。きょうび
勉強ができるだけでは女の子にモテはしないし、副会長になってからも「気弱
で威厳もまるでない。特技もないしマジメなだけで面白味に欠ける人」と女子
からはノーマークの扱いを受けている。ファンとか取り巻きとかとは無縁の
十七年を生きてきたのだ。

「ホ、ホントに?」 思わず聞き返してしまう。

「はいですゥ」 絵梨香はさらににこやかに笑みを返してきた。

「おーおーモテますなあ。副会長さまは」

 良平がやっかみ混じりに肘で脇腹を小突いてきた。すると絵梨香は心外だと
いう風に唇を尖らせ、

「えー、本当に中等部じゃセンパイは副会長なのに偉ぶらないし可愛いって
評判なんですよォ。ほらァ春の対面式の時にィ……」

「あ……」

 言われて春の恥ずかしい記憶が蘇った。
 高等部を代表しての祝辞。本来なら会長である有希が務めるはずが、その
有希が式の直前になって異様に緊張してしまい、「頼む、まこと。代ってくれ」
と急遽代理を押し付けられたのだ。
 有希以上にアガリ症のまことはシドロモドロな挨拶をしてしまい、しばらくは
思い出す度に自分を消してしまいたくなるほどの恥をかいた。

(あれでファンになったと言われても……)

 赤くなってうなだれてしまう。絵梨香の方はそんなまことに構うことなく
にこやかに話し続けている。

「……でェ、それ以来あたしも遠くからセンパイを慕っていたんですけどォ、
今日思い切って訪ねてきちゃったんですゥ」

「そ、そう。はは……」

「それでェ、お近づきの印にィできたらメアドとか交換して欲しいんですけどォ」

 スカートのポケットからピンク色のケータイを取り出した。

「メアド!?」

 思わぬお願いに、まことは頭を跳ね上げた。

「ダメですかァ?」

「い、いや。その」

 答えに詰まった。まことのケータイのアドレス帳に入っている女性の名は、
母親と瑞穂を覗けば、後は生徒会関係でつきあいのある自校や他校の女子
生徒のものだけ。送られてくる内容も、仕事か社交儀礼的なものばかりで、
プライベートなメールは一通もない。
 モテなれない少年にとって、突然の僥倖はうれしさよりもむしろ戸惑いと警
戒を多く感じさせてしまうのだった。ましてや相手はタイプ的に苦手なキャピ
キャピ少女。

「あ、じゃあこれ俺のメアドと番号ね」

 まことが返事に困っていると、こういう方面には如才のない良平が名刺を
取り出して絵梨香に渡していた。

「わあ、ありがとうございますゥ」

「で、絵梨香ちゃんのは?」

「あはは。後でですゥ」 

 絵梨香は軽くいなすとまことの方に向き直り

「センパイのはダメなんですかァ?」

「う、うん。ごめんね。そういうのはちょっと……」

 こんな子に教えたら時間を問わずひっきりなしに掛かってきそうだ。少し
残念だがここは断った方が得策だろう。まことは思った。

「えー、そんなァ。じゃあじゃあせめて写真だけでも撮らせてくださいよォ」

 絵梨香は食い下がってきた。またもこぶしをかまえて身をくねらせる。

「ま、まあ、そのくらいなら……」

 聞き入れた。それすら断ったらいきなり泣き喚きかねない怖さがこの少女に
はあった。

「わぁーい。やったァ」

 絵梨香はケータイのフタをパチンと跳ね上げると前に構えた。

「じゃあ窓際を背景にお願いしまーす。あ、その辺がグッドですゥ」

「ああもうダメですよォ、そんなに表情堅くしちゃあ。リラックスですよォ、
センパイ」

「あ、ポーズも欲しいですゥ。腕組んでェ、アゴに手を添えた知的なカンでェ
……キャーッ、いいですいいですゥ。あーッ、関口センパイは割り込んじゃ
ダメですよォ」

 絵梨香はハシャギまくった。クラスメイトたちはみな昼休みの格好の余興と
ニヤニヤしながらこちらを眺めている。

(これじゃあ晒しものだよぉ。ああ早く終わってよぉ)

 頬が熱くなった。

「はぁーい、いきますよぉ。チーズ」

 ようやくシャッターが切られた。まことはやれやれと肩を落とした。

「キャー撮れてる撮れてるゥ。センパーイ見てくださいよォ」

 絵梨香の方の興奮は収まらず、かけよってきてケータイを差し出した。

「い、いいよ」

 手で遮った。そんなおぞましい姿見たくもなかった。

「そんなこと言わないでェ。いい格好で写っていますよォ」

 なおも鼻面に突き付けてくる絵梨香に折れて、画面を見た。

(えっ!?)

 その瞬間まことは硬直した。火照っていた身体から一斉に血の気が引いた。
 待ち受け画面にはポーズをつけた写真よりももっと恥ずかしいまことが写っ
ていた。
 水玉模様の女児用ショーツに鼻を埋めている姿。やや不鮮明だが見る人が
見ればはっきりまことだとわかる。後ろには下着の陳列も見える。間違いなく
あの店での痴態を写したものだ。

「な、なんで……」

「ね? よく撮れているでしょう?」

 絶句するまことに、少女は仔猫のような笑みを見せながら、チラッと赤い舌
を覗かせた。


「へぇ〜これが生徒会長さんのお部屋なんですかァ。スゴイんですねェ」

 応接用のソファにちょこんとお尻を乗せた絵梨香は、物珍しげに室内を見回
した。

「広いしィ、机も椅子もゴーカだしィ、オーディオセットまであるしィ、さすが
成宮高等部の生徒会ですねェ〜」

「そ、そう? ははは……」

 まことは隣の執行部々室に繋がるドアの鍵を確認しながら、落ち着きの
ない声を返した。

(このコを部屋に入れたとこ、見られてないよな? あの「おじゃましま〜す」
って大きな声、聞かれてないよな?……)

 そればかり気になっていた。もちろん入る前に充分確認したつもりだが、それ
でも心配でしょうがない。秘密を握られている恐怖と同じくらい、「副会長が会
長室に中等部の女のコを引っ張りこんでよからぬことをしている」という噂が立
つのが怖かった。そしてそれが有希の耳に入ってしまうことが。心臓がドキドキ
と高鳴っている。

 あの後。
 絵梨香は「ここじゃあセンパイもマズイですよね? どこかで二人きりでお話
しませんかァ?」と誘ってきた。断る術のないまことはうなずくしかなく、良平
やクラスメイトの好奇な視線を痛いほど背中に受けて教室を出た。そしてこの生
徒会長室へと絵梨香を連れてきたのだった。
 
 本当は、人に知れたらあらぬ誤解を受けかねないこの部屋に、少女を入れたく
などなかった。だが他に場所がなかったのである。
 昼休みの学園内はどこに行っても人がいる。屋上や中庭はもちろん、各特殊教
室もそこを縄張りとする部活の人間がたむろしている。校舎裏や体育倉庫なども、
人目を忍んだ生徒たちが人目を忍んだ行為をしているものだし、それを覗こうと
いう不届き者だって潜んでいる。秘密の話ができる所となるとここ以外に思いつ
かなかったのだ。

(まあ出入りさえ見られなければここが一番安全なんだから……)

 まことは不安な心に言い聞かせる。
 この部屋の鍵を持つのはまことの他は会長である有希と、もう一人の副会長で
ある神代瞳だけ。そしてその二人も昼休みにはまずここにはやってこない。
 有希は昼休みどころか放課後ですらここに詰めることをおっくうがるナマケモ
ノだし、「影の生徒会長」と自他共に認める瞳も、主の留守を狙ってその椅子に
座るような僭越なマネはしない。話の最中に突然ドアが開くという事態だけはな
さそうだった。
 そしてもう一つ、ここには他所にはない利点があった。
 この部屋は防音なのである。
 ここは元々は学園長室で、そちらが数年前にできた新校舎へと居を移した後、
調度品ごと生徒会が譲り受けて会長室にしたものであった。隣の執行部室も元は
旧職員室である。
 いくら寄付金豊富な名門私立とはいえ豪気な話だが、噂だと当時の会長が理事
長の孫息子だったのでその歓心を買うための計らいだったと言われている。
 それはさておき、学園長はこの部屋に音楽教室なみの防音処理を施していた。
執務に集中するためと趣味のクラシック観賞を楽しむためというのがその理由で
ある。こちらも額面どおりに受け取っている者は少ないが。

 ともあれ「『第九』を大音量でかけても裏の爺さんの浪曲ぐらいにしか聞こえ
ない」という程の壁と扉の厚さである。仮に誰かが二人の入室を目撃し、部屋外
で耳をそばだてていたとしても、彼には何も聞き取れないはずだった。

(そう、大丈夫だ。大丈夫……)
 
 だがさらに念を入れて隣と廊下に繋がるインタフォンも切った。
 よし。まことは意を決するとソファに向かった。絵梨香の正面へと腰を降ろす。
膝に置いた手がひどく汗ばんでいた。

「わあ、あの絵本物ですかァ? あ、この戸棚も高そうですゥ〜。 キャーあれ
ひょっとしてドレクマイセンの置き時計?」

 少女は飽かずに室内を眺め回していた。まことは湿った手を握りしめた。

「あ、あの、それで、絵梨香ちゃんッ」

「……はいですゥ?」

 絵梨香は、まことの呼びかけに気づくと不思議そうに小首を傾げた。
 まことは目をしばたいた。表情があまりにあどけなすぎて、まるで自分から誘
った事など忘れてしまったかのようだったからだ。ふと教室で見た画像や妖しい
微笑みは錯覚だったのではないかと思えたほどだった。
 だが、そんな希望はすぐに打ち消された。

「しゃ、写真の事なんだけど……ど、どうして」

 まことが口ごもりながら切り出すと、少女はうふっと小鼻を鳴らして表情を一
変させ

「さあどうしてだと思いますゥ?」

と意地悪げな笑みを浮かべたのだった。教室の時と同じだった。まことは肩を落
とした。
 この少女は本当によくわからない。元より女のコの心理には疎いまことだが、
このコは特にわからない。考えも行動もまるで読めない。
 写真の事も同様だった。絵梨香は店にいなかった。それは間違いない。なら何
故あんな写真を持っているのか。
 あの女子中学生たちと友人で、彼女たち経由で廻ってきたのかとも考えた。
だがそれにしては写っていた画面が大きすぎた気がする。遠巻きに見ていた少女
たちからではああもハッキリとは写らない。しかし、ならどうやって……?。

「うふ、わかりませんかァ? あたしあの店にいたんですよォ」

 悩むまことに絵梨香は事もなげに言った。思わず頭を跳ね上げる。

「い、いたって、どこにッ……?」

「ふふ、試着室ですよォ」

「あ……」

 目が点になる。言われてまことは思い出した。確かに女児コーナーの近くに試
着室があった。カーテンも閉っていたような気がする。だがあの時は気が動転し
ていたし、店を離れるまで誰も出てこなかったので、てっきり無人だと思い込ん
でいた……。

「ほらァ、あたしィこんな胸してるじゃないですかァ? だからテニスをするの
もキュークツでェ、いいブラないかなあってあの店で探していたんですよォ。
でェ、試着室でいくつか試してたらァ、外からいきなり『ぱんつ〜ッ』って男の
人の叫び声が」

「あう……」 身が縮み込む。

「あたしィ、ビックリしちゃいましたよォ。でェ思わず覗いてみたら二重にビッ
クリですゥ。その人、成宮の制服着てるじゃないですかァ。それにどこかで見た
なあと思ったら対面式の時に見かけた副会長さんでェ。もうトリプルビックリ
ですよォ」

「……」

「でェ、そのまま見てたらさらにビックリ四段重ね。センパイ、スゴイこと始め
たじゃないですかァ? もうあたしびっくりしすぎて気がついたらケータイ構え
てシャッター押しちゃってましたよォ」

「ああ、あああ……」

 自分がした「凄いこと」を思いだし、全身が火照った。たまらず俯き、目をつ
ぶる。あれを一部始終見られていた上に写真まで撮られていたなんて。
 しかし羞恥に浸ってばかりはいられなかった。問題なのはむしろこれからなの
だ。恐る恐る顔を上げる。

「それで絵梨香ちゃん……。どうしたら忘れてくれる? どうしたら写真を消し
てくれるの?」

 何の魂胆もなく近づいてきたとは思えなかった。新たな恐怖が膨れ上がる。

「や、やっぱりお金? でもボクんちお金持ちじゃないしバイトもしてないから
そんなに払えないよ? それとも副会長の権限でなにかしろと? テ、テニス部
だっけ?そちらに便宜を図れとか? で、でも副会長って言ったって名ばかりだ
し、それに中等部の運営に高等部は口を出せないし……」

 口にすることでなおさら不安が増していく。何を要求されても応えられそうに
ない。だが何を要求されても断ることはできない。鼓動が急速に高まっていく。
 しかし。

「え〜ッ、ひどいですゥ。それじゃあ、まるであたしがキョーハクしているみた
いじゃないですかァ」

 絵梨香は心底心外だという風に口を尖らせた。拳を前にして身をくねらせる。

「ち、ちがうの?」

 だまされまいと思いつつ、まことは絵梨香の顔を窺った。「そうですよォ」
少女はきっぱりと言った。

「最初に言ったじゃないですかァ? あたしセンパイのファンでお近づきになり
たかったってェ。そりゃあヒキョーなやり方だとは思いましたけどォ」
「じゃ、じゃあ、あんなとこであんな見せ方しなくたっていいじゃないかぁ。
それにさっきだって焦らすようなこと言って……」

 抗議するまことに絵梨香は

「あはッ。それはセンパイの慌てた顔が見たくてェ〜。あたしセンパイの慌てた
り困ったりする顔、とっても可愛くって好きなんですゥ。でもちょっとやりすぎ
ちゃいましたァ? ごめんなさ〜い」

 てへっと舌を出し頭を下げた。「うう……」まことは唸った。
 信じていいのだろうか? 腹がまるで読めない不思議少女のこと、簡単に安堵
はできない。だがもし本当なら……。まことは切り出す。

「じゃ、じゃあもういいよね? ボクとも知り合えたんだし。写真、消してくれ
るよね?」

 現物が向こうにあるうちは安心できない。それにいつ少女の気が変わるとも限
らない。

「え〜ッ、できたらァこれは記念に取っておきたいんですけどォ」
「た、頼むよ絵梨香ちゃん」

 渋る少女にまことは両手を合わせる。絵梨香は「そうですねェ……」と頬に人
差し指を当て

「じゃあ一つ知りたいことがあるのでェ、それを教えてくれればァ」

「な、なに?」 身を乗り出す。少女は言った。

「どうしてセンパイあんな事したんですかあ? あたしそれが不思議なんですゥ。
センパイってむっつりスケベだとは思いますけどォあんな事ができるほど大胆な
性格じゃないと思うんでェ」

「うう……」

 誉められているのか貶されているのか。複雑な気持ちになる。しかし瑞穂との
事を打ち明けねばならないとは……。まことはためらった。

「話してくれますかァ?」

「……は、話したら本当に写真を消してくれる?」 上目遣いに窺った。

「はいですゥ」 絵梨香はニッコリと笑った。

 ……恥ずかしいが仕方がなかった。

「じ、実は……」 まことは重い口を開いた。

 まことは瑞穂とのことを話した。
 細かいプレイの内容はさすがに恥ずかし過ぎて割愛したが、それでも妹の下
着でオナニーしているところを見つかり、それをネタに日々身体を弄ばれてい
ること、昨日の出来事も瑞穂の命令であること、今も責めの一環で女児用ショ
ーツを穿かされていることなどを打ち明けた。
 最初の内はポツリポツリとしか言葉が出なかったが、最後の方には声を震わ
せながらも吐きだすような口調で語っていた。
 それはマゾ的な露出趣味というよりは、両親にも親友にも打ち明けられない
罪と悩みを誰かに聞いて欲しかったという懺悔にも似た気持ちからだった。
気がつくとまことは涙ぐんでいた。

「そんなわけで、ボク……」

 一通り告白し終えると、まことは言葉を途切れらせ、俯いていた顔を上げた。
あまりにみっともなくて、さすがに少女も笑っているだろうなと思いながら。
 だが。
 絵梨香も目に涙を溜めていた。うるうると丸い瞳を濡らし、口元を手て覆い
ながら

「可哀想ですゥゥ。妹さんにそんな風にイジメられているだなんて、センパイ
可哀想ですゥゥッッ」

 鼻をグシュグシュと鳴らした。

「絵梨香ちゃん……」

 少女の意外な反応にまことは戸惑ったが、同時に胸奥に暖かなものを感じていた。

(悪いコじゃないんだ……)

 自分のために泣いてくれている。そう思うとまた涙がこみ上げてきた。

「なんか……うれしいよ、絵梨香ちゃん。わかってくれて……」

「はいですゥ……」 絵梨香はうなだれた。涙が手の甲を伝わり、膝へと落ちた。

「そ、それで、あ、あの……」

 何故か少女の優しさにつけこんでいるような後ろめたさを感じながら

「……写真、消してくれる?」 まことは言った。

「消します、消しますゥッ。こんなもの消しちゃいますゥゥッ」

 絵梨香はケータイをポケットから取り出すと、勢いよくボタンを操作した。
数秒もかからない内に『画像 消去しました』の画面がまことの方へと突き出さ
れた。

「これでいいですかァ?」

「あ、ありがとう」

 緊張がほどける。まことはハァ〜ッと膝の間に頭を落とした。

(よかったぁ……)

 忌まわしい証拠は消えた。代わりに少女にさらなる恥を知られてしまったが、
この分だと周りに言い触らす事もないだろう。目を閉じて、全身に広がる安堵の
念をかみ締める。

(ん?)

 その耳にガタッ、ズズッと大きな物が引きずられる音が聞こえた。立ちはだか
る人の気配。まことは思わず目を開け、顔を上げた。

「絵梨香ちゃん……」

 絵梨香がソファの間にあったテーブルを退け、目の前に立っていた。思いつめ
た表情と潤んだ瞳でまことを見下ろしている。

「センパ〜イ……」 

 少女は身を屈めた。まことの鼻先にブラウスに包まれた豊かな双球が迫った。
ブラジャーのピンクのレース柄が透けて見えた。

「ちょ、ちょっと。あの……。絵梨香ちゃん?」

 おののくまことの視野の端で少女の両腕が伸びた。

「センパ〜イッ!」 

「うああああッ」

 まことが身を引くより速く、絵梨香はまことの頭を抱き寄せて、その胸に顔を
埋めさせた。

(うぷッ。くッ)

 柔らかな膨らみが少年の鼻と口をふさいだ。わずかな隙間から少女の甘ったる
い体臭が入り込んできて鼻腔と肺を満たした。

(あう……)

 頭がクラッとした。絵梨香はさらに強く抱き締めてきた。メガネのレンズごと
マブタが圧迫された。
 いくら突然だったとはいえ、相手は年下の少女。抗えば簡単にその腕の中から
逃れることができたはずだった。だが、まことはそうしなかった。できなかった。
少女の柔肉と香りに包まれた途端、力が身体の芯から抜けていくのがわかった。
酸素を求めて口と鼻がせわしなく動き、心臓も鼓動を速めているのに、何故か手
足には力が入らないのだった。

「センパイ、本当に大変だったんですねェ。辛かったんですねェ。可哀想に」

 絵梨香の涙まじりの声が聞こえた。

(絵梨香ちゃん、ボクを慰めてくれてるんだ……)

 そうわかるとさらに抗う気が失せた。窒息による頭や身体の痺れもむしろ心地
よいものへと変わった。まことは倒れ込むように絵梨香に身体をゆだねた。

「センパイ……」

 絵梨香はまことを抱きとめたまま徐々に身体を落とし、ソファに腰かけた。
そしてそのままゆっくりと後へ倒れた。肘掛けを枕として頭を支える。その間
まことは幼子のように身を少女に預けたままだった。しばらくして

「ぷはッ」

 さすがに苦しくなって顔を上げた。少女の胸の上で真っ赤になって息をつく。
気づくと絵梨香が柔らかな笑みでこちらを見つめていた。急に羞恥がこみ上げて
くる。
 
「ご、ごめん絵梨香ちゃん。ボク、ボク……」 謝るまことに

「いいんですよォ、センパイ」

 絵梨香はさらに微笑んでみせ、かき抱いた手でまことの頭を優しく撫でた。

(あ……)

 その心地よい感触と慈しみある微笑に、まことは遠い幼き日の記憶を呼びおこ
された。

(ママ……)

 安らかな、母の胸のぬくもり。転んだり幼稚園でイジメられて泣いて帰ってく
るまことを母はいつもそうして胸に抱き、髪を撫でて慰めてくれたのだった。
なんの不安もない絶対の至福とやすらぎの時。だが、それは瑞穂の誕生により
彼女に全て奪い去られた……。

「ほんと、辛かったんですねェ。可哀想なセンパイ」 

 また髪が撫でられた。胸の奥から熱いものが込み上げてきて、止まっていた涙
が再び噴き上げた。「ああッ」まことはすがるように自分から絵梨香の胸に顔を
埋めた。

「そうなんだ。ヒドイんだ、ヒドイんだよぉ、瑞穂のやつ……」

「センパイ?」

「ボクが、ボクが逆らえないと思って毎日毎日……。ボクのオチンチンを踏んづ
けたり、ムチでぶったり」

「わぁ、ヒドイですゥ」

「それだけじゃないんだ。ボクがイキそうになっても出させてくれなかったり、
出したものを掃除しろって瑞穂の手や足を舐めるように言ったり」

「そんなあ。可哀想すぎますゥ。あたしならそんなことしないですゥ。よしよし、
よしよしですよセンパイ」

「ああん、絵梨香ちゃん。絵梨香ちゃぁぁんん」

 まことは少女の胸の中でどんどんと子供に返っていった。泣きじゃくりながら
顔を柔乳に擦り付け、鼻と口で甘い感触と香りをむさぼる。絵梨香はそれを咎め
も嫌がりもせず、優しく頭を撫で続けた。

「それから?」

「うん、それから、それからね……」

 涙と告白の衝動は途切れることなく溢れ出て、まことは先ほどは話せなかった
日々のプレイの詳細や瑞穂への愚痴を吐き出し続けた。

(ああ……あああ……)

 恥をさらけ出しているにもかかわらず、不思議な幸福感がまことを包んでいた。
いつまでもこうして少女の胸に抱かれて頭を撫で続けられていたかった。
 だが。

「あッ」

 ふいに絵梨香が短い叫びをあげ、それは止んだ。滑らかに頭を流れていた指が
止まり、髪の毛を掴むように爪立てられた。

(えっ?)

 瞬間何が起こったのかわからなかった。しかしすぐにあることに思い当たり、
まことは背筋を凍らせた。

(ま、まさか会長や神代さんが!?)

 絵梨香の胸に埋もれたまま、慌てて振り返った。

「!?」

 しかしそこには有希や瞳の顔はなく、代わりにピンク色の細長い物体があった。
上の方に魚の目のようなものがついている。それが絵梨香の手に握られたケータイ
だと気づいた瞬間、レンズ側のランプが激しく閃いた。

「!」

 閃光と共にまことの頭の中も真っ白になった。何が起こったのかまるで把握
できない。何重にも漂う残像に朦朧としていると、すぐ側から少女の弾むような
声が起きた。

「うわあ、やっぱりこの距離でフラッシュ使うとハッキリ写りますゥ。センパ〜イ、
二人ともバッチリ顔撮れてますよォ。誰が見てもセンパイがあたしを押し倒して
ムサボっている図ですゥ」

「え、絵梨香ちゃんッ!?」

 まことは少女の身体から飛びのいた。だが、もう遅かった。ようやくまことは
自分が恐れていたはずの「副会長と中等部少女のよからぬ行為」の決定的瞬
間を撮られたことに気が付いた。

「こ、これは、これはどういう……」

「ふふ、こんな単純な手に引っ掛かってくれるだなんて、センパイってホント可
愛いですゥ」

 絵梨香はいたずらっぽく笑いながら身を起こした。

「だ、だましたの?! 絵梨香ちゃん、ボクをだましたの?」

 まことはおののき震えた。全てウソだったというのか? あの涙も微笑みも!

「そんなァ。だましてなんかいないですよォ」 少女は口を尖らせた。

「気が変わったんですゥ」

「そ、そんなッ」

「女のコは気まぐれなんですゥ」

「と、とにかくッ。とにかく消して。それを消してッ。お願いッ」

 哀願するまことに

「ダメですゥ、消さないですゥ。消して欲しかったらあたしの言うこときくですゥ」

 少女は毅然と言い放った。

「あああ……」

 あまりのことにまことは呆然となり、へなへなとソファに崩れ落ちた。

「うふふ、そうですゥ。センパイ、そのまま動いちゃダメですよォ?」

 絵梨香は妖しい笑みを浮かべながら、まことの隣に座った。もたれ掛かるように
身を沿わせてくる。右手がスッと動いた。

「あッ」

 まことは驚きの声をあげた。絵梨香の掌がまことの股間へと伸び、スラックス越
しにさわさわとまさぐり始めたのだった。

(ウ、ウソぉッ?!)

 信じられなかった。少女の変心もだが、この行為はもっと信じられなかった。
いくら胸が大人並とはいえ、いましがた身体で罠を張るようなことを体験したばか
りとはいえ、この幼な顔の少女と性的な行為は結びつきがたい事柄だった。
 だが、絵梨香の指使いは巧みだった。適度な圧力を掛けつつ股間を滑らかに這い
回り、ペニスの形と反応を確かめるように指を立てる。明らかに慣れた手つきだっ
た。まことの戸惑いとは無関係に肉茎はスラックスの下で急速に膨張を始めた。

「ああッ」

「ふふ、センパイのオチンチン、おっきくなってきましたよォ」

 絵梨香は上目遣いにまことを見やりながら、さらに淫らに指を蠢かせた。羞恥と
快感が熱となってこみ上げて、まことの頬を染めさせる。

「ダ、ダメッ」 たまらず腰を引いた。

「もぉッ」 絵梨香は口を尖らせた。

「ダメなのはセンパイの方ですよォ。動いちゃいけないって言ったですゥ?」

「だ、だって」

「写真、バラされていいんですかァ?」

「あうう……」

 震えながら腰を戻した。絵梨香はニッコリと笑い、股間への玩弄を再開した。
快感と屈辱が小さな指からじわじわと送り込まれる。

「ううッ……」

 涙がこぼれ落ちた。今度は懺悔でも癒しでもない、悲しさと悔しさの涙だった。

「ヒ、ヒドイよ、絵梨香ちゃん……。ボク、信じたのに。絵梨香ちゃんを信じた
のに。こんな、こんな……」

 嗚咽が漏れる。絵梨香の指がつと止った。

「ごめんなさいですゥ」

 少女も眉根を寄せたしおらしげな顔になった。

「あたしも最初はホントにセンパイを可哀想に思ったしィ、何にもしないでおこ
うと思ったんですよォ? でもォ、センパイが悪いんですゥ」

「な、なんでボクが?!」 目を見開くまことに

「だってェ」 

 絵梨香はむずがるように身をよじらせ、甘えた声で言った。

「あんなに細かく色々と話すんですものォ、あたしだってセンパイをイジメたく
なってきちゃうじゃないですかァ? それにィ、センパイあたしの胸をさんざん
シゲキしてェ。気が変わるなっていう方が無理ですゥ」

「そ、そんなッ」 

 理不尽だ。自業自得かもしれないが、やはり理不尽だ。まことは思った。この
少女は自分で言うとおり気まぐれすぎる。理解できない。まことは肩を落してう
なだれた。

「あ〜でもでもォ、心配しないでくださぁィ」

 落ち込むまことを元気づけようというのか、絵梨香は弾んだ声で言った。

「イジメるっていってもォ、妹さんみたいに痛くなんてしませんからァ。痛くする
なんて最低ですゥ。男の人は気持ちよくヨガらせるのが最高なんですゥ」

 そう言いながら少女はまた股間へ手を伸ばした。亀頭を親指と中指でつまみ
上げ、人差し指で浮かした布地で擦るように円を描いた。衝撃が背筋を駆け昇り、
まことはたまらずのけ反った。

「んあぁッ」

「ね? ふふ……」

 絵梨香の口元にとても中学一年生とは思えない淫らな笑みが浮かんだ。これが
少女の本性だったのか。まことは身体を震わせた。

「あ、あああ……」

「センパ〜イ、次は立ってくださぁい」

 絵梨香は言った。まことは膝をガタつかせながらもそれに従った。

「ふふ……」

 少女はテーブルヘと腰を掛け直し、まことの正面に位置どった。手を伸ばし、
ベルトの留め金に指を掛ける。

「やだ。やめてッ……お願いッ」 まことは小刻みに首を振る。

「だいじょうぶですよォ。ちゃんと気持ちよくしてあげますからァ」

 スラックスのボタンを外す。ファスナーが降ろされる。少女の表情が次第に期待
に満ちた笑みへと変わっていく。

「ふふ、この下に女のコのパンツはいているんですよね? 見せてくださいねェ」

「イヤぁぁぁッッ」

 腰に両手が掛けられて、スラックスが一気にずり落された。 

「あはッ、可愛いですゥ〜ッ」

 眼前に出現した女児用ショーツに、絵梨香の真ん丸な瞳が大きく見開いた。

「クマさんにィウサギさんにィお星様までェ。あっ、このリボンも可愛いですゥ。
あたしもこんなパンツ欲しいですゥ」
「ああッ、イヤッ……」

 吐息が熱と感じられる距離からまじまじと見つめられ、まことは羞恥に頬を
染める。たまらず顔を背ける。

「うふ。センパイ、真っ赤になっちゃってェ。そのお顔も可愛いですよォ?」

「ヤ、ヤダッ。見ないで……見ないでッ」

 下から覗き込むような視線にさらに顔を横に向け、瞼を堅く閉じる。唇を震
わせる。

「うふふ。ホント可愛い。でもォ、一番可愛いのはァ……」

 艶めいた少女の声とともに衣擦れの音が聞こえた。スラックスを掴んでいた
右手が外される音。

「あッ、ダメッ」

「やっぱりこれですゥゥッ」

「んああぁッ」

 ショーツからはみ出しそびえる怒張が柔らかな手の平に掴まれた。瑞穂
以外の異性を知らない肉棒は敏感に反応し、先走りにまみれる亀頭をさら
に重く湿らせる。

「ふふ。センパ〜イ、さっきよりカチカチのピクピクですよォ? ひょっとして
恥ずかしい姿を見られてコーフンしちゃいましたァ?」

「ち、ちがうッ」

 まことは答えたが、屹立はそれがウソであるといわんばかりに少女の手の
中で跳ねた。

「ああッ」

「あはッ。やっぱりそうなんですかァ? センパイって妹さんが言うようにマゾ
なんですかァ?」

「イヤぁッ」
 
 ”マゾ”の言葉に反応し、怒張はさらに大きく脈打った。前触れが噴きこぼれ、
肉塊は華奢な少女の手指を押し広げるように膨らんでいく。

「わぁ、またこんなにカチカチにィ……。じゃあもっとイジメてもっとカチカチ
にしてあげますねェ?」

「ヤ、ヤダぁッ」

「うふふ……」

 絵梨香はまことを上目遣いに見やりながら、ゆっくりと怒張を包む手を動か
しはじめた。血管浮き立つ幹を柔らかな手の平で撫で上げ、親指と人差し指
で作ったリングでぬらつく亀頭を擦り立てる。反対側の手で根元を覆っていた
ショーツをずらし、その隙間に小さな指を潜り込ませる。爪先でくすぐるように
袋を弄ぶ。

「んッ、くッ、あッ、はあぁッ」

 堪えようにも堪えきれない喘ぎが漏れて、まことは頭をのけ反らせる。少女
の手の中でペニスがどんどんと「カチカチ」にされていく……。

(ダメッ……絵梨香ちゃんの手、気持ちよすぎるぅぅッ)

 膝が立っていられなくなるほど震えてくる。
 生まれて初めて味わう快感だった。
 手淫はそれこそ星の数ほどしてきたが、まことが自分でするときは若さと欲情
にまかせて勢いよく握り締め、そのまま急くようにシゴキたてるのが常だったし、
瑞穂もそのサディスティックな性格のせいか、兄に対する憎しみからのせいか、
まことが悲鳴をあげるくらいの力を込めて強引に射精に導くのがならいだった。

 だが、絵梨香の指技はまるでちがっていた。
 ソフトに包み込むように、それでいて肉棒の芯までつかまれているような絶妙
な握り加減。スピードも、ゆるゆると焦らすように動かしているかと思うと時折
速さと握力を強めて、疼き悶える亀頭を擦り上げる。まことが登り詰めそうにな
るとサッと緩めて元に戻し、安堵の息をついたところでまた速める。指をきゅっ
きゅっと締め握る。幼い顔立ちからは信じられないくらいに男の生理を知り尽く
した動きだった。

「あはッ。センパイ可愛いですゥ。もっともっと喘いでくださぁい」

 それでいて表情は年相応の無邪気な笑顔のままでいる。それが羞恥と被虐
の快楽をさらにかき立てた。全身が疼きの炎で包まれる。

(ウ、ウソだ……これは夢なんだ。妄想なんだ)

 まことはそう思うことでなんとかこの快苦を逃れようとした。
 生徒会長室で下級生に下半身を剥かれ、ペニスを弄ばれる。そんなことがあ
るはずなかった。今朝から淫らな妄想ばかり抱いていたので気がおかしくなっ
たのだ。全ては幻覚なのだ。そう必死に言い聞かせた。
 だが、幻覚と追いやるには、身に襲いかかっている恥辱と快感はあまりに強烈
すぎた。目をつぶり、頭を振り乱しても消し去ることのない淫悦がまことを苛む。
絵梨香はさらに手練をかけてくる。指先で腫れ広がった雁首をなぞり回す。手の
平でぬらつく亀頭をいい子いい子する。

「ああッ、やめてェッ。もうやめてェェッッッ」

 本当に気が変になりそうだった。たまらず少女の手首を掴んだ。

「なんですかァ? センパイ、この手はァ?」

 絵梨香は珍しくムッとした顔でまことを見上げた。

「何度言わせるですゥ? 動いちゃダメって言ったですゥ」

「だ、だって。だってボク……」

「写真バラしちゃうですゥ?」

「ああ……」

 震えながら手を放した。絵梨香はにっこりと微笑んだ。

「それでいいですゥ」

 再びねっとりとした責めが再開される。まことは頭をあらん限りに振り、身を
くねらせ悶えながらもそれに耐えた。だが、やはりすぐに

「や、やっぱりダメぇぇッッ」

 少女の手首を抑えた。

「もう。しょうのないセンパイですねェ」

 今度は絵梨香は怒らなかった。逆にダダっこをあやすような柔らかな笑みを
浮かべた。劣情に膨らみそびえるペニスから手を離す。

(た、助かった……)

 そう思った。だが、絵梨香はこちらに笑みを向けたまま、手を自分の胸元へと
やると、エンジの紐タイをほどいて引き抜いた。そしてまことが(え、えっ!?)
とあっけにとられている間に、まことの両手をとってその手首にタイを巻きつけた。
親指の根元あたりで蝶結びで止める。

「え、絵梨香ちゃん!? これ、ちょっと、どういう……」 焦るまことに

「うふ。いいですかァ、センパイ?」

 絵梨香はそう言いながらケータイを取り上げ、

「今度またあたしの手を止めたりィ、それを解いたりしたらァ、すぐにさっきの
写真を関口センパイのところに送っちゃいますよォ?」

 素早くボタンを操作して、良平の名前とアドレスが写る画面をまことへと突き
付けた。送信ボタンに手をかける。

「や、やめてェッッ」

「じゃあ今度はいい子にしていてくださいねェ?」

「あああ……」

 甘美な、だが容赦のない責めが再度始まる。しかし今度は身をくねらすことも
できなかった。結び目はワザと緩やかに結んであって、強い振動を加えたら解け
てしまいそうなのだった。まことは怯えた幼女のごとく、胸の前にやった手を
イヤイヤと小さく震わすことしかできない。その姿がまた少女のお気に召したよ
うで、絵梨香は「可愛い、可愛い」を連発してまことの羞恥をさらに煽った。

「あッ、くうッ……あん、あああッ」

 ”縛られている”そのこと自体もまことのマゾ心を刺激した。軽い戒めではあった
が、いや軽い戒めだからこそそれだけで全てを抑えつけられている自分に憐憫
と被虐の快美を感じてしまうのだった。他に責めの快苦をまぎわらす手段がない
こともあわさって、まことの喘ぎはさらに大きく、高くなった。

「あんッ。あああッ。ああああぁぁッッ」

「きゃあ。凄いですゥ。可愛いですゥ。もっともっと聞かせてくださァい」

 絵梨香は目を輝かせた。彼女はとうにこの部屋が防音であることに気づいてい
るようだった。そうでなければいかに天然少女とはいえ、少しは周囲に気をやっ
ているだろう。

(くうッ……)

 快楽に翻弄されながらも憤りの感情が湧き上がってくる。全ては少女のいいよう
に思うように進んでいる。それが悔しかった。そしてその絵梨香に少しでも気を許し
て身をゆだねてしまった自分自身にも。

「ぐっ……」

 せめてもの抵抗にと喘ぎを噛み殺した。奥歯に力を入れ、唇を引き締める。

「あれえ? センパイ、どうしちゃったんですかァ?」

 急に途絶えた喘ぎに絵梨香は小首を傾げた。

「お声出さないんですかァ? ガマンは身体に悪いですよォ?」

 ほらほら、と手筒を上下させる。さわさわ、と陰嚢をくすぐる。

「ぐッ……くくッ。く、くうッ……」

 歪んだ口の端からうめきが漏れた。内圧が高まったせいでさらに快感が増し、
声が止んだせいで、にちゃっずちゃっという淫らな擦過音がより耳に迫る。だが
全身を震わせながらそれでも耐えた。

「ぐふッ……くッ、く、くくうッ」

「あーもう、しょうがないですねェ」

 絵梨香はやれやれと、だがどこか嬉しげな表情で言った。そして

「じゃあこうしちゃいますねェ?」

 まことの股間に顔を近づけた。次の瞬間、ペニスは根元まで少女の口の中に
呑み込まれていた。


「あふわぁッ!?」

 突如こわばり全体を襲った、包むような温かさと口内粘膜のねっとりとした
感触。まことは思わず口を開いた。堪えていた息が飛び出した。

「もひゅ……」

「んあああああぁぁッッ」

 間髪を入れずに絵梨香の舌が口中で蠢いた。裏スジの縫い目が下から上にツッ
と舐め上げられる。背筋が総毛立つような衝動に突き上げられ、まことは息のみ
ならず叫びまでをも吐き出した。防音を施された天上に、少年の耐え忍んでいた
喘ぎが響いた。

「んふふふふ……」

 絵梨香はそれを聞き、満足そうに微笑んだ。そしてすぼめた唇を雁首のところ
まで後退させると、追い打ちとばかりに、いまだ口中に捕えたままの亀頭をねぶ
り回した。尿道口がくすぐられ、エラの深いところがえぐられる。ざらざらとした
舌腹で擦るように撫でられる。

「くはぁッ。んあッ。かは、あっあああぁッッ」

 敏感な粘膜への波状口撃に、もうガマンもプライドもなかった。まことは悦び
の悲鳴を上げ続ける。幼い舌先が快感のポイントに触れるたびに頭が内側か
ら殴られたような衝撃が引き出され、叫びと共に身体が何度ものけ反った。

(口が……舌が、こんなに気持ちいいだなんて……あッ、ダメッ、それダメェッ。
ダメェぇぇッ)

 次々襲い来る快楽の波に、まことは翻弄される。手コキ、足コキ、スパンキン
グに羞恥プレイまで経験しているまことだが、フェラチオは初めてだった。女王
様気質の瑞穂が、たとえ責めであっても男の排尿器官を口にする行為を是とし
ていなかったからである。未知の性技がもたらす愉悦に、まことはただただ乱れ、
悶えるしかなかった。

「むひゅ」

「ひゃぁわうッ」

 再び怒張全体が少女の口の中に呑み込まれた。巧みな舌づかいでさらに膨れ上
がった亀頭が、上顎の柔らかな部分で擦り上げられた。

「じゅぷ……」

「あああああぁぁッッ」

 絵梨香はそのまま頭を激しく前後し始めた。血管の浮き出た幹がすぼめた唇で
シゴかれ、赤く腫れた傘が口内粘膜と舌で責め立てられる。後退時に軽く触れる
前歯の感触がまたたまらない。さんざん煽られ続けたせいもあり、まことはたち
まち追いつめられた。背筋が震え、腰の奥から強烈な射精感がこみあげて来る。

「ダ、ダメぇぇぇッッ。絵梨香ちゃん、ダメぇぇぇェェッ」

 同時に恐怖感も沸き上がり、まことはたまらず叫んだ。ここで出すわけにはい
かなかった。瑞穂の見ている前以外の射精は許されないのだ。バレたらどんな
目に会わされることか。連続強制自慰をさせられた時の痛みと苦しみが蘇った。

「お願い、やめてッ。お願いだからやめてぇぇッッ」

 両手を振り乱し哀願した。戒めのヒモがほどけてしまいそうだったが、そんな
ことに構っている余裕はなかった。

「もうッ。なんなんですゥッ?」

 絵梨香はペニスから口を離し、まことを見上げた。不満げに眉根を寄せている。

「出ちゃう……イッちゃう。それ以上やったらボク、出しちゃう……」

 まことが涙目で訴えると、少女は「なぁんだ」と笑顔を取り戻し

「いいんですよォ、センパイ。遠慮しないで思いっきり出しちゃってくださァい。
全部飲んであげますからァ」

 再び咥え込もうとする。まことは「飲んであげる」の言葉に一瞬心を揺り動か
されたが、すぐにそれを追い払うように首を激しく振り

「ダメッ。そんなの絶対ダメェッ」

「え〜ッ、どうしてですゥ? とっても気持ちいいですよォ?」

「うっ……い、いや、だってそんなのいけないし、汚いよ。そ、それに……」 

 その先はさすがに恥ずかしくて横を向いて言った。

「それに勝手に出したら、瑞穂に……妹に叱られる……」

「!?」

 まことの言葉に絵梨香は目を見開き、絶句した。そして一瞬おいて

「ええええぇぇぇェェ〜ッッッッ!????」

 耳元で聴かされたらショック死しそうなほどの大声をあげた。

「センパイって射精管理までされてるんですかああああァァ〜ッッ!?????」

「あわわッ。え、絵梨香ちゃんッ。し、静かに。静かにッ」

 まことはとり乱した。自分もさんざん悲鳴をあげたし、この部屋の防音設備な
ら大丈夫だとはわかっていても、やはりこの年頃の少女の声には理屈を越えた
貫通力が備わっている気がしてならない。思わず廊下や隣につながるドアを見
てしまう。

「ああ、ごめんなさいですゥ」 絵梨香も慌てて口元を抑えた。

「でもビックリですゥ。妹さんって小五ですよねェ? スゴイですゥ。あたしも
小五ではそこまではやっていなかったですゥ」

 ならどこまではやっていたのか。などということはもちろん恐ろしくて聞けな
い。まことはいまだ驚きに高鳴っている胸を抑えながら

「う、うん。だから、ボク出せないんだ。出したらまたお仕置きされちゃう……。
だからもうやめて。お願い」

 訴えた。

「そうなんですかァ。センパイってホントかわいそうなんですねェ。ヒドイですゥ。
泣けちゃいますゥ」

 絵梨香は自分を棚に上げて目元に手をやった。まことは瞬間(ぐっ……)と思
ったが、この好機を逃してはならないと

「わかってくれた? わかってくれたんだ。絵梨香ちゃん?」

 畳み掛けた。絵梨香は涙をぬぐうと

「はいですゥ。わかったですゥ」

 にっこり笑ってこたえた。

(よかった……)

 まことは胸をなでおろした。正直まだ悶え火は燃えくすぶっているし、このま
ま出さずに終わったら家に帰るまでに午前以上の苦しみを味わうことはわか
っていたが、それでも瑞穂の怒りを買うよりはましだった。
 だが。

(えっ?!)

 あむッという音が股間から聞こえた。続いてこわばり全体を包むぬらつくよう
な温かさ。まことは慌てて眼下を見やる。

「わぁッ」

 絵梨香が再び怒張をほお張っていた。そして先ほどよりもさらに激しく頭をス
ライドし始めた。快感が塊で襲い来た。衝撃が背筋を走り抜け、まことは大きく
身を反らした。

「な、なんでッ。なんでぇッ絵梨香ちゃんッ!? あっ、あっ、あああぁぁッッ」

 喉をさらして絶叫する。インターバルを置くことで却って感覚が鋭敏になって
いた。全身のあちこちで燻っていた燠火が一斉に燃え盛り、まことを快美の炎
で包みこんだ。

「ダメッ、ダメぇッ。あっ、あッ、ああぁぁッッ」

 「むぴゅ」十回ほど往復して、動きが止った。まことはカハッと息を吐きながら
身を折り曲げる。涙目でかすむ向こうに、肉棒を含んだまま上目遣いでこちら
を見つめる絵梨香の顔があった。

「え、絵梨香ちゃん……。ど、どうして!?」

 震え問うまことに少女はニコッと笑って言った。

「あたひ、まふぇないですゥ〜」

、そして再び頭のピストン運動を再開させた。先ほどよりさらに速く。そして強く。

「そんなッ!? そんなのってッ。ああッ、んあぁッ、んああぁぁッッ」

 まこともまた先ほどよりさらに大きく身を反らし、叫びを上げた。頭をメチャ
クチャにふり乱した。
 どうやら絵梨香は、自分の小五の時よりおませである瑞穂に対抗心を抱いた
ようだった。「わかった」と言ったのはあくまで事情を理解した、という意味だっ
たのだろう。あるいは出せないまことをかわいそうに思い、この少女お得意の
「気まぐれ」を起こしたか。
 
いずれにしろ、これ以後まことがいくら泣き叫ぼうが、「ダメッ。やめて。お願い」
と哀願しようが、絵梨香は口撃を緩めなかった。そのうえ、右手の指で輪っかを
作って根元をシゴき上げ、左の指で袋を揉みさすり、あらゆる手管を尽くしてまこ
とを射精に導こうと躍起になった。ラストスパートに向けてスピードがさらにあがった。

「ああぁッ。ダメッ、ダメッ、ダメェぇぇェェッッ」

 まことも限界だった。全身に震えが走り、歯がカチカチと鳴る。とっくの前に折り
返し不能の地点に追い込まれていた。ただ瑞穂への恐怖だけがまことを絶頂の扉
に飛び込むことを踏みとどまらせていた。

「あひゃうッ」

 絵梨香の責めがまたポイントを突き、何度目かの大波が快楽中枢を襲った。ま
ことは尻肉に力を入れて、肛門を引き締めそれに耐える。
 だが、少女はそれを察したかのように袋をいじっていた左手の中指をアヌスへ
そっと滑らせた。怯え震える菊口をからかうようにくすぐった。

「んひゃぁッ」

 全身のタガが緩んだ。抑えつけていた快感が手足の隅々にまで広がる。脊椎の
真ん中を冷たい針が走り抜け、射精神経を直撃しようとする。まことは再度肛門
を引き締めそれを阻止しようとした。だが。
 ぷすっ。今度は指が突き立てられた。そのままくにゅっと押し入れられる。指
頭で直腸粘膜がゆっくりとかき回された。

「んあッ。んああああァぁァぁッッ」

 最後の砦が崩れ去り、同時に耐えに耐えていた水門が決壊した。まことは腰を
突き上げ、少女の喉奥めがけて熱い樹液を放出した。
 ドクッ、ドクぅッ、ドクぅぅぅッッ。

「ああッ。あああッ。ああああぁァァッッ」

 一打ちごとにまことは身をのけ反らせ、足がつま先立ちになる。絵梨香は頭
の動きを止め、尻に回した手に力を入れ、それを支える。だが、指の輪の動き
は止めない。一滴でも多く精液を搾りとろうかというように脈打つペニスをしごき
立てる。

(ああッ。出てる……出ちゃうッ……出ちゃうぅゥゥッッ)

 目の前がチカチカと点滅するような恍惚と快感に襲われながら、まことは牡
のエキスを吐き出し続けた。それを受けて少女の小さな喉元がコクッ、コクッと
動いた。

「にゅぽッ」

「んッくあッ」

 最後の射出が終わると、絵梨香は唇を引き抜いた。同時に両手の力を緩める。
支えを失い、立っている力も吸い取られたまことは、背後のソファに崩れるよう
に座りこんだ。全身を小刻みに震わせる。

「あ、ああ……あああ……」

 射精してしまった後悔と快感の余韻にまことは言葉も出ない。目の前では絵梨
香が右手の中指と薬指を唇に当て、閉じた睫をふるふると震わせていた。吐くの
をこらえているような、上等なワインを口中で転がし恍惚となっているような妖し
い表情。
 やがてその喉元がゴクッ、と大きく鳴ると少女は目を開けた。

「ふう〜ッ、おいしかったですゥ。やっぱり食後にはヨーグルト飲料ですよねェ?」

 満足げな笑みを浮かべる。まことは「ああ……」と声を震わすばかり。

「あはッ、そんなに気持ちよかったんですかァ? センパイ」

 少女はコケティシュな瞳をたたえ、顔を覗きこんできた。

「とっても可愛かったですよォ? 女のコみたいにアンアン啼いちゃってェ。
あたしもコーフンしちゃったですゥ」

「や、やだッ」

 自分の演じた痴態を思い出し、まことは羞恥に頬を染めた。目を逸らして俯く。
絵梨香は「ふふ、ホント可愛い」と微笑むと、まことの視線に合わせるように目
を下げて

「あっ、オチンチンも玉タマもべとべとですねェ? キレイにしてあげるですゥ」

 またも股間に顔をうずめた。

「あっ、ダメッ……」

 まことは抗おうとしたが力が入らなかった。半濡れになったショーツに手がか
かり、引き抜かれる。膝が押し広げられ、少女の伸ばした舌先が茎と袋の境目
あたりに当てられた。垂れそぼつ粘液がレロッと舐め取られる。

「ひゃうぅッッ」

 そこから絵梨香は袋、幹、亀頭と、毛繕いをするネコのように丹念に分泌液を
ぬぐい去っていく。出し終わったばかりで敏感になった牡器官をねぶられて、ま
ことは苦悶の悲鳴を上げる。半萎えだった肉棒がたちまち先ほどまでの硬度と
長さを取り戻していく。

(ダ、ダメッ。こんなんじゃ、また、で、出ちゃうよぉ……)

 最初の予兆の衝動に打ち震えた時だった。
 
 キーン・コーン・カーン……。
 隣室に面する壁の、上方に取り付けられたスピーカーが鐘音を奏でた。
 昼休み終了五分前を告げる予鈴だった。絵梨香はガバッと身を起こした。

「いっけなあァい。早く中等部に戻らないとォッ」

 慌てて立ち上がり、そそくさと身繕いをはじめた。ハンカチで手と口をぬぐい、前
髪の乱れを整える。まことの手首から紐タイをほどき、自分の胸元へ結び直す。裾
廻りをチェックする。いきなり快美の中断をくらったまことは呆然とそれを眺めていた。

「よしッ、と」

 壁に掛かった姿身で身だしなみを確認すると、絵梨香はソファで呆けているまこ
との元に戻ってきて

「センパイ、今日はとっても楽しかったですゥ。また明日来るですゥ」

 顔を覗きこんだ。その時になってようやくまことは重大なことを思い出した。

(あっ、そうだ。しゃ、写真……)

 このまま消さずに持っていかれたら、なんのために羞恥と快苦に耐えたかわか
らない。慌ててソファから身を起こす。

「じゃあセンパイ、バイバイですゥ」

「ま、待って。絵梨香ちゃんッ」

 まことは身を翻した少女に声を腕を伸ばした。すると絵梨香もほぼ同時に

「あっ、そうだァッ」

 と振り直った。
 あちらも思い出してくれたのか。まことはホッとしたが、案に相違して、少女
はまことの足元にしゃがみこむと、その側に脱ぎ取ったショーツを掴み上げ

「これ、今日の記念にもらって行きますねェ?」

「そ、そんなッ。ダ、ダメッ」

 思わぬお願いにまことは取り乱す。このショーツはまことのものでなく、あく
まで瑞穂から「借りている」ものだ。さらに言えばプレイのために「着用が義務
づけられている」ものだ。瑞穂の前で穿いていないなど、ましてや断りもなしに
他人に譲ったなどということは絶対に許されない。
 まことはその事情を説明しようとした。だが咄嗟のことに気が動転し、「ダメ
ッ……ダメッ」と首を振ることしかできない。

「あ〜そうですよねェ」

 絵梨香はそんなまことの様子に何を合点したのか、大きくうなずいた。

「センパイもパンツないと風邪引いちゃいますよねェ? わかりますゥ」

「い、いや、その……」

「ああ、だいじょうぶですよォ。だったらこうすればいいんですゥ」

 絵梨香はそういうやいなや、グレイのプリーツミニスカートをまくり上げ、
その下に両手を差し入れた。

「な、な、な、なッ!?」

 まことが唖然としている目の前で、少女は自分のショーツを脱ぎ下ろした。そ
して足首から抜いて丸まった、ピンクと白のチェック模様のそれをまことの手に
ぎゅっと握らせて

「代わりにこれ、センパイにあげますゥ。これでいいですよねェ?」

「あ、あ、あ……」

 まことはもはや言葉も出せない。それでも小刻みに首を振って、ちがうと訴えた。

「あ〜わかってますゥ、わかってますゥ」

 絵梨香はまた何を勘違いしたのか、人差し指を立て、片目をつぶった。

「『使い』たかったら『使って』いいですよォ、センパイ。あたしは妹さんみたいに
怒りませんからァ。匂いをかぐのも頭にかぶるのもセンパイの自由ですゥ」

 そしてツッとまことの耳元に口を近づけて

「その代わり、あたしも今日のこと思い出してこれ『使っちゃいます』からァ。
うふふ……」
 
 熱い息とともに囁いた。まことはもう震えることもできなかった。

「じゃあ、あたし急ぐんでェ。今度こそ本当のバイバイですゥ」

 ノーパン少女はそう言うと、まことのショーツをスカートのポケットに入れ、
身を翻した。スカートがまくれるのにもかまわずドアまで駆け寄り、そのまま扉
の向こうへと消えた。
 一人残されたまことは、ソファにもたれかかったまま呆然としていた。。
 
 脅迫写真を取られて弄ばれたあげくに、証拠はそのまま持ち去られ……
 家に帰るまで穿いているよう命じられたショーツも持っていかれ……
 それになにより、絶対漏らすことの許されない精液を一滴残らず吸い取られ……

(どうしよう……。瑞穂になんて言ったらいいんだ……)

 悪寒が沸き上がり、まことの全身を震わせた。手に握った脱ぎたての下着だけ
がわずかな暖かさだった。
 キーン・コーン・カーン……。
 昼休み終了の鐘が鳴った。だが、まことは立ち上がることもできず、ショーツ
を握り、下半身を剥き出しにした姿のまま、ただ震えてそれを聞いていた。

(絵梨香ちゃん、まだかな……)

 次の日の昼休み。高等部校舎の出入り口。
 ランチボックスを提げた女子グループやカップルたちが楽しげに通り過ぎて
行く中、まことは一人不安げな面持ちで角口に立っていた。
 すがるような視線を道沿い果ての中等部校舎へと伸ばしている。

(来るよな? 来てくれないと困るよぉ……)

 落ち着きなく身体を揺らす。昼休みに入ってからまだ十分も経っていないの
だが、まことはもう居ても立ってもいられないほどの焦燥感にかられていた。
ツバを何度も飲み込んでいらつく喉を鎮ませる。

「また明日来るですゥ」

 絵梨香は確かにそう言った。だが気まぐれな少女のこと、そんな言葉など
すっかり忘れてクラスメイトたちとの昼食を楽しんでいるかもしれない。そう
思うと気が気ではなかった。こちらから絵梨香の教室に足を運ぼうとも考えた
が、そうしたら少女は間違いなく例の調子ではしゃぎまくり、まことは下級生
たちの好奇と憶測の視線に晒されるだろう。小心者の少年にはそれに耐える自
信も度胸もなかった。ケータイの番号交換を拒んだことを今さらながら悔やん
だ。

(来てッ、絵梨香ちゃん。お願いッ)

 まこと爪先立ちになり、視線の果てに目を凝らす。だが少女の姿はいまだ見
えない。

(来てよぉ……でないとボク、また瑞穂に……瑞穂にッ)

 涙目になった。昨夜の記憶が蘇り、全身に震えが沸き上がる。まことは踵を
下ろし、自分で自分を抱き締めた。

「あうッ」

 その刹那、刺すような痛みが胸や脇腹、そしてそれに触れた両腕自身に走っ
た。まことは身を屈めてうめいた。

(ああ……)

 刺激に触発されて全身のあちこちから強火で炙られたような熱さが立ち起
こった。まことは自分のうかつさと瑞穂を呪った。目を閉じて痛みが鎮まる
のを待つ。
 そこに。

「あれ? 須藤、おまえこんなとこで何やってんの?」

 後から突然声をかけられた。まことは慌てて振り向いた。

「あわわ、良平……」

 良平が不思議そうな顔をして立っていた。手に菓子パンやらコーヒーパック
やらが詰まったコンビニのビニール袋を提げている。

「い、いや、その……あ、きょ、今日はそれなんだ? 良平」

 ごまかすように袋を指さした。

「ん? ああ、今日はかーちゃん寝坊して弁当作ってもらえなくてさあ……。
で、おまえは何なの? 昼飯も食わねーでこんなとこでショボンと。誰か待っ
てるのか?」

「いや、そのッ。あのッ……」

「あ? なぁーにキョドってんだよ。さては会長と待ち合わせてラブラブ弁当
……ってわけじゃなさそうだなあ?」

 手ぶらのまことを見て良平は首を傾げる。だが道の先に目をやると「ははー
ん」とニヤけた笑みを見せた。

「そぉかあ、絵梨香ちゃんを待っているのかあ。この浮気者」

「ち、ちがう。ちがうよぉッ」

「ああ大丈夫、大丈夫」

 慌てて首を振るまことに、良平ははいはいと手のひらを押し出し

「会長には言わないでおいてやるよ。浮気は男の甲斐性だからな」

「だ、だから絵梨香ちゃんとはそんなんじゃなくて……」

「無理すんなって。いくら惚れていてもあのぺチャ胸じゃあな。絵梨香ちゃん
の巨乳に転ぶ気持ちはよーくわかる。わかるぞ須藤」

「だ、だからぁッ」

「だがなあ、須藤」

 良平はまことの顔を覗きこみ、わざとらしく眉根をひそめた。

「一人占めはよくないぞ。昨日といい今日といい。俺たちは親友だろ? 親友
ならナイスバディなロリっ子は共有すべきだとは思わないのか? ん?」

「ち、ちがうんだ。ほんとに、あの……」

「じゃあ、あれはなんなんだよ」

 良平はまことの肩向こうを指差した。

「えっ?!」

 まことが振り返ると、そこには道向こうからこちらに駆け寄ってくる絵梨香
の姿があった。満面の笑みを浮かべ、栗色のポニーテールと豊かな胸を弾ませ
ながら「センパ〜イ」と右手を振っている。

(うわっ……)

 まことはおののいた。待ち焦がれていた絵梨香だが、あまりにもタイミング
が悪過ぎた。さらに悪いことに、絵梨香は二人の元にやってくると開口一番

「センパ〜イ、昨日のアレ『使って』くれましたァ?」

 良平が側にいるにも関わらずとんでもないことを口にした。

「わああっッ」

 まことは両手を振り乱し絵梨香に黙るようサインを送ったが、天然少女はそ
れに気づくことなく

「あれ〜? 『使って』くれなかったんですかァ? あたしなんかもうコーフン
しちゃって三回も『使っ』ちゃいましよォ。センパイの可愛い声と姿を思い出し」

「わあッ。わああああッ」

「なんだ? 使うの使わないのって?」

 事情を飲み込めない良平は首を傾げた。まことは顔中から汗を吹き出しなが
ら必死に頭を回転させる。

「あ、あの、つまりその、昨日絵梨香ちゃんとパ……パ、パソコン、そうパソ
コンのゲームソフトを交換しあったんだ。お近づきの印にって。絵梨香ちゃん
もパソコンゲーム好きなんだって。そ、そうだよね? 絵梨香ちゃん」

「はいですゥ?」

 まことのでっち上げに、こちらも自分の言葉の危険さをまるで飲み込めてい
ない少女が首を傾げた。

「ほ、ほら『はい』だって。そういうこと。ははは……」

「ふぅ〜ん? まあどーでもいいけどさあ、おまえ絵梨香ちゃんが来たら急に
元気になったなあ。やっぱりそういうことだったんだな?」

 良平はニヤニヤと笑った。

「えっ? それってどういうことですかァ?」

「いやあそれがさ、絵梨香ちゃん」

 さらに首を傾げる絵梨香に良平もさらに下卑た笑みを浮かべた。

「こいつ今朝からグデーッとして元気なくてさあ。授業で指されても答えられ
ないわ体育の授業も見学だわで。さっきも俺が来るまでションボリ一人で立っ
てたのに、絵梨香ちゃんに会ったらご覧のとおり。こいつもう君にゾっこんな
わけよ」

「ち、ちがうッ。良平、おまえ勝手なことを……」

「わあ、本当ですかァ? うれしいですゥ」

 慌てるまことをよそに、絵梨香は拳を前にして身をくねらせた。

「ああ、でもね絵梨香ちゃん。ゾっこんなら俺も負けていないのよ」

 良平はまことたちの間に割り込むと親指で自分を指差した。

「俺ももう昨日から絵梨香ちゃんの事で頭が一杯でさあ。今日も宿題は忘れる
わ弁当を忘れるわでもう大変。それというのも絵梨香ちゃん、君があまりに可
愛くてキュートすぎるから」

「あはッ、お上手ですゥ」

「いやいや本気なんだって。絵梨香ちゃん、君はまさに美の……」

 良平はさらに歯がウズウズしそうな美辞麗句を並べ立てた。だがさすがに女
の子慣れしているだけあって話術は巧みで、絵梨香も面白そうに聞き入ってい
る。まことはそれを横目で見ながら

(ああ、マズイよぉ……)

 焦燥の念にかられた。絵梨香にはどうしても頼まなければいけないことがあ
る。良平のナンパにいつまでもつき合わさせるわけにはいかないのだ。といっ
て彼のいる前で切り出せる話題ではない。
 
「……でね、それが……ってわけよ」

「あはは、おかしいですゥ」

 話は終わりそうになかった。絵梨香の手にはいつのまにか菓子パンが握られ
ており、少女はそれをパクつきながら良平の冗談に肩を震わせていた。

(どうしよう。昼休みが終わっちゃう……)

 気が急いた。汗ばんだ手でワイシャツの胸どころをぎゅっとつかむ。指先が
皮膚の表面を引っ掻いた。
 
(あうッ)

 再び燃えるような痛みが広がった。まことはまたも自分を呪いながら目をつぶ
る。そして数秒のちに覚悟を決めた。さらに誤解を招くことになるが仕方がなか
った。一息飲み込んでから目を開けるとまことは言った。

「絵梨香ちゃん。ボ、ボクと二人きりで話そうよ。こんなとこじゃなくて」

「えっ?」

「なっ?!」

 およそまことらしくない発言に、二人は一瞬目を丸くした。だが一拍おいて

「わあ、うれしいですゥ。センパイの方からそう言ってもらえるなんてェ」

 絵梨香は顔を輝かせた。逆に良平はムッとした顔つきになった。

「おい須藤、おまえってヤツはぁ〜ッ。あれほど一人占めはやめろと」

 胸倉を掴まんばかりに突っ掛かってきた。まことはたじろぎ、視線を逸ら
した。

「ご、ごめん良平。決してそういうつもりじゃ……」

「じゃあどういうつもりなんだよッ」

「そ、それは……」

「ねえセンパ〜イ、関口センパイなんか置いておいて早く行きましょうですゥ」

 その騒ぎをよそに絵梨香はまことのワイシャツの裾を引っ張った。気まぐれ
少女の気はすっかり切り替わっているようだった。

「そ、そんなあ、絵梨香ちゃんまで」

「なんか」扱いされた良平は情けなく顔を歪ませた。

「ごめんなさいですゥ。でもォ、時間ないですからァ。じゃあですゥ」

「あ、あ、せ、せめてメアドだけでも……」

 すがるように手を伸ばす良平に絵梨香は「あはッ、いいですよォ」とにこや
かにケータイを取り出した。フタを跳ね上げ、ボタンを操作し始める。

「あ、ありがとうッ」

 半泣きの顔が緩む。まこともこれで少しは機嫌を直してくれるだろうとホッ
とした。だが、ふと覗いた待ち受け画面の送信データが「添付画像あり」の
昨日の状態のままであるのを見て

「ダメッ、絵梨香ちゃん。それ送っちゃダメぇぇェェッ」

 叫んだ。次の瞬間、しまったと思った。おそるおそる良平の方を見る。

「須藤ぉぉぉっっッッ」

 顔を背けた。その状態のまま

「あの、良平……あの、その、これは、つまり……」

 言葉にならない言い訳を述べた。

「あはッ、センパイがダメだというならしょうがないですねェ」

 絵梨香は気づいているのかいないのか、にこやかな表情のままケータイのフ
タを閉じた。良平の肩ががっくりと落ちた。

「じゃあ、センパイ行きましょうですゥ」

「う、うん……」

 まことは決まり悪げにその場を離れた。それでも校舎に入る前に一度振り返
ったが、良平は相変わらず恨めしげにこちらを見ていた。絵梨香が思い出した
ように

「ああ言い忘れてましたァ。関口センパイ、またねですゥ」

と手を振ると

「おうッ。絵梨香ちゃん、やる時はちゃんと着けてもらえよなあッ」

 やけくそ気味に手を振り返した。絵梨香は

「はぁ〜い、着けてもらいますゥ」

 さらに元気よく腕を振った。 

「センパ〜イッ」

「ちょ、ちょっと。絵梨香ちゃんッ」

 部屋のドアを閉めるなり、絵梨香が抱き着いてこようとした。まことは慌て
て飛びのいた。

「な、何するの。やめてよッ」

「何って二人っきりでお話ってそういうことじゃなかったんですかァ?」

 絵梨香は小首を傾げた。まことは激しく首を振った。

「ちがうッ。ちがうよぉッ」

「え〜ッ、だってェここ昨日のお部屋ですよねェ? だからあたしてっきりィ……」

 少女は確認するように生徒会長室の中を見回した。
 そう。まことはまたもこの部屋に絵梨香を連れて来ていた。昨日のことも
あるし、こう続けば人に知られる可能性も高くなるのはわかっていたが、
それでもこの危険物のごとき少女と安心して会話ができる場所となるとこ
こしかなかったのである。

「ヘ、部屋は一緒だけど、ち、ちがうから。とにかくッ」

「なぁ〜んだ。ガッカリですゥ。じゃあお話って何なんですかァ?」

「そ、それは……」

 まことは大きくツバを飲むと、ズボンのポケットに手を入れた。ぺしゃんこ
になった小さな紙袋を取り出す。さんざ冷や汗やら油汗やらをかいたせいで緑
の薄紙のそれは重く湿っていた。両手の平に置くと、名刺を渡すように下手構
えで少女に差し出した。

「こ、これ……」

「なんですかァ?」

「え、絵梨香ちゃんのパンツ。も、もちろん『使って』なんかいないよ。だ、
だから……だからボクのパンツ、返してッ。お願いッ」

 深々と頭を下げた。

「え〜ッ、そんなァ」

 絵梨香は不満げに身体をよじらせた。

「センパイ昨日は交換でOKだって言ったじゃないですかァ。それを今になっ
て返せだなんて……ヒドイですゥ」

(言ってない。言ってないよぉ、そんなこと……)

 まことは否定したくなったが、ここは少女を怒らせてはいけないとさらに頭
を下げ、

「ご、ごめん。でもお願い。返してッ。このとおりッ」

 懇願した。だが絵梨香はまるで聞こえてないといった感じで「それにィ」と
声を尖らせた。

「『使い』もしないで返すだなんてショックですゥ。あたしのパンツってそん
なに魅力ないですかァ? 妹さんのパンツの方がいいんですかァ?」

「い、いや。そういう問題じゃなくて……」

「ああ、わかりましたァ。いやですゥ、センパ〜イ」

 また何か勘違いしたのか、少女は声に艶を含ませた。

「センパイ、あたしの『使った』パンツが欲しいんですねェ? そっちの方が
コーフンするんですねェ? センパイ、スケベですゥ。エロエロですゥ」

「ちょ、ちょっとッ」

 まことは頭を跳ね上げた。絵梨香は口元に両手を当て、妖しい目つきで笑っ
ていた。

「それならそうと最初に言ってくださいよォ。それなら返すまでもないですゥ。
今すぐこの場で『使って』作ってあげるですゥ」

 そう言うやいなや絵梨香はカーペットに膝をつき、まことのベルトに手を伸
ばした。

「え、絵梨香ちゃん。やめてッ。待ってッ、ああッ」

 もみ合う二人の手が大きな塊となって股間のたかまりにぶつかった。その瞬
間まことの身体を激痛が貫いた。たまらず首をのけ反り叫んだ。

「ぐああぁッ」

「な、なんですゥ?!」

 絵梨香はびっくりして手を引っ込めた。強さ自体は軽く叩く程度のものだっ
たから驚くのも無理はない。だがまことには充分すぎる刺激だった。誘発された
全身の痛みも手伝って、まことは身をくねらせ、悶えうめいた。

「ど、どうしたんですかァ? どうしたんですかァ、センパイ?!」

 絵梨香は心配そうに手を伸ばしてきた。まことは慌てて

「さ、触らないでッ。お願いッ」

「は、はいですゥッ……。で、でもどうしちゃったんですかァ、センパイッ!」

「あうう……」

 まことはそれに答えずに、震える右手で左手のワイシャツの袖口ボタンを外し、
まくり上げた。

「わぁッ、ヒドイですゥッ」

 絵梨香は口元に両手を当てた。まことの前腕は真っ赤に腫れあがっていて、
至るところがアザだらけ、傷だらけだった。

「どうしたんですかァ、この腕」

「腕だけじゃないよォ……」

 まことは泣きそうな声で言った。

「脚も、胸も、背中も、アソコも……みんなこんなだよォ……」

「そんなァ。どうしてですゥッ」

「絵梨香ちゃぁぁん……」

 尋ね問う少女にまことは滲んだ目を向けて訴えた。

「パンツ返してッ……。でないとボク、また瑞穂にこうされちゃうよォッ」

 こらえていた涙が吹きこぼれた。

 


 昨夜。
 恐れていたとおり、まことは瑞穂から手酷い「お仕置き」を受けた。

「いい度胸してるね、おにぃ」

 太い眉をこれ以上ない位いからせて、瑞穂は言った。

「瑞穂の許可なく勝手に出して、おまけに瑞穂の貸してあげたパンツを捨て
ちゃうなんて。チョウキョウが足りなかったのかな?」

 二つ折りにしたビニール製の縄跳びをパシパシと鳴らす。

「ああ……許してッ。許して瑞穂ッ」

 全裸で仰向けになるよう命じられたまことは震えながら哀願したが

「許すわけないでしょッ。このバカおにぃッ」

「ぐわあぁッッ」

 瑞穂は容赦なく鞭を股間へと振り下ろした。まことは身を跳ね反らして絶
叫した。

「まだだよッ、おにぃッ」

 苦痛のあまり身体を丸めたまことの背中にさらに鞭が飛んだ。

「早く上を向いてッ。手もどけるのッ。いけないオチンチンをもっともっと
懲らしめてやるんだからッ」

「やめて瑞穂ッ。もう許してッ」

「うるさいッ」

「うあああッ」

 再び怒りと勢いをこめた一撃がふるわれた。灼けるような痛みと衝撃が
全身を走り抜け、頬が新たな涙で濡れた。

「ごめん瑞穂。もうしないから、二度と隠れてオナニーなんかしないから……。
だから、だから許してェッ」

 まことは泣き叫び、ひたすら許しを乞うた。

 ノーパン射精済みで帰宅せざるを得なかったまことは──本当の事が言え
るわけも、絵梨香のショーツを穿くわけもいかず──瑞穂にこう弁解したの
だった。

「女のコの下着を穿かされて異常に興奮してしまい、ガマンできずに学校の
トイレでしてしまった。精液まみれになったショーツを洗っていたのだが、
そこに人が来てしまい慌てて窓から捨てた。下がクラブ棟の屋根だったので
取りに行きたくてもいけなかった」

 かなり苦しい言い訳だったが、瑞穂は信じた。というより信じる前に絶対
服従の禁を破ったまことに怒りに我を忘れてしまったのだった。

「許さないッ。絶対許さないよ、おにぃッ」

 妹は鞭を唸らせ、兄の肉と口から悲鳴を上げ続けさせた。

「瑞穂はね、今日のおにぃは早く出したくてしょうがないだろうと思って美佳
ちゃんや里美ちゃんからの誘いも断って待っていてあげたんだよ? それなの
におにぃは……おにぃはッ」

 唇を震わせた。要は射精できずに苦しみ悶える兄を見たくて自分の方がウズ
ウズしていたということだろう。その期待が裏切られた憤りは容易におさまら
なかった。

「二度とオナニーしない? いいんだよ、して。思う存分オナニーして出しちゃ
っていいんだよおにぃ。ほらッ、しなよッ。しなさいよッ」

 瑞穂は自慰を強要した。そしてまことが泣く泣く肉棒をシゴキ立てる中も絶
え間なく鞭をふるい続けた。
 早く出せと言っては尻を打ち、手が止まっていると言っては腕を打ち……。
少しでも口答えや泣き言を言おうものなら全身に打擲の雨が降った。まことの
身体は真っ赤な筋で埋め尽くされた。何度精を吐き出しても手心は加えられな
かった。
 それはもうプレイの範疇である「お仕置き」を超え、あきらかに「折檻」
「拷問」だった。パートに出ていた母親が帰宅して、瑞穂を手伝いに呼び付け
なかったら、まことは気絶するまで打ちすえられ、射精させられ続けただろう。

「いいこと? おにぃッ」

 去り際、まだ打ち足りないといった昂ぶった表情を浮かべて瑞穂は言った。

「明日までに捨てたパンツを拾ってくるか、もう一度同じのを買ってくるかす
るんだよ? でないとこんなお仕置きじゃすまないからね。わかったッ?」


「ご、ごめんなさいですゥ。センパイあたしのせいでそんな……。ホントにご
めんなさいですゥ……」

 まことの話を聞き終えた絵梨香は口に手を当て、うるうると目に涙を浮かべた。
そしてしばらくその姿勢のまま震えていたが、やがて感極まったのか

「うわあぁぁん、センパ〜イッ」

 いきなり抱きついて来た。

「うわッ」

 話終えた直後で気が揺るんでいたこともあり、今度はまことも避け切れなか
った。柔らかいが勢いのついた少女の肉体が腫れ傷だらけの胸腰に激突し、
巻き付いた腕がアザが疼く脇腹と背中を打ち襲った。

「ぐあぁッッ」

「あ?! ご、ごめんなさいですゥッ」

 絵梨香は慌てて飛びのいた。まことは身を屈めてうめいた。

「ぐうううッ……」

「あの〜う、だいじょうぶですかァ?」

 心配そうに顔を覗き込んでくる絵梨香に

「だ、だいじょうぶ……それよりパンツを……パンツを返して」

 まことは身悶えしながら言った。絵梨香は「もちろんお返しするですゥ」と
うなずいたが、そこで「あ」と声を上げ

「でもォ、パンツおウチなんですよォ。どうしましょうかァ?」

「や、やっぱり?」

 絵梨香の言葉にまことは情けなく顔を歪ませた。

 予測していたことではあった。いくら頭のネジが飛んでいる少女とはいえ、
使用済みのショーツを意味なく持ち歩いたりはしないだろう。期限は今日まで
だが、実際に取り戻すのは明日になるであろうことは覚悟していた。
 だからそれを見越して、今晩まことは良平の家に泊めてもらう気でいた。二
人とも中等部時代からよくお互いの家を行き来しており、そのまま泊まること
もしばしばだったので頼みやすい。当然瑞穂は期限越えのペナルティを課して
くるだろうが、それでも今日手ぶらで帰るよりは遥かにマシだろう。そう考え
ていた。
 しかし。
 その良平をさんざん怒らせてしまった。いつもなら二つ返事で宿泊をOKし
てくれる彼ではあるが、さすがに今日は無理だろう。といって友人の少ない
まことには他に頼める相手はいない。

(どうしよう……)

 頭を抱えた。
「同じショーツを店で買う」という選択は取りたくなかった。あの店にはもう
行けないし、他の店に足を踏み入れる勇気も到底ない。それに恥を忍んで店内
に入ったとしても同じショーツがあるとは限らないのだ。
 同じものが見つかるまで店をハシゴして女児用ショーツのワゴンを物色し続
けなけばいけないとしたら……。
 考えただけで身震いがした。しかしならどうしたらいいのか? 良案はなか
った。

「センパ〜イ、今日は生徒会のお仕事忙しいんですかァ?」

 いっそ用務員の目を盗んでこの部屋に泊まるか……そう考えた時だった。
絵梨香が声を掛けてきた。

「えっ、えっ? い、いや今日は簡単な打ち合わせだけだからすぐ終わると思
うけど」

 わけもわからずまことが答えると、少女はニッコリと笑った。

「じゃあ、あたしも部活を早引けしますからァ、一緒にあたしのおウチまで行
きましょうですゥ。それならパンツも今日中に返せますからァ」

「い、いいのッ?!」

 思わぬ提案にまことは声を上げた。目の前がいっぺんに明るくなる。絵梨香
はその輝きにさらに光を加えるように

「はいですゥ。ぜひそうして下さァい」

「あ、ありがとうッ。で、でも悪いよ。ボクのために部活を……」

 後ろめたさにまた視野が陰る。今はどうか知らないが、まことの中等部時代
の女子テニス部は厳しい規律で知られていた。入部して日の浅い一年生が早退
などしたら、後で辛い目に会わされないだろうか。

「だいじょうぶですゥ。気にしないでくださァい。センパイにご迷惑かけたん
ですからそれぐらいして当然ですゥ」

「で、でも……。ボク、部活終わるまで待つよ。ボクなら別に遅くなってもい
いから」

「いいんですいいんですゥ。それにィ、早く帰ったらそれだけセンパイにお詫
びのおもてなしができますからァ」

「い、いいよ。お詫びだなんて。パンツさえ返してもらったら……」

 慌てて両手を振るまことに

「ダメですゥ。お詫びさせてくださァい。そうでないとあたしの気が済まない
んですゥ」

 少女は拳を前にしてぶんぶんと身体を振った。豊かな胸と栗色のシッポが跳
ねる。迫力負けしたまことはうなずいた。

「わ、わかったよ。じゃあ悪いけどそれで……」

 この様子なら部活の方もだいじょうぶなのだろう。まことは少女の言葉に甘
えることにした。

「はいですゥ。これで決まりですゥ。じゃあセンパイ、お仕事終わったらテニ
スコートの方に来て下さいねェ?」

「うん」

 キーン・コーン・カーン……。その時ちょうどいい具合に予鈴がなった。

「あ、戻らないとォ。じゃあねですゥ、センパイ」

 絵梨香は肩のところで手を振り、踵を返した……かに思ったのだが、すぐに
まことの方に向き直った。

「うふ、その前に……。センパ〜イ、ちょっと顔を下に突き出してもらえます
かァ?」

「えっ? こ、こう?」

 とっさの事にまことがわけもわからず従うと

「そうですゥ」

 絵梨香は爪先だちになりながら自分も首を上に伸ばした。
 
 ちゅっ。
 
 軽い接触音と共にまことの唇に少女の唇が押し当てられた。

「え、絵梨香ちゃん?! な、何をッ」

 まことが慌てて飛びのくと、絵梨香はえへッと舌を出し

「お詫び第一弾ですゥ。それじゃあセンパイ、放課後ですゥ」

 今度こそ踵を返して生徒会長室から出て行った。まことは呆然とその後ろ姿
を見送った後

(お詫び。これが……)

 唇にそっと手をやった。瞬間しか味わえなかった少女のなまめかしさを反芻
する。眼前に迫る顔。ちゅっという響き。温かいような冷たいような粘膜の感触。

(ボク……キスされたんだ……)

 ようやく実感が沸いてきた。身体中がカーッと熱くなる。痛みではなく甘さ
と恥ずかしさがおりなす灼熱感。
 まことにとって初めてのキスだった。

(ヤバッ、遅くなっちゃったよぉッ)

 打ち合わせが終わるやいなや、まことは執行部室を飛び出した。他生徒の
模範たるべき副会長にはあるまじく、廊下をダッシュで駆け抜け、階段を跳ね
降りる。

(絵梨香ちゃん、怒ってなきゃいいけど……)

 汗が吹き出す。「すぐ終わるはず」が一時間以上かかってしまった。いくら
「お詫び」とはいえ、早引けする気でいる少女には怒るに足りる遅刻だろう。
申し訳なさに気が急いる。それにただでさえ気まぐれを起こしやすい性格だ。
怒ったらなおのこと「やっぱりパンツは返さないですゥ」と言いかねない。痛
みをおして手足を動かす。

 遅れたのはまこと自身が原因だった。
 打ち合わせの間中、昼間のことを思い出してはポーッとなり、そのたびに進行
を滞らせてしまったのだった。午後の授業中も同様で、少しも身が入らなかった。
「お詫び第一弾」の効果はそれほど大きかった。
 ショックの度合いだけでいえば、昨日の手コキやフェラチオの方が凄かったで
あろう。だが昨日は瑞穂への恐怖で余韻に浸るどころではなかったし、ペニスを
弄られる行為自体は瑞穂相手で慣れていたともいえた。未知の経験であった唇
と唇の接触の方が新鮮味が高かった。
 それに根が真面目で純情な少年にとって直接的な性技より軽いキスの方が
より心に迫るものがあった。性感による羞恥とはまた別の「うれし恥ずかし」な
ときめき。そのこそばい心地よさを味わいたくて、まことは飽かずに記憶を反芻
してしまうのであった。

 ちゅっ……。

 今もまた急いでいるにもかかわらず、眼前に迫る少女の顔がフラッシュバック
されて、思わず頬と足を緩めてしまう。そのまま立ち止まって甘い思いに耽りそ
うになる。

(い、いけないッ)

 まことは頭を振ると、改めてテニスコート目指して駆け出した。



「こらあッ、そこッ。たるんでるんじゃないのッ」

 中等部グラウンドの端にある、女子部専用コートに辿り着いたまことを出迎え
たのは、部長とおぼしき女子生徒の怒号だった。

「そんなだらけたプレイしかできないのならいつでもメンバーから外すからねッ。
もっとしゃきっとしなさい、しゃきっとッ」

 テニスウエアに長身ショートカット、きりりとした顔立ちのその少女は、ラケ
ットを突きつけて激を飛ばす。叱られた部員は腰を90度にピッと曲げて「すみ
ませんでしたあッ」と頭を下げた。

「フンッ」

 少女はそれを一瞥するとすぐに別の部員に向かってラケットを振り

「こらあッ杉本ッ。そんなサーブの打ち方があるのッ。それで試合に勝てると
思ってるのッ」

 声を荒げる。再び「すみませんでしたあッ」の最敬礼。

(うわあ……)

 まことは自分が叱られたわけでもないのに身を堅くした。ここに来るまでに
何度か浸っていた甘い思いの名残が微塵もなく消し飛ぶ。
 試合が近いのだろう。金網の向こうからピリピリとした空気が伝わってくる。
件の部員達もだらけていたわけではなく、猛練習からくる疲れで動作が緩慢に
なっているという感じだ。どうやら厳しい伝統はしっかり受け継がれているらしい。

(大丈夫なのかなあ。こんな中で早引けして)

 いきおい絵梨香のことが心配になってくる。コートを見渡して巨乳少女を探す。
だがそれらしい姿は見当たらない。

(まさか怒って帰ってしまったんじゃ……)

 焦りが込み上げてきたその時、まことがいる側とはちょうど反対、グラウンド
につながっている金網の入り口から「宮中、ファイトファイト」の掛け声と共に
十人ほどの少女の一団が駆け入ってきた。全員ジャージ姿で、顔つきはコート
の中の少女達と比べて一様に幼い。どうやら一年生は別メニューで体力トレー
ニングのようだった。きついペースで走ってきたのか、コート後方の空スペース
に辿り着くと、みな膝に手をついて肩を上下させた。中には地面に転がってしま
った者もいる。

「こらあッ一年。誰が休んでいいって言ったのッ? ランニングが終わったら腕
立て100回。それが終わったら腹筋50回ッ」

 再び部長の激が飛んだ。一年生たちは「はいッ」と飛び上がり、慌てて腕立て
伏せを始めた。そこに。

(あ、絵梨香ちゃん……)

 一人遅れて絵梨香が内股気味にコートに駆け入ってきた。体格に見合わぬ胸
が重りになっているせいか、走軸が左右に揺れたすっかりバテた足取りだった。
ハァハァと頬を上気させた、見ようによっては悩ましげな息遣いと顔つき。それ
でも何とか仲間達の元辿り着くと、腕立ての輪に加わるべく身を屈めた。

「あっ」

 その時ちょうど正面に位置していたまことと目が合った。少年はためらいがち
に手を肩の前に上げる。苦しげだった少女の顔がいきなり満面の笑みへと変わ
った。

「センパァ〜イ」

 絵梨香は手を振りながらタタタタタと弾むように金網まで駆け寄ってきた。
どうみても先ほどのバテ具合は演技としか思えないほどの元気の良さだった。

「センパイ、遅いですゥ。ヒドイですゥ。あたし、ランニングの前には帰る気で
いたんですよォ?」

 それでも疲れたのは確からしく、少女は笑いながらも咎めるような上目遣いを
してみせた。

「ご、ごめんね。ちょっと、その、色々あって……」

 まことが絵梨香と部員全員の視線にたじろぎながら言うと、少女はてへっと舌
を出し

「でもォ腕立ての前でよかったですゥ。あれ、胸がつかえて苦しいから嫌いなん
ですよォ」

 軽く身体を振って、その腕力強化には邪魔な二つのふくらみを揺らした。

「そ、そうなんだ。はは……」

「じゃあ少し待っててくださいねェ? 部長さんにお断りしてきますからァ」

「あっ、絵梨香ちゃん。ちょっとッ」

 「やっぱりボク待つから」そう言う前に絵梨香は踵を返して駆け出した。腕
を組み、口をへの字に曲げてこちらを睨む部長に近づくと

「部長さぁ〜ん、すいませェん。今日はこれで上がらせてくださァい」

 ぺコリと頭を下げた。

「あわわ……」

 まことは震えながら口元を手で覆った。
 怒鳴られる。下手をしたらラケットで殴られる。そう思った。
 だが。

「…………」

 案に反して部長は押し黙ったままだった。組んだ腕の上をラケットの柄で叩き
ながら、難しい問題を解いているように眉根を寄せている。しばらくしてようやく

「……どうしても?」

 口を開いた。

「はいですゥ」 絵梨香は屈託なく答えた。

  ハァ〜ッ。部長はうなだれた。だが一息飲んで顔を上げると

「あのねえ、横沢。わかってると思うけど次の試合が近くてみんな頑張っている
のよ? 一人でそんなワガママ言わないで」
 
 諭すような口調と表情で眼下の絵梨香に語りかけた。気のせいかその瞳には
媚さえ込められているように見える。先ほどまでの鬼部長ぶりからすると信じら
れないほどの弱気ぶりだった。

「ワガママなのはわかっていますゥ。でもどうしても今日は早く帰らなきゃいけな
いんですゥ」

 絵梨香は引かない。例の拳を前にかまえたポーズで身をくねらせながら訴える。

「で、でもねえ……」

「お願いしますゥ」

 絵梨香もまた小首を傾げた媚び媚びの瞳で部長の顔を覗きこんだ。

「ね? ですゥ。明日はちゃんと居残り特訓受けますからァ」

「バ、バカッ……! 絵梨香ッ、ちょっとッ」

 何に驚いたのか。部長は顔を真っ赤にしてうろたえた。ラケットを取り落とし
、慌てて周囲を見回す。部員達はわけがわからずポカンとしていた。まことも
また同様。絵梨香ひとりだけが変わらずに

「ねぇ、お願いしますゥ。部長さァん」

と祈るように手を組み合わせていた。「くっ……」部長は顔を引きつらせて

「わ、わかったわ。特別よ。今日は特別だからねッ」

「わぁ〜い。ありがとうございますゥ」

 絵梨香はニッコリと笑った。そしてまことの方に向き直り

「センパ〜イ、着替えるからちょっと待ってて下さいねェ?」

 大きく手を振った。まことは分けが分からないながらも頷き返した。

「じゃあみなさん、すいませェん。お先失礼しま〜す」

 絵梨香は皆に一礼をすると、足早にコートから出て金網の向こうへ消えて
行った。
 後には顔を真っ赤にして立ち尽くす部長と、白けた空気だけが残った。困惑
と不審、侮蔑の視線が長身の少女に集中した。

「な、なによあなたたちッ。誰が休んでいいって言ったのッ。練習再開よッ。
再開ッ」

 部長はラケットを四方に突き付け、がなり立てた。部員達は「はぁ〜い」と
けだるそうに答えながらとぼとぼと練習を再開した。わずかな時間とやり取り
で部長の威厳はかなり損なわれてしまったようだった。
 キッ。
 少女の恨みがましい視線がまこと目がけて突きつけられた。まことは首をすく
ませ、目を逸らした。

(そ、そんな目で見ないでよぉ……。ボクが悪いわけじゃ、いや確かに絵梨香ち
ゃんの早引けはボクのせいなんだけど……でもボクだって何がなんだか……)

 できることならこの場から立ち去ってしまいたかった。だが絵梨香が戻ってく
るまでここを離れるわけにはいかず、まことにとっては実に居心地の悪い数分
間が流れた。
 その間、部員達は目前の試合のことを思い出したのかすぐに先ほどまでと変わ
らぬ猛練習振りを取り戻したのだが、部長だけは見るのも可哀想なくらいに自分
を失っていた。サーブを打てばフォルトを連発し、レシーブはことごとくアウト。
見かねたパートナーに連れられて、少女はベンチサイドへと引っ込んでしまった。

「お待たせですゥ」

 後から制服に着替えた絵梨香が現れた時、まことは正直(助かった……)と思
った。これ以上ここにいるのはいたたまれない。そそくさとバックネットを後にした。
 去り際、もう一度だけコートを振り返ると、部長がベンチに腰掛けたまま、また
してもこちらを睨みつけていた。恨みと憤りが込められた視線。だが、その中には
何故か嫉妬の感情も入り混じっているような気がまことはした。

「……なんですってェ。笑っちゃいますよねェ?」

「う、うん。そうだね。はは、ははは……」

 五分後。
 まことは絵梨香と共に閑静な住宅街の中を歩いていた。
 絵梨香の家はここよりさらに十五分ほど歩いた先にあるという。まことは少
女に従ってその半歩後ろに着いていっていた。

「でしょう? でェ、さらに笑っちゃうんですけどォ……」

 絵梨香は校門を出る前からずっと喋りっ放しだった。まことの方に振り返っ
たり、後ろ向きに歩いたりしながら、たわいもない話題を楽しげに語ってくる。
まことはそれに適当に相槌を打ったり、愛想笑いを返したりしていたが、心は
別の方向へと向けられていた。

(さっきのあれ、どういうことだったんだろう……?)

 コートでの一件が気になってしょうがなかった。部長少女の信じられないほど
の取り乱しぶり。そして自分に向けてきた複雑な感情が込められた視線。あれら
は一体なんだったのか。絵梨香と部長はどんな関係なのか。
 少女に直接聞くことははばかられた。なにやら込み入った事情がありそうだし
詮索好きと思われるのもイヤだったのだ。しかし聞かなければ聞かないでその分
もやもやが募ってくる。いつの間にかまことは立ち止まって物思いに耽ってしま
っていた。

「どうしたんですかァ? センパ〜イ」

 絵梨香の声で我に帰った。少女は不思議そうな顔でこちらを見上げていた。ま
ことは慌てて目を逸らした。

「い、いや。その、えっと……」

 しまった、と思った。だがある意味いいタイミングだとも思った。考えていて
も答えがでるわけではないし、このままではどうにも落ち着かない。少し気は引
けるが、まことは絵梨香に尋ねてみることにした。息を一つ飲み込むと少女の方
に向き直り、

「あ、あの……あのさ、絵梨香ちゃん」

「なんですゥ?」

「その……ホントにだいじょうぶだったの? 部活早引けして」

 それでも面と向かってはためらわれたので、遠回りで問うた。

「もうッ。センパイどこか上の空だと思ったらそんなことで悩んでいたんです
かァ?」

 絵梨香はあきれた、といった様子で唇を尖らせた。

「それはだいじょうぶだって昼間も言ったじゃないですかァ? それにセンパイ
も見てたですゥ? 部長さんからしっかり許可はもらったんですからァ」

「い、いや、その部長さんだけどさ、なんかとっても厳しそうな人に見えたし。
さっきは良くても後で絵梨香ちゃんが叱られるんじゃないかと……」

 それは本気で気になった。部長少女はあの一件でかなり恥をかいている。明日
の居残り特訓とやらでも辛く当たられるのではないだろうか。だがそんなまこと
の杞憂を絵梨香は

「あはは。心配症ですねえセンパイは」

 と笑い飛ばした。

「だいじょうぶですって。部長さん、あたしには甘々なんですからァ。叱られた
りなんかしませんよォ」

「で、でも」

「うふふ。それにィ……」

 なおも心配するまことに、少女はさらににこやかげに言った。

「部長さん、確かに練習の時は厳しいですけどォ、二人っきりの時はとっても甘
えん坊さんなんですよォ。特にベッドの上だと可愛い声でおねだりするんですゥ」

「えっ!? ええっ!?」

 とんでもないことをサラっと言われて、まことは目を見開いた。

「そ、それってどういう……」

 思わず歩み詰めたまことに絵梨香は

「いやですゥ。みなまで言わせないでくださいですゥ」

 わざとらしくはにかんで身をよじらせた。

「そ、そんな……」

 まことは絶句した。
 思わぬ答えだった。いや、まるで想像をしなかったわけではない。部長の視線
に嫉妬を感じた時から「ひょっとして」程度には思ったりもした。だが、純情な
少年にとって少女同士のそういう行為というのはあくまでポルノチックな絵空事
であり、現実の、それもこんな身近で行われているものとは思っていなかった。
せいぜいがキスが限界の「少し過ぎた敬愛と寵愛」ぐらいに考えていたのだった。

(そうなんだ……。絵梨香ちゃんとあのコってレズなんだ……。それもひょっと
したら絵梨香ちゃんが『攻め』役で……。『居残り特訓』というのもまさか……)

 しかし純情とはいっても妄想力は人一倍の少年のこと。一端火がつくと、頭の
中がたちまち淫らな想像で一杯になる。現実の視界の前にピンク色の帳が降ろ
され、そこに欲情で縁取られた妖しい情景が映し出されていく──

 夕暮れ。ほとんど落ちかけた西日がわずかに差し込むテニス部部室。その薄暗
がりの中、テニスウエア姿の二人の少女が机の上で身体を重ねている。上になっ
ていたずら気な笑顔を浮かべているのは背も年齢も低い少女の方で、年長の少女
は荒い吐息を漏らしながら、潤んだ瞳でそれを見上げている。

「ふふ、部長さァ〜ん。居残り特訓始めるですゥ」

「ああッ横沢ッ。早く……早くぅッ」

 部長少女はせつなげにスコートに包まれた腰をくねらせる。絵梨香はクスクス
と笑いながら

「あれ、始まったばかりなのにもうおねだりですかァ? しょうのない部長さん
ですゥ」

「だ、だって横沢……」

「もうッ。二人っきりの時は絵梨香って呼んで下さいって言ったじゃないですかァ?」

 そういいながら絵梨香は年上少女の耳元に口をやる。唇をすぼめてフゥーッと
息を吹きかける。ビクンッ。少女はうなじを震わせ、眉根を寄せる。反らした唇
から哀願の叫びが上がる。

「ああッ絵梨香……。お願いッ、触って……」

「ふふッ、いいですよォ。触ってあげまァす」

 絵梨香は幼い指で上級生のスコートを捲り上げ、その下へと潜り込ませる。
「ああッ」少女の喉が反れる。歓喜の悲鳴が薄闇の部室に響く。

「うふ。こんなにアンスコ濡らしちゃってェ。もうおもらししたみたいにグッシ
ョリですよォ?」

「ああ、やだ……恥ずかしい……」

「うふふ。こんなにグチョグチョってことは、ひょっとして部長さん、練習中から
こうだったんじゃないんですかァ?」

 絵梨香は指を蠢かしながら薄ら笑いを浮かべる。おもらし少女は耳まで真っ
赤に染めながら顔を背ける。

「ああ、そ、それは……」

「そうなんですねェ? みんなに『気合が足らない』とか叱っていたクセに部長
さんは練習中にあたしにイジめられることを考えてアソコを濡らしていたんです
ねェ? いけない部長さんですゥ〜」

「ち、ちがうッ。ちがうわッ。ああッ」

「あれ〜? ウソつくんですかァ? そんなこと言うならやめちゃいますよォ?」

 絵梨香は指をアンスコから引き抜く。身を起こして少女から離れようとする。

「ああッ、待ってッ。やめないでッ。やめないでぇぇッ」

 快楽に囚われた少女は恥も外聞もなく自分より背も年齢も低い少女にしがみ
つき、哀願する。

「うふっ。じゃあやっぱりそうだったんですねェ?」

「そ、そうよッ。だから……だからお願いッ」

「ふふ。ほんとはしたない部長さんですねェ。いいですゥ、そんな部長さんは特訓
してシゴいてあげるですゥ」

「ああッ」

 絵梨香の指が再び下着の中へと潜り込み、少女の秘部を攻め立てる。その動き
は激しく速く、クチュクチュという水音がスコートの下から沸き上がる。そうして恥汁
まみれの肉裂をいたぶりながら、年下少女はもう片方の手で上級生のシャツを捲り
上げてブラをずらし、汗ばむ乳房とピンといきり勃った乳首を弄ぶ。年長の少女は
下級生に嬲られる羞恥と屈辱に全身をピンクに染めながらも、その快感に身悶え、
喘ぎ、叫びを上げる。

「うふふ、まだですよォ。もっともっとシゴいてあげるですぅ」

「ああッ。ダメッ。ダメッ、ああァッ。あああああっッッ」──


(ぐあぁッ?!)

 股間に激痛が走り、まことは現実へと引き戻された。妄想が熱い血となって腫れ
傷ついたペニスに集中し、その膨れ上がった高まりが下着とズボンによって圧迫さ
れてしまったのだった。まことはたまらず腰を引いた。

「どうしたんですかァ? また傷口が痛むんですかァ?」

 頭上から絵梨香の心配そうな声した。まことはまさか少女をオカズに妄想した
せいとは言えず

「う、うん。ちょっとね……。なにかの拍子にこうなるんだ。よく……」

 言葉を濁した。

「そうですかァ。大変ですねェ」

「う、うん。はは、ははは……」

 結局痛みが鎮静するまで数分を要した。


「もうだいじょうぶですかァ? それじゃあ行きましょうですゥ」

 二人は再び絵梨香の家に向かって歩き出した。少女は先ほどと同じようにまこと
を誘導しながら、楽しげに話題を振ってくる。だがまことの方も疑問が解決した
にもかかわらず、依然として上の空のままだった。

(ボク……絵梨香ちゃんにされちゃったんだよな。あんなことやこんなこと……。
あの部長のコみたいに……)

 妄想が呼び水となり、まことは改めて少女から受けた恥ずかしい行為を思い起
こしていたのだった。

(あの胸に抱きしめられて、あの手でオチンチンをシゴかれて、あの口の中に射精
させられて、そしてキスまで……)

 目の前で揺れるそれらのパーツとそれらが呼び起こす淫猥な記憶ばかりが気に
なって、少女の話など耳に入らない。ドクドクと鳴り響く脈動だけは痛いくらいに
感じる。全身がじっとりと汗ばんでいく。

(あうッ……)

 またぞろ股間に熱い血が集まり出して、腫れた高まりに痛みを与えた。流れる汗
も身体のあちこちで沁みて、疼きを招いている。だが少女に気取られるわけにはい
かない。まことはわずかに身を屈めて歩き、痛みを奥歯で噛み殺した。しかし。

「もうッ。センパイ、さっきからまた話を聞いてませんねェ?」

 絵梨香はとっくにまことの心ここにあらずぶりに気づいていたようで、振り向き
止まると、腰に両手を当てて頬を膨らませた。

「い、いや。その、また今ちょっと傷が痛んで……」

 まことは言い繕ったが

「ウソですゥ。センパイさっきからずっとこんな感じでしたですゥ。センパイあたし
の話なんかどうでもいいんですゥ」

 少女はにべもなく言い返した。見上げる目元に力がこもる。

「あ、あの……それは……」

 まことはたじろいだ。どう言い訳しようか落ち着きなく視線をさまよわせる。

「うふふ。なぁ〜んてね、ですゥ」

 だが、そんなまことの様子を見て絵梨香はふいに頬を緩ませた。そしていたず
らっぽい光を瞳にたたえると言った。

「ホントは何を考えてたんだかわかっているんですよォ、センパイ?」

「ええっ!?」

 ギクリとした。少女には全て見透かされていたのか。背中に冷や汗が流れる。
だが。

「これの事が気になってしょうがなかったんですよねェ?」

 絵梨香はスカートのポケットに手を入れると、ストラップに吊るされたピンク
色のケータイをまことの鼻面へとぶらさげた。

「あ……」 

「あれ? ちがうんですかァ?」

 目を瞬かせたまことを見て絵梨香は小首を傾げた。

「い、いや。そう。もちろんそうッ」

 まことは慌ててうなずいた。
 確かにケータイに撮られた証拠写真のことは最重要の心配事だった。だがま
こととしては当面のショーツ回収が最大の課題だったし、写真の事はそれが解
決してからと思っていた。それに「お詫び第一弾」だのテニス部部長の件だの心
を奪われるようなことが次々と舞いこんできたせいで、正直写真のことは心の
片隅へと追いやられていたのだった。ケータイを見せられた瞬間にもそれが一
瞬何の事だかわからなかったぐらいだった。

「あたしもバカですゥ」

 絵梨香はケータイをぶらさげたまま眉根を寄せた。

「昨日はパンツをもらえたことですっかり舞い上がっちゃってェ、写真の事すっか
り忘れちゃってたんですよォ。今日もォ気づいたのは午後の授業中にこっそりメ
ールを打ってる時でェ……。昼間の関口センパイのアレも、止めたのは写真の
せいだったんですねェ? ホント忘れててごめんなさいですゥ」

「い、いや、その、いいんだよ。あの……」

 頭を下げる絵梨香にまことは恐縮して言った。さんざ辱しめを受けた上での当
然の権利なのでこちらが遠慮することはないのだが、忘れていたという点に関し
てはこちらも似たようなものである。少女を責める気にはなれなかった。

「でもォ安心してくださいですゥ。写真はその時しっかり消しときましたからァ。
これでもうなんの心配ないですよォ、センパイ」

 顔を上げた絵梨香はニッコリと笑って言った。だがまことの顔を見るやいなや
またしても眉をしかめた。

「あ、やっぱり信用してませんねェ?」

「う……。あ……。そ、その……」

 その通りだった。だが殊勝に謝る少女相手にどう言っていいものやらわからずに
まことは言葉を詰まらせた。

「無理もないですゥ。あたし昨日もそんなこと言って結局また写真撮っちゃいまし
たからァ。センパイ、またそうならないか心配なんですよねェ?」

「は、はは……いや」

「だいじょうぶですゥ。あたしその辺もコウリョしたお詫びを考えましたからァ」

 絵梨香はケータイを持った手で豊かな胸をぽよんと誇らしげに叩いた。

「お、お詫び?」

「はいですゥ。あ、ちょうどいいからここでやっちゃいますゥ」

「え、ええっ!?」

 まことは裏返った声を上げた。

(お詫びって、またキスしてくれるのかな……。で、でもこんなところで……)

 期待ととまどいにドキドキとするまことだったが、絵梨香はそんな少年に背を向
けてあたりをキョロキョロと見回しはじめた。そしてしばらくすると

「あ、あそこがいいですゥ。センパイ、ちょっとあっちまで来てくださぁい」

 一本の電柱の根元を指し示した。
 そこは二メートルくらいの高さが続く塀の並びに立っており、向かいもまた背伸
びをしても庭が覗けないほどのコンクリートの壁が続いている。絵梨香はまことを
そこに連れてくると、自分は電柱の陰に身を押し込めるように背をつけた。そして

「ここならァ、人が通らなければ誰も見ませんからァ」

 そう言って少し潤んだ瞳でまことを見上げた。

(や、やっぱりキス?!)

 ドギマギとするまこと。だが次に絵梨香は意外なことを言った。

「センパ〜イ、ご自分のケータイを出してェ写メの準備してくださァい」

「えっ? それってどういう……」

「いいから早くですゥ」

「う、うん……」

 あっけにとられながらも、絵梨香にせかされてまことはその通りにする。フタを
跳ね上げ、ボタンを操作する。待ち受け画面に制服姿の少女と電柱がぼんやりと
写り込んだ。

「こ、これでいいの?」

「はいですゥ。じゃあ『お詫び第二弾』するですゥ?」

 絵梨香はそう言うと、グレイのプリーツスカートの裾を両手で掴み、捲り上げた。
細いが健康的な色艶をした太腿とピンクと白のチェック模様に赤いリボンをつけた
ビキニショーツがあらわになった。まことは文字通り飛び上がった。

「え、絵梨香ちゃんッ。なにしてるの!? は、早く降ろしてッ」

 慌てて辺りを見回しながら両手を振る、だが少女は裾をつかんだまま腰をくねら
せ甘ったるいロリータボイスで言った。

「センパイこそ早くですゥ。早くあたしの恥ずかしい写真を撮ってくださァい」


「は、恥ずかしい写真って……」

 顔を背け、目を堅くつぶるまことに、絵梨香は「もう、だからァ」とさらに
甘ったるげな声をあげた。

「センパイ、またあたしがヘンな写真を撮ってキョーハクしないか心配してる
ですゥ? あたしも絶対しないって言い切れないしィ。だからそれを防ぐには
センパイもあたしの恥ずかしい写真を持っていればいいんですゥ。ちがいます
かァ?」

「そ、それは……」

「でしょ? さあ早く撮ってくださいですゥ」

 またも腰をくねらせる。衣擦れの音が少年の耳の中で悩ましく響く。

「そんなあ。できないよぉ」

 まことは顔を真っ赤にしながら首を振った。
 正直、脅迫への抑止力は欲しかった。男としてパンチラ写真を撮りたくない
と言ったらそれもウソになる。だが小心者の少年にとって女のコの下着姿を姿
を写すことは自分のそれを撮られること以上に恥ずかしい行為であった。それ
もこんないつ人が来るともわからない往来でするなど、そんな変質者みたいな
マネは到底できるものではなかった。

「できないじゃないですゥ。して下さいですゥ。でないとお詫びにならないで
すゥ」

 だが絵梨香はしつこくねだってきた。嫌がることを強制してお詫びも何もな
いものだが、少女はこれが最善と信じているらしい。まことが何度「ダメッ、
こんなところで」「恥ずかしいよぉ」「お願いだからしまって」と断っても、
猫なで声で「早くゥ」と繰り返すばかり。しかしその語調には段々と苛立ちが
混ざってきて、しまいには

「もうッ。センパイ、あたしにお詫びさせてくれない気なんですかァッ!?」

 爆発した。

「だ、だからそういうことじゃなくて……」

 まことは顔を背けたままなだめたが

「じゃあどういうことなんですゥッ? あ、わかりましたァッ、これじゃあ
まだ恥ずかしさが足りないっていうんですねェッ?」

「い、いや、そのちがっ……」

「いいですゥッ。だったらあたしパンツも脱いじゃいますゥッ」

「ちょ、ちょっと絵梨香ちゃん!?」

 慌てて向き直った。脅しではなく少女は本当にスカートの中に手を潜りこま
せていた。身を屈めてショーツを引き下ろそうとする。まことは両手を振った。

「わ、わかったッ。撮るッ、撮るよ絵梨香ちゃんッ。だからやめてッ」

「本当ですかァ?」

 絵梨香は上目遣いでにらんできた。まことはウンウンと何度も頷く。

「わぁ〜いですゥ」

 少女はニッコリ笑った。そして身を起こすと改めてスカートの端を掴み

「さあ、どうぞですゥ」

 ピラッとめくり上げた。再び目に飛び込んでくる眩しげな光景。

「あうう……」

 たじろぐまことだったが、もうこうなったら仕方がなかった。周りを見回して
人が来ないのを確認すると

(ええいッ)

 ケータイを持った手を突き出した。しかし腕は前方に伸ばしつつも顔は後ろに
捻り退くという逆ベクトルの姿勢。引っ張り伸ばされた筋肉は怯えの緊張も合わ
さってブルブルと震える。何度もボタンを押し間違えた末にようやくシャッター
音が鳴った。

「さ、さあ、これでいいでしょ。早く下ろして」

 もういつ人が道向こうから現れてもおかしくない。まことは少女を急かし、ケ
ータイをしまおうとする。だが

「ダメですゥ」

 絵梨香はスカートをつまんだまま、不満げに言った。

「な、なんで!?」

「よく見て下さいですゥ。それじゃちゃんと写ってないですゥ」

「えっ?」

 慌てて待ち受け画面を見る。「あ……」まことは目を見開いた。
 確かにその通りだった。近距離で斜め上からのアングルで撮られた画像には
胸から下しか写っていなかった。その上ブレまくっている。これでは誰を写したか
どころか成宮の生徒かどうかすらわからなかった。投稿雑誌に載せるには具合が
いいだろうが、脅迫のタネにはなりそうにない代物だった。

「ね? ですゥ。撮り直してくださァい」

「う、うん……」

 まことはビクビクと周りを見ながら後ずさり、全身の収まる距離でケータイを
構え直そうとした。しかし

「そこもダメですゥ。それじゃあ顔が小さくなってあたしだってわからないですゥ」

 またもダメ出しが入った。

「そんなあ。じゃあどうしろと……」

「そうですねえ……」

 絵梨香は小首を傾げたが、すぐにパッと顔を輝かせ

「センパ〜イ、ここにしゃがんで下さァい」

 ローファを履いた爪先ですぐ前の地面をトントンと叩いた。

「へっ?!」

「だからァ、ここにしゃがんで下から舐めるように撮ってくださァい。そしたら
パンツもあたしの顔も写りますゥ」

「そ、そんなぁッ」

 まことは情けなく顔を歪ませた。写真を撮るだけでも恥ずかしいのに、その上
そんなハレンチなマネはできない。しかし

「そんなじゃないですゥ。早くですゥ。人が来ちゃいますですゥ」

 絵梨香はもうそれしかないと決め込んだようで、腰をくねらせながらひたすら
まことを急かした。

「で、でもぉッ」

 なおも尻込みを続けると、少女は頬をぷっと膨らませ

「……パンツ脱いじゃいますゥ」

「わ、わかったッ。わかったよぉッ」

 仕方なくまことは絵梨香の足元にしゃがみこんだ。恐る恐る下から見上げるよ
うにケータイを構える。だが。

(あう……)

 相手は小学生なみに背の低い少女のこと。しゃがむだけでは太腿も顔もフレー
ムから外れてしまうのだった。まことは膝を着いた。だがそれでも足りず、空い
ている手でも地面を押さえた。しまいには半ば這いつくばる体勢から下半身を覗
き上げる格好になった。

(ああ……ボク、何やっているんだ……。やだよぉ、こんなの恥ずかしすぎるよぉぉッ……)

 まことは耳まで真っ赤に染めた。まるでアイドル撮影会の前列に群がるカメラ
小僧のよう。ああした光景を見る度に同じ男として情けないと感じていたのだが、
まさか自分が同じことをするハメになるとは思わなかった。誰かに見られたら羞
恥の熱で焼け死んでしまいそうだった。

「うふ」

 そんな少年を絵梨香は待ち受け画面の中で見下ろしていた。さすがの天然少女
も少しは恥ずかしいらしく、瞳はいたずらげながらも、頬は薄っすらと染まって
いる。そのコケテッシュな表情にまことはドキリとなる。しかも暗めの画面は幼
い顔に妖しい陰影を与えてなまめかしさを増幅させていた。まことは恥ずかしさ
以外の理由でも身体を熱くする。たまらず視線とアングルを外す。

(あうっ……)

 だが今度は太腿とショーツに目とレンズが釘づけとなった。細く柔らかなX字
とその上部に張り付いた逆三角形の魅惑の布。特に下から見上げることで曲面が
強調された丘の部分にまことの視線は集中する。その中央に作られた、想像力を
掻き立てられるうっすらとした縦ジワ。ピンクと白の市松模様というただでさえ
目に眩しい模様に加え、鼻腔から侵入してくる幼い雌臭にも脳髄を刺激され、
まことの頭はクラクラとなる。周辺の、又の付け根や何度も脱ぎかけてずれ捩れ
ている上辺のラインもまた悩ましい。まことは周囲の状況もシャッターを押すこ
とも忘れて魅入ってしまう。

「もうセンパイ。早くですゥ?」

「あ……」

 じれったげな少女の声と揺れる布地でまことは我に帰る。汗ばむケータイを握
り直して改めてアングルをとる。一直線上に写り込む小麦色の太腿、愛らしげな
ショーツ、制服を持ち上げる胸、そして薄桃色に染まった顔と潤んだ瞳。その淫
らな光景と盗撮行為それ自体が引き起こす後ろ暗い興奮に少年の血はさらに沸
き立つ。ドクンドクンと耳障りなほどの鼓動が反響する中で、まことはようやくシ
ャッターボタンを押した。

「ふうっ、やれやれですねェ。……あれ、センパイどうしたんですかァ? 早く
立たないと人が来ちゃいますよォ?」

 絵梨香はまことの顔を覗きこんだ。少年はケータイを構えた姿勢のまま固まっ
てしまっていた。

「どうしましたァ? うまく撮れなかったんですかァ?」

「い、いや、その……」

 そうではなかった。写真は首尾よく撮れて、まことはすぐにでも身を起こして
立ちあがろうとしたのだ。だがそうしようとすると

(あうッ……!)

 膨らみきった股間がズボンに圧迫されて激痛が引き起こされてしまうのだった。
元々姿勢自体も無理な格好だったので一箇所で痛みが起こると傷ついた全身にま
で波及した。うかつには動けなくなってしまったのだった。

(どうしよう……今誰か来たらどうしよう……)

 気ばかり焦る。えいっと一息に立ち上がってしまえばいいのだろうが中々踏ん
切りがつかない。股間のたぎりもすぐには引きそうにない。できるのは地面に半
ば這いつくばった情けない姿勢のまま、呼吸を整えることぐらい。

「もう〜いやですゥ、センパ〜イ」

 そんな少年を見て絵梨香はまた何か勘違いしたのか、あるいは知っててわざと
ボケているのか、いたずら気に目を細めた。

「そんな息をハアハアさせちゃってェ。口ではイヤだのなんだの言ってたけど、
本当はもっとイヤラしい写真を撮りたいんですねェ?」

「いやっ、ボクは……」

「無理しなくていいですゥ。あたしもやっぱりこれだけじゃお詫びにならないと
思っていたんですゥ。じゃあもう一発いっちゃうですゥ」

 そう言うと絵梨香は左手でスカートを持ち上げたまま、右手をショーツの中に
潜り込ませた。盛り上がった布の下で指を妖しく蠢かせ

「ああ〜ン、センパ〜イッ」

 嬌声を響かせた。

(うわぁッ……)

 眼前でいきなり展開されたオナニーショーにまことは一気に沸騰した。ようや
く収まりかけたペニスに熱い血が過剰装填されて、ズボンを突き破らんばかりに
膨れ上がった。のけ反った拍子に全身にも激痛が走り、まことはケータイを取り
落とす。伏せるように両手をついた。

「もうッ。何してるんですかァ、センパイ。せっかくやっているんですからちゃ
んと見て撮って下さいよォ」

「あうう……」

 その時。
 ブロロロロロ……。遠くからエンジン音が聞こえてきた。まことがハッとなっ
て振り向くと、右向こうから乗用車が近づいてきていた。慌てて身を起こし立ち
上がった。

「うあああっッ!?」

 股間から身体を引き割くような痛みが手足をそして脳天を貫いた。まことは身
を捻らせ塀へと倒れ込む。その側を車が通り過ぎた。傍から見てたらまるでまこ
とが車に弾き飛ばされたように見えたであろう。

「だいじょうぶですかァ? センパ〜イ」

 絵梨香が駆け寄ってきた。まことは塀に打ちつけられた痛みに悶絶しつつ

「だ、だいじょうぶ……。また傷が痛んだだけだから……」

「そうですかァ。よかったですゥ。……ところでまだ途中でしたけどどうしますゥ?」

 絵梨香は無邪気そうに小首を傾げた。まことは涙目でそれを見下ろしながら

「……も、もういいよ。行こう。ね?」

「そうですねェ。ここで時間を使い過ぎるのもアレだしィ。じゃあ行きましょう
ですゥ」

 少女は身を翻した。電柱の所まで行ってまことのケータイとカバンを拾って戻
ってくる。それを少年に手渡しながら

「それにしてもォ」

 絵梨香は言った。

「あんなことまでさせるなんてセンパイってやっぱりエッチですゥ。あたしとっ
ても恥ずかしかったですゥ」

 わざとらしくはにかんで身を捩じらせた。

(それはこっちのセリフだよぉ……)

 まことはそう言いたくなるのをグッと堪え、少女が背中を向けるとこっそりと
ため息をついた。

 それから十分ほどして。
「お詫び第二弾」の痛みとドキドキを抑えるべく、俯き歩いていたまことの頭
上に

「ここですゥ」

 絵梨香の声がした。立ち止まってこちらにつま先を向けている。どうやら着
いたようだった。まことは身体を起こし、横沢家を仰ぎ見た。

(へえ、これが絵梨香ちゃんのウチかあ)

 ごくありふれた二階屋構造の一戸建て。家屋も敷地の広さも須藤家とさして
かわらない。名門成宮には良家の子女も多く、庶民派のまことは引け目を感じ
ることも多いので、なんだかホッとした気持ちになる。

(何人家族だろう? お父さんとお母さん、絵梨香ちゃんの性格から見て一人
っ子かお姉さんが一人いるってとこかなあ)

 弛んだ気分のせいかそんなことを考える。そうしている間に絵梨香は門扉を
開けて中へと入った。振り返って「どうぞですゥ」とまことを招く。

「あ、うん……」

 うながされて、少年は門へと足を踏み出した。だが家族への連想からあるこ
とに気づき、「あっ」と叫んで立ち止まった。

(しまった……。絵梨香ちゃんの家族に会った時のことを全然考えてない……)

 顔から血の気が引く。
 うかつであった。自分でもバカだと思う。だが正直昼休みからこっち、心は
絵梨香の悩ましい「お詫び」やテニス部々長のことなどに占められてしまい、
少女の家族のことまでには思いがいたらなかったのだ。

(どうしよう。なんて挨拶したらいいんだ……)

 まことは焦った。挨拶だけではない。絵梨香と自分はどういう関係なのか、
そもそも学年差がありすぎる二人がどういう経緯で知り合いになったのか。
聞かれたら答えに窮することばかりである。まさか本当の事は言えないし、
見るからに運動オンチの自分がテニス部OBというのも無理がありすぎる。
といって天然少女の絵梨香に任せたらさらに肝を冷やすような紹介をされか
ねない。額に汗が浮かんだ。

「どうかしましたかァ、センパイ?」

「い、いや、なんでもないよ」

 だがここまで来て帰ることもできない。まことは覚悟を決めて敷地の中へと
入った。ドアまでの短い距離の間に必死で頭を巡らせる。しかし良い文句が
浮かばない。少女の手がノブへと伸びる。収まりかけていたドキドキが勢いを
とり戻す。ところが。

「え?」

 そのままノブを廻すかと思われたのだが、その後に続いてもう片方の手も伸
びた。そちらにはいつのまに取り出したのか、カギが握られていた。錠が廻さ
れてドアが開く。続いて「さあどうぞですゥ」と少女の声。まことはポカンとなった。

「あ、あの、絵梨香ちゃん。おウチの人……」

「あれ? 言ったじゃないですかァ? 今日はみんなお出かけして夜まであた
し一人だってェ。だから遠慮しないで上がってくださいですゥ」

「そ、そうだっけ?」

 覚えは無かった。だが上の空が多かったので聞き漏らしたのかもしれない。
いずれにせよ助かったのは確かなようだ。まことは安堵のため息をつく。しかし。

(待てよ。ということはこの家でボクと絵梨香ちゃんは二人っきり……)

 すぐにそのシチェーションの危うさに気づき、息を詰まらせた。昨日の会長
室での出来事がフラッシュバックする。

「え、絵梨香ちゃんッ。ボク、やっぱりいいよ。もらうものもらったら失礼するから」

 ドアから後ずさる。少女はきょとんとした顔になった。

「え? ここまで来て何言ってるんですかァ? 上がってくださいよォ」

「で、でも、その……」

「でも、じゃないですゥ。センパイ、上がってくれるって約束したですゥ」

「いや、それは……」

「……センパイ、あたしにお詫びさせてくれない気なんですかァ?」

 少女の目つきが険しくなった。またしても爆発を起こしそうな気配。

「わ、わかったッ。上がらせてもらうよッ」

 まことは慌てて言った。隣の家の勝手口から夕食の支度音が聞こえている。
ここでまた「パンツ脱いじゃうですゥ」とか叫ばれてはたまらない。

「はいですゥ。どうぞですゥ」

 絵梨香は機嫌を直し、満面の笑みでまことを玄関へといざなった。少年は

「お、おじゃましま〜す……」

 震える足で中へと踏み入った。

(だ、大丈夫だ。心配のしすぎだ……)

 靴を脱ぎ、たたきに上がりながら自分にいい聞かせる。

(それにイザって時はこれがあるんだし)

 胸ポケットのケータイにそっと手をやった。



「じゃぁ〜ん、ここがあたしのお部屋ですゥ」

 まことは二階の絵梨香の部屋へと案内された。八畳相当の洋間で、カーテン
も壁紙もベッドカバーまでもがピンクの花模様で埋められた、いかにも頭の中
がお花畑の少女にふさわしい作りだった。机や本棚、ドレッサーの上には小さ
いヌイグルミやファンシーグッズが並んでいて、ロリータっぽさがさらに強調
されている。大きめのタンスの中にはフリフリのドレスがぎっしりと詰まって
いそうだった。

「か、可愛い部屋だね」 まことがややたじろぎながら言うと

「うふっ、ありがとうございますゥ」

 少女は満足げに微笑んだ。

「じゃああたし、お茶の準備をしてきますねェ?」

 絵梨香はまことを座卓を置いた部屋の中央へと座らせると、自分は早々に立
ち上がりドアへと向かった。

「い、いいよ。お茶なんて」 まことは遠慮したが

「いいからいいからですゥ。センパイ、期待してくださいね? お詫び第三弾
はあたし特製の超おいしい水出しコーヒーですからァ」

 少女はそう言ってニッコリと笑い、戸を閉めた。階段を軽やかに降りる音が
聞こえてきた。

(あ、今度はまともなお詫びなんだ……)

 まことはホッとして、浮かしかけた腰を降ろした。やっぱり心配のしすぎだ
ったかと苦笑いをこぼす。
 しばらくして。

「センパ〜イ、ごめんなさァ〜い。お盆で手がふさがっているんで開けてもら
えますかァ?」

 ドアの向こうから声がした。その頃には部屋の雰囲気にも慣れて大分リラッ
クスしていたまことは「あ、今開けるよ」と返事をすると軽い足取りでドアへ
と駆け寄り、ノブを捻った。

「!」

 だが次の瞬間まことはノブを握ったまま固まってしまった。
 絵梨香は言葉どおりお盆を持って立っていた。アイスコーヒーが入ったポッ
トと氷が入ったグラスが二つ。ビスケットを載せた皿。それはいい。問題は
それを持っている格好だった。
 少女はエプロンを着けていた。いや正確にはエプロン「しか」身に着けて
いなかった。素肌に白いエプロン一枚というあやうい姿で絵梨香はまことの
前に立っていたのであった。

「ちょ、ちょっと絵梨香ちゃんッ、その格好!?」

 一拍おいてのけぞり叫んだまことに

「うふっ。『お詫び第三弾』のオプションですよォ」

 少女はにこやかげに言った。

「オ、オプション!?」

「そうですゥ。本命はこの特製コーヒーですけどォ、それだけじゃ寂しいじゃ
ないですかァ? だからオプションサービスとしてこれをつけたんですゥ」

 少女はそう言って胸をそびやかした。胸当てに収まりきらない双球が揺れ、
薄い布地に乳首が浮き出た。まことは慌てて目を逸らした。

(いらない。いらないよぉ、そんなオプション……)

 顔を真っ赤にする。絵梨香はそんな少年を見て「うふふ」と笑い

「さあセンパイ、いつまでもそんなところに立ってないでお茶にしましょう
ですゥ」

 座卓へとうながした。

「あうう……」

 まことは正直逃げ出したくなった。だがまだ肝心のショーツを回収していな
いし、このまま「お詫び第三弾」を受けずに帰ろうとしたら余計に面倒なこと
になりそうだった。やむなく、なるべく少女を見ないようにしつつ、卓を挟ん
だ反対側の席へと座った。

「さあ、どうぞですゥ」

「あ、ありがとう……」

 差し出された「特製水出しコーヒー」とやらを口にする。絵梨香は「おいしい
でしょ? 豆にもお水にもこだわって時間も普通の水出しよりかけているんで
すよォ」と言ったが、正直この状況下では味などわからない。適当に誉め言葉
を並び立てる。それでも緊張で喉が渇ききっていたのでたちまち飲み干した。

「気にいってくれたようでうれしいですゥ。もう一杯飲みますかァ?」

「あ、うん……」

 まことはグラスを前に差し出そうとしたが、絵梨香は「あ、そのままそのまま」
と言って、膝立ちで身を乗り出してきた。まことの眼にせめぎあった胸の谷間が
アップとなって飛び込んできた。心拍数が一気に上昇した。

「え、絵梨香ちゃんッ、ちょっと」 身をのけ反らせるまことに

「うふふ。だってェ、センパイ下ばかり向いて全然こっち見てくれないんですものォ。
コーヒーだけじゃなくオプションも楽しんでもらわないとォ。これもお詫びなんです
からァ」

 少女はいたずらっぽく笑って二杯目のコーヒーを注いだ。

(うう……)

 まことは頬を火照らせ、横を向いた。どうもいけない。「お詫び」と言いつつ、こち
らがからかわれるようなことばかりのような気がしてきた。まだこの先に「お詫び」
が用意されているのかどうかは知らないが、ここらで受け取るものを受け取って
おいとました方がいいだろう。

「あ、あのさ。絵梨香ちゃん……」 コーヒーをちびちび飲みながら切り出した。

「はいですゥ?」

「そろそろ、あの……」

 ピンクに彩られた少女の部屋と裸エプロンというこの状況だと何倍にもイヤ
ラしく感じて聞こえるので口ごもったが、それでも思い切って

「あの……パンツ返して」

「あ、はいですゥ」

 万事のんびり目の少女には珍しく、絵梨香はすばやく反応した。座卓に手を
つき、スクッと立ち上がる。その拍子にミニのヒラヒラの裾がまくれ上がり、
ほんの一瞬ではあるが、恥丘のふくらみとその中央部の筋目があらわになった。

「ブッ」

 まことはグラスの中に飲みかけていたものを吹き出した。

「えーと、確かあれはあそこにィ……」

 固まってしまった少年の前で、絵梨香はクルリと身をひるがえした。今度は
愛らしい小ぶりなヒップが目の中に飛び込んできた。

(あわわ……)

 グラスを取りこぼしそうになり、慌てて両手でかかえる。その間に絵梨香は
視界から消えてしまったが、少年の頭の中は今見てしまった光景で一杯であっ
た。前屈みの姿勢のまま、小刻みに身体を震わせる。鼓動が急速に高まって
いく。

「お待たせしましたァ。これ、お返ししますゥ。……あれ、センパイどうしたん
ですかァ?」

「い、いや、なんでもないよ。ありがとうッ」

 まことは絵梨香の手からショーツをひったくるように受け取ると、カバンに
しまうのもそこそこに立ち上がった。

「じゃ、じゃあボク、これで失礼するから」

「えーっ、まだいいじゃないですかァ?」

 よくはなかった。これ以上ここにいたらおかしくなってしまいそうだった。

「いや、もう遅いし……」

「遅くないですよォ。それにィ、あたしまだお詫びがしたりないですゥ。もっ
ともっとセンパイをおもてなししたいんですゥ」

「お、お詫びなら充分受け取ったから、ホント。だ、だから。ね?」

 ドアへと駆け寄ろうとする。だがその前に絵梨香が立ちはだかった。手を
組み合わせて胸の前にやると

「お願いですゥ。もう少しだけいてくださいですゥ」

 すがるような目で見上げてきた。まことはドキリとなりなからも

「……ダ、ダメ。帰るから。そこどいて。え……」

 ”絵梨香ちゃん”と言おうとした。だがその瞬間頭がクラッとして声が詰ま
った。

(あ、あれ?)

 バランスが崩れる。前にした右足で体重を支えようとする。しかし踏ん
張りが利かない。慌てて左に重心を移す。だが左も同様。力が入らない。
まことは酔ったようにフラフラとなる。本能的に安全な場所を求めて壁際の
ベットへと近づく。腰を降ろして前屈みになる。酩酊感はどんどん酷くなる。
まことは仰向けに倒れこんだ。ピンクの天上がグルグルと回る。

(なんだ!? なんなんだ、これ。ボクはどうしちゃったんだ!?)

 混乱するまことの耳に

「うふふ。よかったですゥ。やっとクスリが効いてきたですゥ」

 少女の声がした。

「え、絵梨香ちゃん!?」

 まことは身体を起こそうとした。だが手も足も痺れて動かない。

「ク、クスリってまさかコーヒーに何か!?」

「うふっ。だから『特製』だって言ったじゃないですかァ? ちょっとしたシビレ
薬ですゥ」

「な、なんでそんなことを?」

「うふふ……」

 絵梨香は動けないまことに近寄り、その顔を見下ろすと妖しい笑みを浮かべ
て言った。

「『お詫び決定版』ですよォ、センパイ。タップリやさ〜しくイジメてあげますからねェ」



「イ、イジメるって……。何でそれがお詫びになるの!?」

 理解不能な少女の言動にまことは蒼ざめる。身動きできない恐怖も合わさ
って体中が震えだす。

「うふふ、だってェ」

 絵梨香はそんなまことを楽しそうに眺めながらベッドに腰を降ろし、言った。

「センパイはイジメられることが大好きなマゾじゃないですかァ? 大好きな
ことをお詫びの決定版にするのは当然のことですゥ」

「そ、そんなッ」

 まことの顔からさらに血の気が引く。理不尽だ。理不尽すぎる。イジメられ
たお詫びにさらにイジメるなど聞いたこともない。

「ヒ、ヒドイッ。ヒドイよぉッ、絵梨香ちゃんッ」

 唯一自由の利く首を振り立て、抗議する。絵梨香は「え〜ッ? ヒドクない
ですよォ」と唇を尖らせ

「だってほらァ……」

 そう言いながらいたずら気な視線をまことの股間へと向けた。

「センパイのオチンチン、『イジメる』って言われてこんなにおっきくなって
いるじゃないですかァ? ホントはイジメられることを期待している証拠ですゥ」

「あっ、そ、それは……」

 少女の指摘にまことは口ごもる。
 そのとおりだった。被虐の快楽をイヤというほど刷り込まれた肉棒は「イジ
メる」「マゾ」という言葉に敏感に反応し、持ち主であるまことの意思とは無
関係にズボンを破らんばかりに膨れ上がっていたのであった。

「ふふ、センパイ。素直になりましょうですゥ?」

「ち、ちがうッ。こ、これは、これは絵梨香ちゃんの格好があまりに刺激的す
ぎるから……」

 我が身の浅ましさを認めたくないまことは首を震わせ、否定した。絵梨香
はそんな健気な抗いにクスッと肩をすくめ

「ふ〜ん、ちがうんですかァ? だったらちがうかどうか身体に訊いてみる
ですゥ」

 少年の顔を見やりながら、いきり立つ股間へと腕を伸ばした。

「ダ、ダメッ。さ、触らないでぇぇッッ」

 まことは総毛立った。身をよじらせて魔手から逃れようとする。だがクスリ
のせいで腰をわずかに揺らすことしかできない。絵梨香はふふと笑いながら、
逆向きの手のひらをズボンの高まりへと置いた。そのまま身体を傾け、圧をか
ける。

「ああッ」

 まことは目を堅くつぶった。襲い来る衝撃に耐えようと身構える。だが。

(あ、あれ?)

 予期していた痛みは訪れず、包み込まれるような感触だけがあった。まこと
は思わず目を開け、首を起こした。

「?!」

 だがやはりペニスは少女の手で圧迫されていた。そのうえ上下に撫でさすら
れている。しかしそこまでされてもあの悶えるような痛みはこみ上げてこない。
まことは呆気にとられた。

「な、なんで?」

「ふふ、ビックリしましたかァ? ほら、こうやっても痛くないですよねェ?」

 絵梨香はいたずらっぽく笑うと、さらに圧をかけて勃起をグリグリとこね回し
た。
「ヒッ」まことは首をすくめたが、少女の言うとおり痛みはおきなかった。
 いや、痛みがないことはないのだが、それは皮膚一枚の表面的なもので
内側まで滲みてくることはなかった。海綿体は長時間腕まくらをしてしまった
後のようなムズかゆさとシビレに満ちていて、それが痛みの侵入を阻止して
いた。そしてその奇妙な感覚は勃起に押された下腹部や少女の膝が触れて
いる大腿にも生じていた。

「あ、もしかしてクスリのせい……?」 まことはようやく気づく。

「そうですゥ。そのためのおクスリですゥ。あたしだってちゃぁんと考えている
んですよォ?」

 絵梨香は身体を起こし、得意げに胸を張った。エプロンの下で豊かな双乳が
ぷるんと揺れる。

「大体あたしが痛いイジメ方をするわけないじゃないですかァ? あたしのモッ
トーは『優しく・ジワジワ・気持ち良く』ですゥ。妹さんとはちがいますゥ」

 少女は自分の流儀をアピールすると、それを実証するかのように圧をかけて
いた勃起から手を離し

「さあ、これで何の心配もないですねェ? じっくり楽しみましょうですゥ。
まずはセオリーどおりここからですゥ」

 まことの身体に覆いかぶさった。少年の口に自分の唇を押し当てる。

「んンッ!」

 突然の事にまことは目を見開いた。だがその瞳を少女がいたずらっぽくの
ぞき込んでいるのに気づき、たまらず(イヤだッ)と瞼を閉じ固めた。顔を振り
立て、唇から逃れようとする。

(あうっ……)

 だが少女は逃してくれなかった。少年の両頬に当てた手に力を込め、さらに
唇を押し付けてきた。開いた隙間からぬるりと舌先を忍ばせてくる。まことは
歯を閉じ合わせて侵入を拒もうとしたが、絵梨香の方が一瞬早かった。歯列
は押し割られ、中で怯え震えていた舌は少女のそれに絡み取られてしまう。

「あ……」

「むふふ」

 一度受け入れを許してしまえば後は絵梨香のなすがままだった。まことの
腔中は少女の舌によって弄ばれる。歯列や歯茎、頬の裏がなめ撫でられ、
出し入れによって唇の内側もねぶられる。その意外な気持ち良さに少年は
身体を震わせる。特に上顎の柔らかい部分をくすぐられた時はうなじの毛
がそそり立つほどの快感が走り「ふぐぅッ」と鼻から叫びを漏らした。

「ぷふぅ」

「んぷぁッ」

 長い口内愛撫の果てに絵梨香はようやく唇を離した。まことはすっかり上気
し、息も絶え絶えに喘いだが、それは何も酸素不足によるものだけではなか
った。

「うふふ、センパイ。真っ赤になっちゃって可愛いですゥ」

 自分も薄桃色に頬を染めてはいるものの、表情も息も余裕のままの絵梨香
が言った。

「その様子だと、ひょっとしてお口を犯されるのは初めてですかァ? ファース
トキスももしかしてお昼のがそうですかァ?」

「ああッ」

 「口を犯される」という表現とズバリの指摘にまことは顔を背ける。赤くなって
いる頬にさらなる血が集う。

「あはッ、そうなんですね? うれしいですゥ。じゃあここもそうですかァ?」

「ふあぁッ!?」

 上になった耳元に唇が寄せられた。フゥーッと熱い息が吹き込まれる。背筋
に戦慄が走り、まことは首をすくませた。

「んくあッ」

 その縮んだ喉元に絵梨香の指が伸びた。爪の腹の部分で鎖骨から下顎に
向かってそよぐように撫であげられる。まことは首をのけ反らした。
 だが耳元の口は離れない。首への愛撫を続けながら舌先で耳殻の溝をな
ぞり、穴の中にその身を捩りこむ。唇全体で吸いつくように覆い、くちゅくちゅ、
ちゅぷちゅぷという淫音を脳内へと響かせる。

「ああッ、ダメッ。それダメぇぇェッッ」

 まるで脳みそをくすぐられているような感覚にまことは悲鳴を上げる。指先と
口から逃げるように首を突っ張らせる。

「あッ」

 限界まで伸びたところで少女の指が首筋を滑り落ち、鎖骨の付け根へと
落ちた。
 ネクタイをかき分け、ワイシャツの第一ボタンにその先が引っ掛けられる。
ボタンは苦もなく外されて、指先はさらなる獲物を求め、下へと滑る。「うふ、
ヌギヌギしましょうね? センパイ」 耳元で囁かれる。

「ヤダッ。ヤダぁッ。イヤだあぁぁッ」

 まことはなんとか逃れようと必死になった。だがクスリがさらに効いてきた
のか、首から下は指一本まともに動かない。なす術なく全てのボタンが外さ
れ、シャツははだけられてしまう。ネクタイも引き抜かれて、投げ捨てられしまう。

「ああッ」

「むふふ」

 剥き出しとなった少年の薄い胸板を少女の幼い指先が這いまわった。女性
でいえば右の乳房周りの胸筋を、広げ立てた五本の指で円を描くように撫で
回し、次第にその円周を狭めていく。
 くすぐったさとムズかゆさが同居した奇妙な快感に、まことは怯えながらも、
あッ、あッ、あッと喘ぎを漏らす。最後には中心部で固くしこった突起を摘まれ
て、クリックリッとこね上げられた。全身が粟立つような快美感が背筋を貫き、
まことは一際高い叫びを上げた。

「ああッ、んあぁッ」

「うふふ。センパイったら男のクセに乳首いじられてそんな声出すなんて。エッ
チですゥ。ヘンタイですゥ」

 耳元からも言葉で責められる。「イヤあぁぁ……」 少年の口からさらなる悲
鳴がこぼれる。

「ふふ。もっとエッチにしてあげますよォ? センパイ」

 絵梨香は身体を下に向かってスライドさせた。同時に耳元にあった唇も移
動する。軽い接触を保ったまま首筋、鎖骨を滑り、左の乳首で止まる。その
まま、ちゅぷっと口に含み、舌先で敏感な突起をねぶり回す。

「あッ、ダ、ダメぇッ」

 指先による右乳首の責めも継続される。同時二箇所の、だが異なった責
め方での甘美な刺激にまことは翻弄される。頭を振り乱し、喉から引きつっ
た叫びを漏らす。
 絵梨香は上目づかいでその様子をうかがいながら責めの強弱を調節し、
まことをさらに追い詰める。口と指の位置も互いに入れ替え、絶えず新鮮な
快感を送り込む。
 休むことのない悦楽の連続に、悲鳴が段々かすれたものになっていく。少
女が一息ついて顔を上げた時には、まことは全身を震わせ、半ば霞んだ目
で天上を見つめていた。

「うふ。この責めも初めてだったようですね? センパイ」

 そんな少年を見つめながら絵梨香は満足そうに口元をぬぐった。

「でも妹さんって何にもしてくれないんですかァ? 痛くするばっかりで。やっ
ぱりセンパイって可哀想ですゥ」

「ああああ……」

 快感の余韻が凄まじく、まことは答えることができない。
 だが実際のところは少女の言う通りであった。瑞穂の興味はもっぱらペニ
スに向けられていて、乳首はもちろん耳や首筋なども、ぶたれたりツネられ
たるすることあってもじっくり愛撫されることなどなかった。自分でいじったこ
ともなく、触られてこんなに気持ちの良い場所だということも今日初めて知っ
たのだった。

「ホント可哀想。こんなにキズだらけにされて少しも気持ちよくしてもらえない
なんてェ」

 改めて赤く腫れた上半身を見下ろし、絵梨香は眉根を寄せた。まだ朦朧と
していたまことは半ば虚ろな目でそれを見上げていたが、少女の瞳がふいに
細まり、頬に妖しい笑いが浮かんだのを見てギクリとなった。

「でもある意味うれしいですゥ。それってほとんど手つかずだってことですもの
ねェ? うふふ、あたしがどんどん開発してあげますよォ? センパイ」

 身を屈めながら両手を伸ばしてくる。快感への期待よりも恐怖の感情が先に
立ち、まことは顔を引きつらせた。

「ヤ、ヤダあぁッ。もうヤメてぇぇッッ」

 だが悲鳴も虚しく、まことの身体は絵梨香によってどんどんと”開発”されて
いった。
 触れるか触れないかの繊細なタッチであちこちをまさぐられる。
 少しでもヒクつきを見せると指が止まり、確認するかのように撫でまわされる。
そしてそこが性感帯との確証を得ると指先と舌先で集中的に攻められる。ある程
度まことに悲鳴を上げさせると動きを止め、次の鉱脈を探しに蠢き出す。
 通り過ぎたからといって安心はできない。他の箇所を責め立てられて神経をそ
ちらに集中させると、ふいに指が戻ってきてからかうように撫でいじられる。
無防備な状態への攻撃に快感は倍増され、まことは身もよもなく悶え喘ぐ。

「ああッ、あああッッ、ああああぁぁッッ」

「うふふふふ……」

 そんなまことを見て絵梨香はいたずら気な笑みをこぼす。それが少年の羞恥と
屈辱をさらに煽り立てる。

(ああッ……、こんなのイヤだ……。でもイヤなのに、身体が……身体がぁッ)

 快楽に喘いでしまう。指先を求めて揺れ動いてしまう。
 普段から痛みばかり強いられていた身体である。潜在的にソフトな愛撫に餓え
ていた。その上クスリで抑えられているとはいえ、実際に今も痛みは皮膚の表面
に漂っている。柔らかな刺激を歓待しないはずがない。

「うふ。センパイったらすっかり感じちゃってェ。今もっと凄いことしてあげま
すよォ?」

 上半身を走査し終えた絵梨香は身を起こし、指を構え直した。鍵盤におくよう
に両手の指を鎖骨の下へと置く。そして一息つくとサーッサーッと螺旋模様を描
かきながら上半身の至るところを撫で走らせた。

「うああああああああああ!?」

 まことは肌を粟立たせた。
 それはただハケで撫でられるような気持ち良さだけではなかった。指先は要所
要所で先ほど掘り当てた性感帯で留まり、くすぐり、また流れるように次の急所
へと移った。少女の頭にはまことの弱点がすっかりインプットされたらしく、無造
作のようでそれでいて的確すぎる動きで指先から皮膚を通じてまことの快楽中
枢を揺さぶった。

「ああッ、ダメッ、ダメッ、ダメええぇぇぇッ」

 まことは頭をメチャクチャに振り乱した。一つとして外れのない責めは塊となっ
て少年を襲う。普通なら身をよじったりのけ反ったりして衝撃を分散させるところ
だが、動けぬ身では首しかその役目を果たせない。入力された快感はほとんど
ダイレクトで脳髄を直撃する。まことは絶叫した。

「あああッ。んああッ。んあああああぁぁッッ」

「あはッ、センパイ。凄いですゥ、かわいいですゥ」

 その上言葉で責め立てられる。

「まるで女のコみたいにかわいいですよォ? センパイ。あっ、そうだァ。教えて
あげるですゥ。このベッドの上で部長さんもアンアン悶えまくったんですよォ?
センパイみたいにィ」

「イヤああああああぁぁぁッッ」

 頭の中に、絵梨香に責められ喘いでいる部長少女の姿が浮かび、まことは
自分をそれに重ね合わせた。本当に自分が女のコになってイジメられている
ような錯覚に陥り、被虐の快楽がいや増した。

「ああッ、ダメぇッ、イヤぁぁぁッッ」

 ただでさえ甲高い喘ぎ声がさらに少女のそれに近くなっていく。

「うふ。ホントかわいい……」

 絵梨香も声を上ずらせる。頬をピンク色に染める。目線を下げてすっかり膨
れ上がり、前触れさえ沁みさせてしまっているボンの股間部を見やる。

「もういいですかねェ……」

 そう呟くと両手を肋骨からわき腹を滑らし、ズボンの上縁へと導いた。

「さあセンパイ。お待ちかねの下ですよォ?」

 どちらが待ちかねたのかわからない言葉を口にすると、ベルトのバックルへ
手をかけた。

「ダ、ダメぇぇッッ」

 貞操の危機にハッとなったまことは叫んだ。

(ダメッ。絶対ダメッ。そんなことをされたら……されたらッ)

 上半身だけでこれなのだ。下半身まで責められたら、間違いなくおかしく
なってしまう。気が狂ってしまう。瑞穂同様、身も心も絵梨香の奴隷になっ
てしまう。

「ヤダッ。絵梨香ちゃん、やめてッ。お願いッ」

 だが少女の手は止まらない。ボタンを外し、ファスナーを降ろす。上縁をつか
んで、ベッドの揺れを利用してジワジワと降ろしていく。まことは焦った。手足
を動かそうと必死に力を込める。身体を捩ろうとする。

「?」

 左脇腹に固いものが当たった。首をそちらに捻る。はだけられ、シワになった
ワイシャツのポケットからケータイがこぼれ出ていた。

(そうだッ。写真ッ)

 なんで今まで思い出せなかったのか。驚きの連続にすっかり気が動転していた
せいか。
 まあいい。とにかく自分にはこれがあったのだ。少年の顔が希望に輝く。首を
起こすと、ズボンを膝まで脱がしかかっていた絵梨香に向かって叫んだ。

「絵梨香ちゃん、もうやめてッ。それ以上やったらボク、写真をバラまいちゃうよッ」


出典:少女が年上の男を弄ぶ作品
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